皇子松→吸血鬼松妄想

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追想のバンパイア

        ――マツノフの兄弟―
さうす @sa__za_n_

『追想のバンパイア』 一節「離宮のバンパイア」→二節「森の館のバンパイア」→三節「帝都のバンパイア」→四節「牢獄のバンパイア」→終節「追想のバンパイア」 舞台は1920年代のアカツカ連邦国。モデルはソ連とロマノフ王朝。

2016-10-19 01:49:18
さうす @sa__za_n_

テーマは罪とか家族愛とか、思い出とか。 ストーリーモチーフは『追想』と『アナスタシア』とブラック・ジャックの『サンメリーダの鴞』より。 まだ吸血鬼松のストーリー見る前の妄想。

2016-10-19 00:07:07

登場人物

さうす @sa__za_n_

カーラ→『罰を塗られたもの』という意味の名前。神父。チビタフ司祭の元で5年間暮らしたが、チビタフ司祭以外の人間はカーラ神父を「罪人」と罵る。罪の償いとして、帝国を荒らす五人の吸血鬼を全て殺し、首を持って総統に差し出せば罪を帳消しにすると言われ、吸血鬼狩りの旅に出た。記憶喪失者。

2016-10-18 23:28:30
さうす @sa__za_n_

チビタフ司祭様はもちろんチビ太。吸血鬼狩りはトトコーヴィヤ嬢とイヤミスキー氏。二人とも元貴族だが革命の折に爵位を奪われ吸血鬼狩りとなった。オソマトゥ皇子たちとは幼なじみであり、かつ最期にアカマツェフ邸に王家が監禁されるまでずっと親しくしていた。吸血鬼と化した皇子たちを追う。

2016-10-18 23:45:00
さうす @sa__za_n_

っちゅー王子からの吸血鬼パロが超超超超みたいんで誰かください。 正教会の牢獄で囚われのイチマトゥとか、憎しみに駆られてるトドマトゥとそれを止めるジュウシマトゥか、虎視眈々と革命軍のリーダーを殺そうとして宮殿にいるチョロマトゥとか、気ままに生きてるけど弟たちが心配なオソマトゥとか!

2016-10-18 21:21:22

あらすじ

吸血鬼狩りのカーラ神父

さうす @sa__za_n_

マツゾゥ皇帝とマツヨ皇妃はアカツカ帝国革命の折、六人のまだ若き皇子を連れてアカツェフ屋敷へ監禁された。厳しい生活の中、八人は助け合って暮らしたが、反革命軍の勢力の強さを恐れた指揮官が処刑を敢行。オソマトゥ皇子をはじめとした六人の若き皇子は処刑されることを知らずいきなり銃殺された。

2016-10-18 21:03:36
さうす @sa__za_n_

――しかし、その遺体は未だ見つかっていない。 まことしやかに囁かれる生存説。そして、同時に突如現れ、帝国内を賑わす吸血鬼の存在。 処刑から数年経ったある日、隻腕の神父に吸血鬼討伐の依頼が舞い込んだ。 「吸血鬼?」 「ああ、しかもそいつはとびきり強いらしい。吸血鬼を作る吸血鬼だ」

2016-10-18 21:06:26

離宮の吸血鬼オソマトゥ

さうす @sa__za_n_

神父は乞われるままに吸血鬼のアジトだという離宮へ向かう。 「……ここは」 かつては美しかったであろう寂れた離宮。六年前に滅んだ帝国の離宮であった。神父はひどい頭痛に苛まれながら、離宮に足を踏み入れた。大広間には蜘蛛の巣が張り、窓は悉く割れている。 「ようこそ、今宵の舞踏会へ」

2016-10-18 21:09:33
さうす @sa__za_n_

大広間の玉座に腰掛けているのは、美しい衣装を着た青年だった。 「……ッ」 がんがんと頭が割れるように痛む。青年は軽く笑いながら神父をたすけおこす。 「なんでこんなところに来たの?」 「吸血鬼が……いると聞いて」 「退治しに?」 神父は頷く。 「なんで?」

2016-10-18 21:13:46
さうす @sa__za_n_

「俺は大罪人なんだ……。昔のことは全然覚えていないけど、とても悪いことをした悪人だと言われて来た。だから償いをしなくちゃならない。神にも、この国にも。だから、そのために国を惑わす吸血鬼を討伐するんだ……」 神父の言葉に、青年は悲しげに微笑んだ。 「お前は幸せに生きてて欲しかった」

2016-10-18 21:15:55
さうす @sa__za_n_

「俺のことを知ってるのか?」 「知ってるよ。よぉく知ってる。でも、ここでお前に倒されるわけにはいかないんだよねえ。――カラマトゥ、アカツェフ邸へ行ってみな。お前の、過去と向き合う覚悟があるのなら」

2016-10-18 21:17:10

森の館の吸血鬼兄弟

さうす @sa__za_n_

「神父さん、神父さん。どうか助けてくだせぇ」 「誰だ?」 「ぼくはジュウシマトゥ。どうか弟を助けて欲しいんだ。きっと、神父さんにしかできないから!!」 なんで俺にしかできないんだ、と思いつつジュウシマトゥに連れられた先は、森の奥の小さな邸だった。

2016-10-18 21:25:01
さうす @sa__za_n_

森の館にはジュウシマトゥとよく似た顔の青年が暮らしていた。しかしその青年は酷く荒み、神父と見るや殺しにかかる。 応戦するうちに、この兄弟がどちらも吸血鬼であると知る。 「……憎い憎い人が憎い!」 「弟は憎しみに駆られて、無差別に人を殺そうとしてしまっているの! 止めてあげて!」

2016-10-18 21:27:23
さうす @sa__za_n_

取り敢えずトドマトゥを結界に閉じ込めて話を聞こうとする。 血を操るトドマトゥとの戦いは難儀をしたが、ジュウシマトゥの援護もあってなんとか動きを止めることに成功する。 「なんで……なんで止めるの兄さん!」 「だって、国民たちを守るのが僕らの役目だよトドマトゥ!」

2016-10-18 21:31:02
さうす @sa__za_n_

「そんなことどうでもいい! 何が国民だよ、何が国だよ! そんなもののために、そんなもののために……」 「トドマトゥ、それでもさ! ぼくらまだこうして生きてるんだよ! そりゃ、化け物みたいになっちゃったけど!」 「お前たちは……元は人間だったのか?」 「――アンタはどうして……」

2016-10-18 21:34:37
さうす @sa__za_n_

「神父さん。神父さんはぼくらを化け物だと思う? ぼく、首が取れるんだ!ほら!」 「うわっ! ……い、いや、噂で言われているような化け物にはどうしても思えない。……二人とも、ものすごく人間らしく見えるんだ」 ジュウシマトゥは朗らかに礼を言う。 「ありがとう! ほんとに嬉しい!」

2016-10-18 21:37:51
さうす @sa__za_n_

「ねえ、神父の兄さんはどこに向かってるの」 「神父の兄さん!? いや、ええと、アカマツェフ邸に行けと変な吸血鬼に言われてな。行ってみるつもりなんだ」 邸の名を聞いた瞬間、二人は大きく目を見開いて色を失った。 「アカマツェフ邸に……?」 「どうして」

2016-10-18 21:39:41
さうす @sa__za_n_

「……アカマツェフ邸に行くなら、その前に帝都へいきなよ。帝都に僕らの兄さんもいる。僕らはあんたを止めないけど……でも、行かないほうがいいとも思う」 「……うん、ぼくも、あんまり、おすすめはしないっす」 「アカマツェフ邸って何なんだ?」 「知らないなら、そのほうがいいよ。神父さん」

2016-10-18 21:41:28
さうす @sa__za_n_

「アカマツェフ邸への道は帝都の兄さんに聞いて。チョロマトゥっていうの。顔は僕らと同じ」 「吸血鬼なのか?」 「うん。あの人が一番吸血鬼らしいかな。でも気をつけてね。無差別に殺しはしないけど、人間嫌いだから」 「……さようなら、神父さん。何かあったら呼んでね、ぼくの名前を」

2016-10-18 21:43:15