◯◯ちゃんを救う会との因果

中野太智@嬉業を科学するコーチング @yy_marketing

10年くらい前に、僕をネットワークビジネスに誘った人がいた。僕は駅前のファミレスに呼ばれて、mixiの飲み会で知り合った彼と、その彼が連れてきた成功者風の人と三人でしゃべった。履歴書を書いて、就職の面接として、僕はファミレスに行った。 （つづく）

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その時僕は全然お金がなかった。ネットワークビジネスはお金がかかるものだと知らずに呼び出され、お金がかかることを説明されて「なんて詐欺みたいな話なんだ」って思ってた。実際詐欺まがいの話だった。当然断った。その話の最後、彼は「娘が、障害者なんです」と言った。知るか、と思った。（つづく

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明らかに成功者風の男は、彼に営業トークとしてそれを言わせていた。だけど、彼は本当に泣いていた。僕は、ただ「騙されそうになった。あぶなかった。やれやれ」としか思っていなかった。そして数年後、彼は市議会議員になったことを知った。地元の市議会議員だし、写真を見れば顔を思い出す。（つづく

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彼が市議会議員になったことを知ったとき「ネットワークビジネスで人を騙してたやつが、何が議員だ」って正直思ってた。その後、二期目は当選せず落選したらしい。そのことは知らなかった。（つづく）

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なんで今この話をしているのかというと、全国の議員がセコい不正を働いているニュースをみて、彼のことをふいに思い出したから。そして、彼のことをfacebookで検索した。すぐに見つかった。僕のことを騙そうとした彼の顔。それと一緒に、彼の娘の顔。（つづく）

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僕は彼の娘の顔を、facebookで何度も見ていた。「◯◯ちゃんを救う会」で。彼があの時泣きながら、「娘が障害者なんです」と言っていた、その娘さん。それがその子だ。その時、やっと気付いた。（つづく）

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彼は自分の愛する娘を救うため、なりふり構わず活動し、障害者福祉を変えるため、市議会議員にまでなった。これが愛ではなくてなんなのだろう。僕は彼のことをきっとずっと誤解していた。彼のことを、尊敬できる、そう思った。すごいやつだ。そして、何かできるなら、金銭的にでも支援したい（つづく）

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あのとき、彼がだまし討ちのように僕に進めてきたネットワークビジネスは、全く心が動かなかったけど、きっと彼は「これなら娘を救える」そう思って、僕にそれを進めようとしたんだろう。すごいことだ。因果を感じた。あのとき僕は彼を救えなかった。今なら何かできるかもしれない。連絡がとりたい。

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facebookで友達申請してみたけど、受理してくれるかな。もし受理してくれたら、今ここで書いていることを、そのまま伝えてみようと思う。そして彼にもう一度会えたらいいな。10年経った。お互い、ちっとはマシな大人になったと思う。