- EVO_Hitachi
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アーソンに支えられながらヤクザビルを出ると、入り口にソウカイ家紋つきリムジンが停まっていた。迎えを呼んだ覚えもなく訝しんだが、クローンヤクザ運転手がオジギして後部座席の扉を開けたとき、ソニックブームは思わず背筋を正した。 1
2016-10-02 16:00:34「ドーモ。ソニックブーム=サン、アーソン=サン。ゲイトキーパーです」ラオモト・カンの懐刀、ソウカイヤの屋台骨を支えるニンジャが、悠然と座っていた。「ドーモ、ゲイトキーパー=サン。ソニックブームです」「ドーモ。アーソンです」「乗りなさい。戻りましょう」 2
2016-10-02 16:05:22断れる筈がない。二人は恐る恐るリムジンに乗り込んだ。「首尾はどうだね。随分苦戦していた様子だが」ねぎらうようだが、ソニックブームの有様を採点するような怜悧さも感じる。「それは、カラテが未熟だったせいで」ソニックブームは素直に非を認めた。 3
2016-10-02 16:11:26ソニックカラテの強さを補う為、更にトレーニングを積む必要がある。「アーソン=サンがバックアップしてくれたおかげです」「……確か、君のレポートではもうひとりニンジャがいた筈だが。シルバーカラスと言ったか」ソニックブームは礼をしたまま報告する。 4
2016-10-02 16:14:49「奴は相手の裏をかき、内通者を殺しに。そちらも上手く行ったようです」「憂いは絶ったというわけかな」ソニックブームは頷いた。「これで、ジャノミチ・ストリートは、ソウカイ・シンジケートの仕切りです。上手くすればケゴン・ストリートも」 35
2016-10-02 16:19:12ゲイトキーパーは目で頷いた。ソニックブームは、ゲイトキーパーがここにいた理由を推察する。今回のミッションは、ソニックブームにとってひとつの試験だった。試験官としてどこかからこのイクサを監視していたものか? 36
2016-10-02 16:23:01「今後のあの界隈の仕切りですが、今回の働きもあるので、アーソン=サンに任せるべきではと……」ゲイトキーパーは片手を上げて遮る。何かを見定める様にソニックブームを見た。「良い判断だ。だが、私の決める事ではない。君が決めなさい」 37
2016-10-02 16:26:36ある種の厳粛さを持って、ゲイトキーパーは告げた。ソニックブームはゲイトキーパーを思わず凝視した。シツレイにあたるが、ゲイトキーパーは咎めなかった。「……よろしいんで?」 38
2016-10-02 16:30:35尋ねながらも、求めていた椅子に手がかかる感触を、ソニックブームは確かに感じていた。「むろん、君が、シックスゲイツの空席に座るつもりがあるなら、だが」 39
2016-10-02 16:36:11――これだ。この言葉ひとつ賜るために、ここまでやって来た。その言葉が意味する責任を、優越を、骨の髄まで啜ってやりたかったのだ。「ヨロコンデー……!」ソニックブームは高揚を押し殺し、奥ゆかしく一礼した。 40
2016-10-02 16:42:58シルバーカラスがどうなったのか? それについては、同人誌版で読むことができました。
お陰様で在庫がなくなりましたので、いずれweb再録という形で何かすると思います(2017年10月現在)