ジョジョ4部 140字ssまとめ@苺庵

とりあえずざっくりまとめてみました。
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苺庵🐾 @nyanmame310

俺の親友は今日も橋の手すりに 持たれては、身を乗り出して下に 流れる川を見る。「なぁ仗助、兄貴は ここでいつも何を考えてたと思う?」 俺はさもとぼけた調子で「馬鹿な おめーの事でも考えてたんだろ」と 答えた。 【彼が死ねなかった理由】 「彼はきっとその手を伸ばす」

2016-05-22 22:19:31
苺庵🐾 @nyanmame310

画用紙をクレヨンでぐちゃぐちゃに塗り潰した俺は溜息をついた。「父親の絵描けったって、わかんねーよ。俺、親父が働く姿も遊ぶ姿も知らねぇしよぉ」その向かいで、真っ黒に塗り潰した画用紙を前に兄貴は「仕方ねぇさ」と返事した。「俺達は、父親というものをよく知らない」【居残り課題/虹村兄弟】

2016-05-31 23:53:22
苺庵🐾 @nyanmame310

その日も、俺は親父を見て「あぁまた殴られる」と思った。俺は、「親父なんかいなくなれ」と願った。そしたら、親父は化物になってしまった。肉の芽もディオもよく知らない、ただあの日親父があぁなったのは、もしかして俺のせいなんじゃないかと今でもたまにふと思う。【過ぎ去りし日を思う/億泰】

2016-06-06 21:51:53
苺庵🐾 @nyanmame310

叫び声を上げ、家の奥へと逃げていく親父の背中を見送った俺は、泣きじゃくる弟を抱きしめた。震えるその頭を撫でて、怖かっただろう、恐ろしかっただろう、俺がいるからもう安心だ、と繰り返す。気付けば俺も弟に縋りついていた。待てども待てども、震えはちっとも収まらない。【初めての恐怖/形兆】

2016-06-06 22:05:43
苺庵🐾 @nyanmame310

兄貴の瞳が好きだった。人に見られるというのはそんなに気分のいいものじゃないけど、兄貴だけは別だった。俺を見る兄貴の瞳は、春の日差しみたいに優しかった。―だから、知らない。俺を見下ろす熱を帯びた瞳も、全身を舐め回すようなその視線も。「―億泰、目を閉じるな。」【俺の知らない顔/億泰】

2016-06-12 23:33:47
苺庵🐾 @nyanmame310

「億泰、目を閉じるな。」苛立ちというより、困ったような声だった。どうにもこればっかりは心の準備に時間がかかって仕方ない。「…億泰。」焦れたような、その甘い声に脳が痺れて溶けていく。「…兄貴、そいつァずるいですよ…」―俺達のキスは、見つめ合わなきゃ始まらない。【キスの決まり/形億】

2016-06-12 23:55:52
苺庵🐾 @nyanmame310

「笑え、だぁ?」あからさまに嫌な顔をされた。「なんだよ藪から棒に。見せろと言われて見せるもんじゃない。嫌だね。お前にだけは絶対見せねーっつーの」―未だ、俺は間田さんの笑顔を知らない。愛しい姿をいくら真似しても、鏡に映った彼は決して笑ってくれやしないんだ。【笑顔に焦がれて/サー間】

2016-07-21 22:58:11
苺庵🐾 @nyanmame310

大切な人がいた。その人は、今もどこかにいる。名前も顔も覚えていないが、その人のお陰で自分は今を生きている。忘れない。もし出会えたら、残りの人生全部その人に捧げたいと思っている。「―そりゃまた、熱いッスね」隣の男は、さも自分が言われたみたいに照れ笑いをして見せた。【今も隣で/形億】

2016-07-25 23:55:34
苺庵🐾 @nyanmame310

例えば、朝起きて隣に貴方が寝ていたとする。俺はきっと声も出ないほど驚いて、寝起きがいい貴方はその僅かな物音でぱちりと目を開け「うるせぇ」なんて言うんだろう。あるいは俺より先に起きて、朝食の支度をしているかもしれない。―もし、もしも貴方が生きていたらの話。【もしも貴方が/虹村億泰】

2016-08-07 00:13:04
苺庵🐾 @nyanmame310

罪人に罰が下る。眩い光の世界を抜けて、夕暮れ時の茜空へ。電線に落ちるその刹那、逆さまの我が家が目に映った。灼熱に身を焼かれ、殺せなかった親父と遺してきた弟の姿が頭をよぎる。…もう一度やり直したい。もう一度、家族3人で笑いあえたらそれ以上の幸せはない。【叶わなかった願い/虹村形兆】

2016-08-07 01:05:45
苺庵🐾 @nyanmame310

「お前、俺の事どう思う。」―そんな質問されたところで、俺が返すのは決まって上っ面だけの言葉。「どうって、愛してますけど。」彼は時折、不安そうにその質問をする。そして俺は毎度、同じように答えている。…違う。違うんだ。だって俺は、愛も上っ面しか知ってない。【本当の愛の伝え方/サー間】

2016-08-07 01:20:58
苺庵🐾 @nyanmame310

どうも初めて会った時から俺は奴に惚れていたらしい。長くて綺麗な金髪が、戦地の兵士のような瞳が、寂しそうな背中が愛おしかった。『なぁ、このまま逃避行でもしようか?』耳元でそう誘ったら、奴は「御免だ」と俺の手を払い去った。俺の恋が、焼け焦げて消える音がした。【きっとそれで正解/音形】

2016-08-07 10:54:18
苺庵🐾 @nyanmame310

見上げた天井の窓からは月の光が差し込んでいた。排気ガスにまみれた都会とは違う、綺麗な夜空。真夜中だってのに、胸に刺さった物がはっきり見えるほど明るい。それにしてもこの町の夜は冷えるなぁ、なんて考えながら、見上げた月は歪んでみえた。【あの日見た空は吃驚するほど澄んでいて/虹村億泰】

2016-08-07 21:01:10
苺庵🐾 @nyanmame310

「仗助、オメー俺が死んだと思って取り乱したんだって?」茶化すような言い方だったが、声色は真摯だった。「…ワリィかよ」「いや…まぁ俺も同じ状況なら取り乱してたろうなぁ」「…じゃあいいだろ、言わせんな」照れくさくなって目を逸らすと、億泰も照れくさそうに笑った。【ずっと側にいて/仗億】

2016-08-08 15:22:00
苺庵🐾 @nyanmame310

昔も今も、兄貴は俺の前を歩いていた。暗闇だろうと、茨の道だろうと、兄貴が通った後ろに出来た道を俺はただ追いかけた。兄貴は時折振り返って、俺についてくるなと言う。兄貴は1人でどんどん遠くへ歩いていく。追うのをやめたら、もう二度と会えない気がした。【どこまでもついていくよ/虹村億泰】

2016-08-11 18:58:49
苺庵🐾 @nyanmame310

噎せるほど血生臭い部屋、既に再生し始めたグチャグチャの親父。返り血と、我武者羅に親父を殴った拳から垂れる兄貴の血が混じってポタポタ音がする。「億泰、疲れた」兄貴は振り向きもせず言った。俺は涙を堪えて、倒れそうな兄貴を後ろから強く抱きしめた。【泣きそうな時の貴方を知っている/形億】

2016-08-12 19:44:18
苺庵🐾 @nyanmame310

弟を突き放さなければならない。億泰は俺に頼りきりで俺がいないと何も決められない。一人で生きていく勉強をさせなきゃならない。「…億泰」「ん」「…俺は、お前を弟と思うのをやめる。だから俺を兄と思うな」「?…わかった、形兆さん」―言うと思った、この馬鹿。【だから離れられない/虹村形兆】

2016-08-12 19:56:55
苺庵🐾 @nyanmame310

彼は言葉を持たない。そもそも、あんな虚無に満ちた顔で人並に感情を持っているのか。アレを「彼」と定義して良いかもわからない。アレは紛れもなく弟の分身で、弟の精神で、言ってしまえば弟自身だと知ってる。「…それでも、お前が愛しい」―なんと滑稽な愛だろう。【口にするのも愚かしい/ハン形】

2016-08-18 18:47:45
苺庵🐾 @nyanmame310

貴方を愛してる。―その言葉に、彼は心底驚いたような顔をした。小さな唇が震えながら、「嘘つき」と紡ぐ。そんなのは聞きたくない、と言って、彼は苦しげに胸を抑えた。ぼろぼろ落ちる彼の涙が勿体なくて、指で掬うと払われた。何を真似てるんだ、と彼に睨まれて言葉を失った。【心の真似事/サー間】

2016-08-18 22:33:24
苺庵🐾 @nyanmame310

「―雨、やまないな」窓越しの空は相も変わらず灰色だ。頬に跳ねた泥臭い液体を拭い、今頃階下で不貞腐れてるであろう弟を憂う。「…これじゃ億泰が遠足に行けねぇだろ、役立たず」軋む梁にくくりつけた縄でぶら下げた、醜い照る照る坊主。形兆は、深く溜息をついた。【明日天気にしやがれ/虹村形兆】

2016-08-22 19:59:25
苺庵🐾 @nyanmame310

億泰と寝るのが嫌いだ。億泰は寝相が悪い。体温が上がって暑くなると布団を蹴りとばし、そのまま寝るから腹を冷やす。故に俺が布団をかけ直さないといけない。「―あにき…?」それでいて、時折起きて俺を抱き寄せる。「寒くねぇか…?」なんて、寝ぼけた声で囁くもんだから、【熱くて眠れない/億形】

2016-08-22 20:52:30
苺庵🐾 @nyanmame310

億泰、と耳のすぐ横で呼ばれてぞわりと肌が粟立った。思わず仰け反った俺を兄貴が掴んで引き戻す。「…何を怖がってやがる」兄貴の息が顔にかかる。近い。「…や、優しく頼むぜ…?」俺は恐る恐る兄貴を見た。兄貴は、「善処してやろう」という難しい言葉の後で、ニッコリと笑った。【笑顔の裏/形億】

2016-08-29 18:55:21
苺庵🐾 @nyanmame310

時折、飛んでいった風船を眺めるみたいに億泰が空を仰ぐ。隣で足音が止む度に俺は億泰が消えたと思って不安になる。手放した風船が飛んでいくみたいに億泰も遠くへ行く。呼び戻しちゃいけない気がしていつも一瞬迷うけど、誰かが呼ばなきゃきっと億泰は戻ってこない。【誰かが連れていきそうで/仗億】

2016-08-29 19:43:30
苺庵🐾 @nyanmame310

「もういい」―詳しくはわからないが、彼がそう言うと俺の意識は靄みたいに消えていく。多分、「もう要らない」という意味なんだろう。「要らないから消えろ」という、至極簡単な別れの言葉。俺はそれに『おやすみ』と返す。次会う時の姿は違えど、きっと「俺」は逢えるから。【しばしの別れ/サー間】

2016-08-29 20:02:20
苺庵🐾 @nyanmame310

「億泰、兄ちゃんとゲームしよう」兄貴はそう言って笑った。怖かった。笑っているのは口だけで、兄貴のその目はちっとも笑っちゃいない。「ほら、億泰」兄貴は俺に野球バッドを渡す。反対の手で、ゴルフクラブを握りしめて。「親父を、先にぐちゃぐちゃにした方の勝ちな!」【兄貴の遊び/虹村兄弟】

2016-09-05 21:54:01
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