とうらぶ 残穢パロまとめ

モーラベちさ @ino_chisa

遅ればせながらに観た残穢がめっちゃ面白かったので軽率にパロしたい

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サーバーの緊急調整とかで急遽別サーバーの本丸に一時移転になった刀剣男士達が、一見広いながらも至って普通の日本家屋に越してきた初日から五虎退の虎は天井を見て唸るし、浦島の亀は懐から出てこなくなるし、鳴狐のお供も「わたくしめは蔵で寝ます！座敷には上がりたくありません！」とか逃亡する

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二日目、石切丸の朝の祈祷がいつもより少し長いし、太郎次郎兄弟は二人でヒソヒソ話しているし、青江は「僕がいればその内いなくなると思うけどねえ･･･」とにっかり笑いながらも視線が忙しなく欄間辺りを伺ってる。夜には縁側で談笑してる源氏兄弟が会話の端々で唐突に沈黙して同じ方向を睨んでる。

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三日目、歌仙の茶碗が割れていて激怒するが誰も触っていないし欠片も半分だけ見当たらない。燭台切がやけに野菜が虫に食われていることに気を揉んでいる。庭の水音が煩いと餌を持っていった御手杵が首を傾げ戻る「鯉どころか虫一匹いなかったぜ」短刀達が日課の鬼ごっこを中断「人数が合わないんです」

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四日目、次郎が大事な酒を不自然に零す。手が滑ったと笑っているその背後で、零した酒の上に太郎が塩を巻いている。何度拭いても視界がぼやけると、明石が頻繁に眼鏡を裏返す。骨喰が誰もいない方向へ「触るな」鶴丸が「黙っていたが、ここひどい匂いじゃないか？」としきりに床下を探っている。

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五日目、石切丸が殆ど部屋から出てこなくなる。手入れ部屋から唸り声が聞こえるので心配した蛍丸が覗くも誰も使用していなかった。いつもは屋外で修行する山伏が屋敷から一歩も出ずに、ブツブツと何かを唱えながら柱を指で小突いている。夜、一期が弟達の布団を自分の部屋に一纏めにする。

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六日目、弟達が起床した後一期が布団を数えると一式分多かった。歌仙の無くなった茶碗の半分が発見される。数日無くなっただけなのに酷く錆びていた。それを見つけた小夜の着物が血塗れで兄達に心配されるが「僕のじゃない」どこで見つけたか、一体何から取り戻したのか、遂に彼が語ることはなかった。

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夕方、演練部隊が帰還した。皆訝しげな顔をしている。部隊長の堀川曰く「試合開始した瞬間、向こうの秋田君が泣き崩れたんです。それを気遣う蜂須賀さんの顔も真っ青で。あちらの兼さんが刀を納めながら何かを言いました。演練相手の声は聞こえないけど、僕は分かるんです。こう言ってました「逃げろ」

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夜、加州が大和守から離れない「誰かが髪を引っ張るんだ」鶯丸が注いだばかりの茶を湯呑ごと捨てた「妙な顔が浮かんでいた。飲んで腹でも下したらつまらない」同田貫が急に兜を床に叩きつけた。振り上げた刀を仲間に抑えられながら彼が叫ぶ「中に生首が入ってる！俺を睨みやがった、気に入らねえ！」

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彼方此方の部屋で起こる騒動を、近侍の長谷部が叱責して回った。「お前達は何を莫迦な！曲がりなりにも神の端くれともあろう者達が、つまらぬ怪異に振り回されるな！見ろ、山姥切は平然としているぞ！」廊下の端に捉えた白い影を追い、長谷部が姿を消す。ややあって、怒号と何かが圧し斬られる音がした

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「どうした！」長谷部を追う仲間達の最後尾に、ゆらりと山姥切が加わった「何の騒ぎだ」「お前を長谷部が追って行ったんだよ…」駆けつけた場の様相に一同は息を飲んだ。突き当りの部屋は戸の立て付けが悪く、あかずの間として使われてなかった。その戸が今は両断され、抜刀した長谷部に睥睨されている

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「あれは山姥切ではなかった」長谷部が呻く「だから斬ったが、この奥に消えた」指差した先、斬れた戸の断面から覗くあかず間は暗い。夜の闇以上に暗い。長らく凝った空気が可視化しているような、薄ら寒い密度の闇だった。鶴丸が鼻を摘む「ああ、いっとう臭うぜ。二度と嗅ぎたくない臭いだった」

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戸を取り払おうとする長谷部を、横から伸びた手が制した「いけないよ」青江が首を振る「先に知ることがある」「何がだ」長谷部に対峙する青江は少しも笑っていなかった「おかしいとは思わなかったかい。僕達は元居た本丸から移って来た。なら元々此処にいた者達は、何処へ行ってしまったのだろう？」

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深夜。虫の声も聞こえない、静まり返った広間は蝋の燻られる音だけがする。行灯に照らされているのは、刀達の顔と、一冊の本。「私の部屋にあったものだ。祈祷をする場を設ける為に少し家具を動かそうとしたら、備え付けの箪笥の裏から出てきたものだよ」久々に皆の前に顔を見せた石切丸はそう言った。

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「随分汚れていたから解読が難解で、それで長らく部屋に引き篭ってしまっていたんだ」指がゆっくりと頁を開く。「恐らくは先住者が残していたものさ」黄ばみ傷んだ紙面に顕われた字列は『七月二十日　はれ　今日は池の鯉にえさをあげました。喜んでくれて可愛かったなあ』あどけなく幼い字だった

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七月二十五日　ここにきて半月が経った。前の本丸よりも広くて掃除が大変だけど、僕はうれしい。隠れるところがたくさんあるから。今日もみんなでかくれんぼをした。僕は最後まで見つからなかった。とても嬉しい。七月三十一日　今日もかくれんぼをいっぱいした。今剣くんは鬼ごっこの方が好きみたい。

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八月一日　最近なんだか本丸が変だ。燭台切さんが野菜の傷みが早いと困っているし、歌仙さんは花瓶が割れたと怒ってる。にっかりさんはずっと天井の方を見ているし、なんだか怖いなあ。八月三日　今日もかくれんぼが楽しい。だけど最近よく見つかってしまう。もっと見つからない場所を探さなくては。

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五日　いい場所を見つけた。ここなら誰にも見つからない。僕だけの秘密。だけど、一番仲良しのあの子になら教えてあげてもいい。朝食時、膝丸さんが突然畳を突いた。驚いた。　七日　あの子に秘密の場所を教えてあげた。とても喜んでた。嬉しい。夕飯時、髭切さんが突然襖を斬った。どうしたのだろう

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八日　明日は夜戦だから早く寝よう。あの子がお留守番なのは残念だ。いっしょに戦いたかったけれど、あの子の分まで誉を取ろう。九日 かえってきたら、あのこが、いなかった。 ぼくは、なんてことを、してしまったのだろう

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「ここから特に滲んで、一層読み辛いんだ」石切丸が目を細める。陸奥守が腕に止まった蚊を叩いた。次郎太刀が傍らに置いた徳利を引き寄せるが、盃に注ごうとはしない。大倶利伽羅は皆の円座に背を向け、離れた縁側で一人腰を降ろしているが、時折視線を一同に向ける。その数を確認しているかのように。

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十一日　まだあの子が見つからない。あの場所は、なかった。本当は、なかったんだ。僕はとんでもないことをした。あの子が出てこない。十四日　主君は心配ないという。いち兄もそういってくれた。だけどみんな目があかい。十六日　たりない、たりない。あの子だけじゃない。たりなくなってる。いない

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十■日　だんだんへってる。きの■までいたのに、みんないなく■る。■日あのこがよんでる、きっ■そう■んだ。だけどどうしてぼく■よばないの　■日もうほと■どの■ってないみん■かく■てどうしてこ■■　■日　■■■　■■■　■■■　■■■　■■■　■■■　■日　　　　　　　　ふえている

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一座は沈黙に包まれていた。陸奥守も、再び訪れた蚊に血を与えるがままになっている。その刹那、突如音を立てて開かれた障子に、後藤と浦島が抱き合って悲鳴をあげた。「主が留守にされている今、あまり情報は集められなかった」現れた長谷部と青江が、円座の中心に一枚の紙を落とした「これきりだ」

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【移動申請願】××年××月××日本丸におい■の刀剣男士の失■、及び■■■により現状にお■る任務遂行が極■て困難であ■■。よって、審神者■■■の本丸移動申請を受理し■■。但し他サーバー■用■■ない場合、各刀を他本丸に分割しその権利を――【蜂須賀虎徹】【和泉守兼定】【■■■■■】

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「どういうことだい？」茶碗を割られて以来、腹の虫が収まらない歌仙が苛立ったようぼやく。「この本丸に以前いた刀達が、別の本丸に移動されたということだろう。今回の俺達のように別の空き本丸があるならともかく、それが適わないとあれば別の本丸へ刀を譲渡せざるを得ない、という話だ」