ジョジョ4部 140字ssまとめ@苺庵

とりあえずざっくりまとめてみました。
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苺庵🐾 @nyanmame310

⑥【不器用同士の愛情表現/露億】いつか、するりと掌からこぼれ落ちてしまう気がした。拭いきれない不安を少しでも遠ざけたくて、目に見える形で繋ぎ止めたかった。少し高めの体温を抱ききしめて、首筋を吸うと彼の体が跳ねる。「せんせ、痛ぇよ」困ったように笑いながら、彼はそっと僕と手を結んだ。

2017-02-19 21:49:30
苺庵🐾 @nyanmame310

⑦【懺悔/サー(形)億】彼は時折やって来て、俺に兄の姿をしろと言う。彼の持つ写真に触れ、そっくりそのまま写し取ると、彼は形容し難い歪んだ表情を浮かべた。震える唇が、『ごめん』と紡ぐ。俺は、何も言わずに彼を見返した。はらはらと涙を流す彼には、上っ面な言葉など届かないとわかっていた。

2017-02-19 22:05:59
苺庵🐾 @nyanmame310

⑧【可愛い人/億形♀/R18】姉貴は苦しそうに喘ぐ。唇を噛み、ぎゅっと目を閉じて顔を背ける。俺としては声が聞きたいし、顔も見たい。姉貴は毎回、意地でも堪えようとして酸欠になる。「…意地っ張り」耳元で囁くと、姉貴はふにゃりと脱力した。真っ赤な頬、潤んだ瞳、どこもかしこも可愛らしい。

2017-02-19 22:17:05
苺庵🐾 @nyanmame310

弟は、もう嫌だと泣き叫んだ。叫んだところで掠れた喉から出る悲鳴はか細い。抗う手足も力無く、押さえ込むのは容易だった。律動に合わせて涙を零し、顔を必死に背けた弟は、嫌だ嫌だと喚き続ける。「何が、そんなに、嫌なんだッ!」―俺が見たかったのは、こんな表情じゃなかったのに。【拒絶/形億】

2017-02-22 18:33:57
苺庵🐾 @nyanmame310

彼女は、私の事を知らない。私が同じ学校の生徒で、よく図書館に来ている事になら気付いているかもしれない。私の名前も、私がいつも彼女を見ている事も、彼女は知らない。―私は、彼女を知っている。杉本鈴美。読書好きで美しい手の女性。…あぁ、もっと君の側に行けたなら。【文学少年と青春/吉鈴】

2017-02-27 22:14:14
苺庵🐾 @nyanmame310

幾重にも錠をかけた心が軋んでいる。傷付くのを恐れて色んな物を閉じ込めたら閉じ込め過ぎて、身動き一つ出来なくなった。2万通りのパスワードは、何一つ思い出せない。「…兄貴」部屋の隅で身を縮めた俺に、億泰がそっと耳打ちする。優しく抱かれた体から、錠が外れる音がした。【パスワード/形億】

2017-02-28 19:40:20
苺庵🐾 @nyanmame310

絡めた指に力が籠る。離したくない。離さない。肉付きの薄い体を引き寄せ、項に歯を突き立てる。紅く色付く噛み痕に、独占欲が疼く。億泰。俺だけの億泰。そんな我が儘な俺に、億泰が笑う。「兄貴は俺がいねぇと駄目だなァ」―そうさ。お前を愛したあの日から俺は、【お前無しでは生きられない/形億】

2017-04-10 19:14:31
苺庵🐾 @nyanmame310

つれない兄貴。俺がどんなに誘惑しても眉一つ動かない。毎日飽きもせず祈りを捧げる兄貴を遠目に、俺は牛乳瓶を傾ける。教会から礼拝客がいなくなる日没まではお預けだ。(まだかなァ)焦れて揺らした瓶の中身がとぷんと音を立てる。腹の奥が、じわりと疼いた。【牛乳色の想い/神父形×サキュバス泰】

2017-04-11 20:38:42
苺庵🐾 @nyanmame310

俺達が何をしたのだろう。あと幾つ祈りを捧げれば救われるのだろう。生まれも育ちも恵まれず、神に仕えてもまだこの地獄から抜け出せない。飾り物の十字架に悪態をつき、きっとこれは生前より犯した罪の罰だと気付く。果てしない欲に床を汚しながら俺達は、【今宵も懺悔を繰り返す/神父形×サキュ億】

2017-04-16 16:21:37
苺庵🐾 @nyanmame310

時を刻む針が喧しい。窓を叩く風も耳障りだ。重い物が纏わり付くような不快感が鼓動を早め、俺は固く目を閉じ夜を耐える。『…眠れねェのか、億泰』もういないはずの兄貴の声。閉じた瞼の向こうで、明かりが灯る。温もりに微睡みながら、俺は、兄貴がいつだって側にいるのだと知った。【不知火/形億】

2017-05-10 20:48:20
苺庵🐾 @nyanmame310

激しい雨を避け駆け込んだバス停の屋根の下、僕は億泰に深く口付けた。水も滴る…じゃないが、濡れた億泰にざわりと腹の奥が疼く。「ッせんせ、人来る」「来やしないさ」「家まで我慢しろよなぁ」…人を盛った犬みたいに言いやがって。僕は溜息を吐き、鉛の空を仰いだ。【雨上がりを待ちわびて/露億】

2017-05-10 23:57:29
苺庵🐾 @nyanmame310

「兄貴の弁当、美味ぇよなあ」その何気ない言葉で昔を思い出す。初めて弁当をこさえてやった日。崩れた卵焼き、焦げたウインナー、歪なおにぎり。明らかな失敗作を綺麗に平らげて、億泰は「美味しい」と言う。今日も空になった弁当箱を洗いながら、俺は小さく微笑んだ。【君が喜んでくれるから/形億】

2017-05-11 07:32:45
苺庵🐾 @nyanmame310

こんな事はやめるべきだと、身体を結ぶ度に兄貴が言う。間違っている、と。世間の常識からズレている、と。悲しそうに顔を歪め、惜しむように唇を合わせておきながら「お前が幸せになれない」と嘆く。兄貴と俺が愛し合うのを世間が不幸と呼ぶのなら、俺は幸せになんかなりたくない。【望むのは/形億】

2017-05-14 13:30:21
苺庵🐾 @nyanmame310

サーフィスを突き飛ばして上に跨り、真っ直ぐナイフを振り下ろす。刃は、胸に深く突き刺さった。「…何かあったんスか」顔に向かって唾を吐いても、表情は全く揺るがない。上っ面で言葉を紡ぐコイツは俺が何を言おうとしようと受け止めてくれる―そう思うと、不思議と気が楽だった。【君だけ/サー間】

2017-05-14 13:53:11
苺庵🐾 @nyanmame310

@funeominkororin 「―胸、ばっか、やだッて言ってんじゃん!」胸元から引き離そうと億泰が俺の頭を掴む。正直、力で抑え込むのは簡単だ。それもまた一興だが、妹が嫌がる事は極力避けたい。「嫌か?」「嫌…つーか…」歯切れの悪い妹は脚を擦り合わせ、身を捩る。弱々しい声が、意地悪と呟いた。【焦れったい/形億♀】

2017-05-14 19:40:10
苺庵🐾 @nyanmame310

「夜が暗い理由を知ってるか?…"色んな物"を隠すのに、丁度いいからさ」―点滅する外灯の下、俺は弓矢が入った鞄を強く握り締めた。「…朝が来れば、それは暴かれるのでしょうか」目の前の警察官は何も答えない。背を向け去っていくその男と俺が出会う事は、二度となかった。【未回答の質問/良形】

2017-05-19 13:37:20
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