鶴丸国永に育てられた人の子の話

ただただつらい。 (10/3) どうにかまとまりました。
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人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

感謝していました。慕っておりました。ずっと好きでした。愛しておりました。いいえ、今も愛しております。親として。兄弟として。友として。想い人として。あなたを愛しております。こころを抱いております。あなたに愛されているならなんでもよかった。形がどうあろうとなんでもよかった。

2016-09-27 13:38:03
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

けれどそこに愛はなかった。求めたそれは愛ではなかった。とてもとてもとうとくうつくしい、紛い物だった。絶望いたしました。望みの無さに。怒りを覚えました。謀られた恥ずかしさに。恨みました。理不尽なまでのやさしさに。そうして呆れました。己の愚かさに。

2016-09-27 13:41:51
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

何故、何故、と問いかけることすらあなたは喜んでくれるだろうと分かるのが悲しかった。人として欲したとして、あなたは受け入れるのだろうと先が見えるのが悔しかった。礼を尽くして、頭を垂れて、その足下に侍ることがあなたにとっての侮辱であろうと動けぬことが口惜しかった。

2016-09-27 13:47:12
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

何がいけなかったのでしょう。あなたに誇れる自分であろうと、努力しました。あなたと共に戦おうと、馳せ参じました。あなたに、ただ一言、「流石だ」と。褒めて貰うためにその他の全てを放り捨てました。何を間違いましたか。何を取りこぼしましたか。神と人とで未来を願ったことが、間違いでしたか。

2016-09-27 13:58:21
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

鶴丸国永に育てて貰ってしあわせになろうとしたのにこのザマだから鶴丸国永まじ鶴丸国永。やはり幸福は未来に無いのだ。過去にしか無いのだ。

2016-09-27 14:12:30
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

鶴丸国永と幸せになりたい……。結婚とかそういう大それたことなんにも言わないから鶴丸国永の隣で生きていくことを許されたい……。何故だ……。何故世界は鶴丸国永の隣を開けてはくださらぬのか……。鶴丸国永と点ではなく線で関わりたい……つらい……。

2016-09-27 14:15:29
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

満足いくレベルで幸せなの番審神者しかいねぇよ……。すげぇよ番審神者……。

2016-09-27 14:17:49

番審神者についてはこちら。
鶴と亀の番の話 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/883810

後日談

人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「生きてることがつらいのか?なら死ぬか?まぁそうやって自分の生き死にを決められるってのも俺からしたら随分趣深いお遊びなんだが」って鶴丸国永に言われる話。やべーな人の子が育ての親怒らせちったよ。

2016-10-01 21:02:07
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

愛されないなら死にたい、に舵を振り切った人の子審神者と結果を受け入れるが自分の最高傑作を損なわれることにイラッとしてしまう鶴丸国永の本丸中を巻き込んだ最終戦争ラグナロク。

2016-10-02 19:24:17
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「だって!だって貴方は俺を愛してはくれないじゃないですか!」「仕方ないだろう?俺はそういうモノだ。別に、人の理で愛されることに否やは無いんだから君の好きにすればいい」「とか言って本当に愛したら不機嫌になるくせにぃ!!引っ掛けか!?引っ掛けなのかこのむっつり傲慢!!」

2016-10-02 19:29:03
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「そうやって純粋な俺を引っ掛けて流石人の子だなって笑うんだろ!そうなんだろ!俺知ってるぞ!強制鶴丸ゼミでつい先日やったからな!!」「……さっきから聞いていれば随分な言い草じゃぁないか。なんだい?俺が君を大事にしたのがそんなに不満かい?」「その!!大事は!!欲しくないの!!」

2016-10-02 19:44:59
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「神も駄目、物も駄目ってそりゃぁ傲慢ってもんだろう。どうやっても俺は人にはなれないんだ、諦めてくれるしかなかろうよ」「分かってるよ!分かってる!……けどさぁ、それでも、と思うことは駄目なのか。先を、願うことは罪か。貴方と俺は確かに違ういきもので、どうやったって同じ気持ちを抱けは

2016-10-02 20:06:26
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

しないが、近しいものなら抱けるんじゃないか。俺と貴方、どちらもが納得出来るだけの。そういう、なにかを」「そうして、見つけられなかったらどうする。選ばないことを選んだ先に、途が無いと知ったら、君は」「……その時は、大人しく生きるよ。貴方が願ったように、どこまでも人らしく」

2016-10-02 20:07:09
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

神と人の子の話。「選ばない」を選んだ一人と一振りのその後の話。あれだけ大騒ぎして答えを長引かせても、結局結論は出ずに人の子の寿命が先に来た。「あとちょっと、だと思ったんだがなぁ」「そのあとちょっと、で何十年生きる気だい。俺としちゃぁ、碌に進んでないように見えるがね」「ははっ」

2016-10-03 11:51:52
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

そろそろ、諦めどきだろうと言い放った言葉に、帰って来たのは笑声だった。はて、鶴丸が視線を下げると、布団に横たわった人の子が笑っている。顔中に刻まれた笑い皺をこれでもかと浮き立たせて。楽しそうに。嬉しそうに。まるで、満たされているとでもいうように。「……なんだい?何が、そんなに、」

2016-10-03 12:03:04
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「何がって?」弾むような声音で、人の子が言った。「何も不思議なことはないさ。一世一代の賭けに勝った、なら、笑うのは当たり前だろう?」「賭け、だって?」意味が分からず訝しむ鶴丸に、したり顔で彼は続ける。「大事だなんだと言いながら、そっぽ向いてばかりの神様を、ほんの一瞬、俺が死ぬまで

2016-10-03 14:42:10
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

の数十年だけでも、同じ方向いて並んで歩かせることができたんだから」――ほら、俺の、勝ちだろう?弓なりに細められた瞳には、満足しかなかった。これで、充分だと。これを以て十全だとする、やわらかな諦めだけが溶けていた。「――君、は」いつから、と問うことも愚問だろう。きっと、初めからだ。

2016-10-03 15:42:47
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

初めから彼は、損と得とを、見比べて。満足するだけの得を、持って行った。掠め取っていった。神と人とで妥協点を見つけられると大風呂敷を広げておきながら、その実、彼は自分が持てるだけまるっと抱え込んで、今、目の前で笑っているのだ。「俺、を。……神を、騙したのか」「騙したとは人聞きの悪い

2016-10-03 16:49:40
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

予防線を張っておいた、と言ってくれ。一か十かの神に対して、十一を望み、五を奪った。そう言って舌で転がすには苦すぎる、あの日の絶望を飲み下した人の子は得意げに、自慢げに、あれだけ恨んだ己が身を誇って告げる。「言っただろう?駄目だったならその時は、大人しく、人として生きると。

2016-10-03 17:05:50
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

その誓い通りに、俺は、人として生きさせて貰ったよ」人の子が、しわくちゃの顔にまた一つ、しわを刻んだ。それを目にして思わず、ずるい、と鶴丸の口から言葉が零れ落ちた。ずるい。なんだそれ。卑怯だ。無効だ。この、不届き者め。ぽろぽろ零れる罵りは、負け惜しみも相まって聞くに堪えない。

2016-10-03 17:16:06
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

しかしそんなごみ屑同然の欠片すらも、人の子は、長く時を経て老成したその男は、嬉しそうに、手のひらを差し出し受け取った。「――嗚呼、」吐息が、細く空気を揺らした。長く、永く、求めたものの切れ端を後生大事に抱え込んで、人として生き続け、そうして生き抜いた男は、ゆっくりと目を閉じた。

2016-10-03 17:24:28
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「――なんてこと、俺が許すと思ったかい?」

2016-10-03 17:25:09
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「おいおいおいおい、流石にこれは虫が良すぎるってもんだろう。俺が“鶴丸国永”だとはいえ、神を騙しちゃバチが当たるのは世の通り。えぇ?それを分かっていながらあの世にトンズラこいて、伊邪那美さまに匿って貰おうなんざ、俺は許しちゃやれねぇよ。ちぃとばっかし逃がしちまったが、ほらこの通り

2016-10-03 18:27:10