gdrb140字SSまとめ

夜八 @night_eight8

白い天井と真横の彼の顔とを行き来して視界がぐるぐる回る。落ち着かないとと思っても、黙って天井を見るのも居心地悪いし、彼の緑の瞳をじっと見つめようものならついに心臓が破裂するだろう。「そんなに赤くなることないでしょうに」ロビンが笑う。だってこんなに緊張と幸せがない交ぜになるなんて！

好きな食べ物は鯛です @si34mo

いらっしゃい、とマントを広げると、お邪魔します、と躊躇いなくマスターが飛び込んでくる。勢いがありすぎて強か背中を木の幹にぶつけたが、まぁ、マスターがあんまりにも嬉しそうな笑顔で「ロビンのマントあったかいね」って笑うもんだから。ああもう！そんな顔されたら怒るに怒れないでしょうが！

アナゴさん @Elias_T926

怒ってる？　と聞けば、別に怒っちゃいませんぜ、と返ってくるのはそっけない返事。前に回って顔色を窺おうとすると、あからさまにロビンはそっぽを向いた。何か気に障ることしたかと覗き込んで問えば、途端に顔を赤らめて振り向く。「そーやって無意識にこっちの気を引くの、ホントずるいんですよ！」

アカウント移動します詳しくは固定へ @WAAURB

傷つく事の知らない、柔らかな、まだまだ小さな子供の手。その手が指に触れ、髪に触れ、頬に触れる。掌いっぱいにアンタの熱が伝わって、ずくりと胸が疼いた。緊張と、不安と…情欲に震えるアンタの手をそっと包んで。こいよ。カッコつけて口にした三文字が、どうか震えてないように、とそっと願った。

ひくー @hiku_sq

「寝れないんですか？」狸寝入りは分かっていたから、驚かなかった。ただぼんやりと山吹色の髪を弄びながら一つ欠伸をする。どっちもハズレだ。そっと頭を撫でられて促されるけど、俺はロビンとは違うから、ちゃんと口で返した。「俺も寝た後でロビンがここから抜け出すんじゃないかって、不安なんだ」

夜八 @night_eight8

靴下一つ変えるだけでこうも違うものかと驚く。今は靴に覆われて見えないそれを思い出して笑みを浮かべた。暖かいのは靴下のせいだけじゃなく、きっとそれを贈ってくれた人の想いを感じられるからだ。「凍えてませんか」かけられた声に振り向く。白い息混じりに答えた。「大丈夫。ロビンのおかげでね」

アナゴさん @Elias_T926

吐く息の白さに、薄い服装のマスターが気になって振り返る。「平気ですか、そんな格好で」するとマスターは、ふわりと笑って背中の荷物を指す。「大丈夫だよ、ロビンのくれた毛布があるから」あんな襤褸、まだ後生大事にとってやがったのか。チッと舌打ちすれば、ますますマスターは笑顔を向けて来た。

アカウント移動します詳しくは固定へ @WAAURB

「さむいっすわ！」鼻先を朱に染めた彼が、唇を尖らせて空にクレーム。そんなに寒いなら手袋付けてきなよ？なーんて問えば それは…と言ったきりそっぽを向いて黙ってしまった。意地悪だったかな。あぁ、今日も寒い。頭の先から爪先まで冷えて仕方ない。…たった一つ、彼と繋いだ左手だけを除いては。

好きな食べ物は鯛です @si34mo

サーヴァントは寒さも暑さも感じない。だからそう、この誘い文句はおかしいのだ。「……最近寒くってしょうがないんですよ。だから、マスター…」暖房を付けるにはまだ早い十月の下旬。二十三時過ぎ。部屋の暖房も付いていないのに、オレを出迎えたマスターの顔は、みるみるうちに赤くなっていった。

柚年 @totobi3031

こちらに背を向ける小さい存在が救世主だなんて、懇切丁寧に話してやったところで、一体誰が信じるのだろうか。自室のベッドに沈む度に、俺の知らない時間を思い出してはごめんなさいと繰り返す、こんなにも小さい存在を。あぁ、死にたいと、投げ出したいと、一言俺に漏らしてはくれないものだろうか。

柚年 @totobi3031

マイルームに帰ったところで、やっと緊張が解けた。いかにも偉大な存在の前では、いかにもそれらしい行動をしなければならない。しかし、何も分からない未熟な俺を、優しく、厳しく、真っ直ぐに導いた深緑の弓の前では、仮面など必要が無いのだ。そんな彼でなければ、こんなに安らかに眠れただろうか。