朝搾り専用彼女2話
- MikanPolarin
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朝搾り専用彼女の発案者たるえろのあくんがご所望でしたので
「ん……」 今日もまた朝が来てしまった。気怠い朝が来てしまった。 1日の始まりに絶望しないといけない毎日は飽き飽きだが、飽きたからといってゲームのように終わることはできない。 と、そこではたと気づく。アラームが鳴っていない……?
2016-10-25 23:38:38まさか、無意識に止めてしまったパターンか!? カッ、と目を見開いた俺は、寝返りをうってスマホに手を伸ばそうとしたのだが、 「や、おはよー」 「うんん!??」
2016-10-25 23:38:45隣で女の子が寝ていた。 「どうしたの? そんな顔して」 顔にかかった艶やかな黒髪をさっと耳にかけて、彼女はふっと微笑んだ。 「……あさなさん」 「はい、あさなさんです。よく寝てたね」 「お、お久しぶりです」
2016-10-25 23:38:54「土曜日じゃん!」 とりあえず起き上がって、改めてスマホを確認した俺は胸をなでおろした。ありがとう、完全週休二日制。 「休日だねー、よかったねー」 あさなさんは俺の隣でベッドに腰掛け、ニットのワンピから無防備にさらけ出した脚をぷらぷらさせて言った。
2016-10-25 23:39:25あさなさんには会うのは月曜日以来だから、大体5日ぶりだ。 「今日の予定は?」 「何もないです」 「そうなんだ。じゃあ、今日はゆっくりできるね」 「ゆっくり……できる……?」 なんですかその、魅力的すぎるワードは。
2016-10-25 23:39:33「んふふー。にやにやしちゃって、かわいいなぁ。今日もわたしと朝搾りする?」 思わず欲望に任せて「お願いします!」と頭を下げそうになるが、ここは冷静になろう。 ほら、いきなりいっちゃって、がっついていると思われるのは嫌だしさ。
2016-10-25 23:39:41「朝搾りもその、いいんですけど……その前に聞いてもいいですか?」 「えっちな質問?」 「違います」 あさなさんだったら、スリーサイズとかカップ数とか普通に答えてくれそうだ。でも、俺が聞きたかったのはそういうことではなくて、
2016-10-25 23:39:48「やっぱり、俺の妄想じゃなかったんですね?」 「疑うねー」 おかしそうにくすりと笑うあさなさんは、荒野に咲いた一輪の花のように綺麗で、俺の心はそれだけでいっぱいになりそうだ。
2016-10-25 23:39:54「じゃ、こう考えてみよう。君は、妄想だけでイける?」 「んーっと……まあ。おかずなしよりは時間はかかりそうですけど」 「うん。それじゃあ、いっさい身体を動かさずにイける?」
2016-10-25 23:40:28そういう人もいるという話を聞いたことはある。でも、それが自分に当てはまるかと聞かれればノーだ。いくらなんでも、そんな高等技術は一介の大学生にはない。 「俺には物理的に無理だと思いますよ」
2016-10-25 23:41:03「だよね。でも、君はこの前、わたしの手でイってたよね? もし、わたしが妄想の存在なら、君は妄想だけで手も道具も何も使わずにイったことになるよ」
2016-10-25 23:41:21そうか。そうなるのか。でも、あの時のことについては、感覚から何から何まで鮮明に記憶している。あれが妄想なら、俺の頭は完全に飛んでしまっている気がする。 まだ、あさなさんが現実に存在していると考える方が、納得できる気がした。
2016-10-25 23:41:28「わかりました。あさなさんは本物です」 「ま、わたしは妄想だと思われてても気にしないよ。君が1日を気持ちよくすごしてくれたら、それでいいもん」 「でも、毎日来るわけじゃないんですね」 「あ、もしかして5日も来なかったの怒ってる?」 「いや、怒ってはないです……わっ」
2016-10-25 23:41:37あさなさんが、俺の肩に頭を乗せて来た。そこには確かに重さがあって、温度もあって、息づかいも聞こえる。 「……ごめんね、寂しい想いさせちゃって」 「いえ、寂しいなんて、そんな」
2016-10-25 23:41:45女の子にこんなふうに謝られたことがないから、こんな時にどうフォローすればいいのかすらわからない。照れも手伝って、何も気の利いたことが言えない自分が情けなく感じた。
2016-10-25 23:42:00ただ、寂しかったのは図星だった。火曜日、あさなさんがいなくて絶望して、水曜日は俺の妄想説が濃厚になり、木曜日は寂しさを紛らわすために海に行った。 「大丈夫。わたしはずっと君のことだけ考えてたよ」
2016-10-25 23:42:07「え?」 「他の誰かのところに行ったりはしてないってこと。わたしは、君専用の朝搾り彼女だからねー」 あさなさんが他の人と、なんてことは考えてなかったな。もしそういう話があったら俺はかなり傷つくと思う。童貞ってめんどくさい。
2016-10-25 23:42:15あの、俺もあさなさんのこと考えてました」 「あはは、そっかそっか。嬉しい……あ、ちょっと今顔赤いかも……」 あさなさんはたははと照れを隠すように微笑みながら、頬に手をあてている。 その仕草は反則的なまでに女の子らしかった。
2016-10-25 23:42:24「ん……なに?」 「なにって……? あ……」 右肩にもたれているあさなさんの頭を、無意識に撫でていたらしい。 せせらぎのようにさらりとした感触の髪は、触れているだけで俺もなんだか幸せな気持ちになってくる。 「すみません……どうしてもこうしたくなって……」
2016-10-25 23:42:31「ふふー♪」 怒るどころか、嬉しそうな声で受け入れてくれた。 「髪の毛、綺麗ですよね」 「ありがとー」 艶やかな黒髪を撫でると、桃と石けんが混ざったような、甘くて心地のいい匂いがふんわり香る。
2016-10-25 23:42:40「……ふぁ……あはは。頭を撫でられるのが気持ちよくて、眠くなってきちゃった」 「だったら、寝ますか?」 「え? でも、まだ君のを搾ってないよー」 「えっと、俺も実はまだもうちょっと寝たいんで、また今度のお楽しみにしませんか?」
2016-10-25 23:42:50