『骨羽目玉 之 夢』【夢の話43】

実際に見た夢の話です。あっさりと忘れるせいで脈絡が無く、オチなんて物もありません。心の広い方向け。
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天晶 @tensyou99

季節は春であった。緑が覆い始めている山の上を、何かが飛んでいた。 不規則に揺れながら力なく飛んでいるソレは、鴉天狗であった。山吹色の衣をまとい、真っ黒というよりは黒みがかった灰色の翼を持ったその鴉天狗は、満身創痍だった。#夢の話

2016-09-18 00:03:23
天晶 @tensyou99

傷だらけなのはもちろんのこと、山吹色の衣も破れ、大部分が赤く染まっている。 羽や身につけているモノから鴉天狗と推測できたが、顔は鴉ではなかった。 どこにでもいるような人間の顔だ。 #夢の話

2016-09-18 00:06:51
天晶 @tensyou99

男性の顔や体つきであったが髪は少々長めで、緩い巻髪をポニーテールより少し下のところで一つに結んでいた。 苦悶の表情で何とか飛んでいた鴉天狗であったが、しばらくしたところで意識が途切れたのか体力がつきたのか、羽ばたきを止め、真っ逆さまに山の中へと落ちていく。 #夢の話

2016-09-18 00:08:34
天晶 @tensyou99

降下開始地点の高度がすでに低かったのと、木々を覆い始めていた若葉と枝がクッションになったらしく、地面に落ちた鴉天狗はまだ息絶えていなかった。 ずるりと身を起こし、どうにかそこから移動しようと腕を動かすが、すぐに敢えなく顔に土を付けた。 #夢の話

2016-09-18 00:10:11
天晶 @tensyou99

息はまだある。しかし、意識はなく傷だらけ。命が尽きるのに時間はそうかからないだろう。そんな彼に、ひとつの影が落とされた。 影の主は人ではない。 異形のモノである。 #夢の話

2016-09-18 00:14:46
天晶 @tensyou99

しかもはっきりとした形をほとんど持っていない。どうにか認識できるのは背中から何本も飛び出た羽の骨格のようなものと、顔らしき場所に巻き付けられているように浮いている黒い包帯と、その隙間から覗くギラギラとした黒い一つ目だけである。 #夢の話

2016-09-18 00:20:03
天晶 @tensyou99

それはしばらく鴉天狗を見下ろしていたが、不意に身体の中から手を出し、伸ばして鴉天狗の服を掴んだ。 大量の金属の棒を重ねてどうにか手の形にしたようなその手で鴉天狗を掴んだまま、異形はふわりと浮かび上がる。背中の羽のような骨格は動いている様子はない。 #夢の話

2016-09-18 00:26:04
天晶 @tensyou99

山中を低空飛行で飛び続けてしばらくすると、山の麓が近くなってきた。すると、ある後ろ姿が見えてくる。自分(天晶)の後ろ姿であった。 歩く自分の後ろ姿を確認したところで、異形は鴉天狗から手を離し、地面へと落とす。 #夢の話

2016-09-18 00:28:15
天晶 @tensyou99

軽い音がして、その音に自分は後ろを振り返り、鴉天狗はその衝撃でわずかに意識を取り戻した。 …オグマ? 自分はその姿に驚きの声を上げ、慌てて彼のもとへと駆け寄った。 #夢の話

2016-09-18 00:29:57
天晶 @tensyou99

貴方を…。オグマと自分に呼ばれた鴉天狗は身を起こしながら自分に向けて、息も絶え絶えに話しかけてくる。 脇目も振らず、貴方を追いかけてきました。そう言われたが正直な話、何を言っているのか訳が分からなかった。 #夢の話

2016-09-18 00:33:39
天晶 @tensyou99

彼を助けた事実はあるが、大したことをしたわけではない。少なくとも傷だらけの状態でわき目も振らずに追いかけられるなどという状況を作り出した覚えは全くなかった。 とりあえず見るからに死にそうな状態な鴉天狗を抱き起こすと、荷物から水筒を取り出して、口に水分を含ませる。 #夢の話

2016-09-18 00:34:40
天晶 @tensyou99

鴉天狗を運んで来た異形は、自分たちから少し距離をとって立ってしていた。 あいつは、お前の知り合いか? 数口、水を飲んだ鴉天狗に自分は問いかける。鴉天狗は自分の視線の先にいた異形を見るとゆっくりと首を横に振った。 #夢の話

2016-09-18 00:37:04
天晶 @tensyou99

あんたが、運んでくれたのか。鴉天狗がそう異形に問いかけるとわずかに異形が頷いたように見えた。ような気もした。 何せ構成要素の大半が黒い靄だ。しかもそれ以外の構成要素である骨や目玉もまれに輪郭がはっきりとすることはあるが、どこか全体的に不明瞭で、見えにくい。 #夢の話

2016-09-18 00:40:03
天晶 @tensyou99

礼をしたい。そんな鴉天狗の申し出に、今度は認識できる程度にそいつは首を横に振った。 俺の名前を受け取ってはくれないか。鴉天狗のその言葉に異形はっきりと動揺した。自分も少なからず驚いた。 #夢の話

2016-09-18 00:41:22
天晶 @tensyou99

この世界で名前を持っているということは特別なことなのだ。簡単に付けたり変えたりが出来るようなものではなく、もちろん譲渡なんてものはもってのほかであった。 #夢の話

2016-09-18 00:43:33
天晶 @tensyou99

日付をもとにして適当に付けたから、大した名前でもないんだ。笑いながら鴉天狗は言う。受け取らなければ、鴉天狗が傷だらけの身のまま引き下がろうとしないの感じたのか、異形は控えめに了承したらしい。 #夢の話

2016-09-18 00:48:41
天晶 @tensyou99

ありがとう『オグマ』、助かったよ。鴉天狗がそう礼を言った次の瞬間、異形の回りの空気が変わった。具体的に何が変わったというモノはない。黒い靄もそのままだが、骨や目玉、そして布の輪郭がはっきりとした。 そこに存在すると言うことが明確になった。 #夢の話

2016-09-18 00:52:43
天晶 @tensyou99

異形がふわりと浮き上がり背中の骨を、手を振るように、ほんのすこし動かしてから、飛び去っていく。ありがとうとか言ってたような気がするのだが、自分の気のせいだったかもしれない。 さて。と自分は鴉天狗に向き直る。 #夢の話

2016-09-18 00:54:37
天晶 @tensyou99

お前は名付ける者だったんだな。 言葉にして、そう確認する。 それは特殊能力のようなものであった。他者に名前を付ける能力。その能力を持つ者をこの世界では『名付ける者』と呼んでいた。 #夢の話

2016-09-18 00:56:15
天晶 @tensyou99

ランク付けの中に収まるようなものではなく、その能力だけで一生食っていけるどころか、巨万の富を稼ぐことさえ不可能ではないのだ。 だが、彼のその能力を使っていないようだ。 #夢の話

2016-09-18 00:56:31
天晶 @tensyou99

この能力を持っていたために数多くのトラブルに巻き込まれる能力者は少なくなく、その点が彼がこの能力を使わない理由の一つかもしれなかった。 それにしても、お前はこれから何と名乗るんだ。自分は先ほどの言葉を曖昧にわらって流す鴉天狗に問いかける。 #夢の話

2016-09-18 00:57:56
天晶 @tensyou99

そうですね…貴方がつけてくれませんか?そんな提案をしてくる。もちろん自分は『名付ける者』ではない。自分が考えた名前を鴉天狗が自身に付けるということだろう。それでも、随分と適当なことだ。 適当だなぁ。と、自分は思ったことをそのまま言葉にしながら軽く笑う。#夢の話

2016-09-18 00:58:27
天晶 @tensyou99

これに出ている異形のイメージ pic.twitter.com/kppvYyKAPW

2016-09-24 23:22:39
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天晶 @tensyou99

で、終了。 鴉天狗は何か別のトラブル処理を頼みに来たんですかね? あと日付をどういった風にすればオグマになるんだ。 #夢の話

2016-09-18 00:59:08