東浩紀さんのChim↑Pom「また明日も観てくれるかな」展についての感想(20161031)

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東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

新宿でChim↑Pomの「また明日も観てくれるかな」展。イベント前なので感想はまた後で書くけど、大変すばらしかった。単なる廃ビル展覧会とかではない。歌舞伎町の夢を再生するプロジェクト。明後日までなので、関心ある人は急いで観に行くべし。chimpomparty.com

2016-10-29 18:16:13
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

Chim↑Pomの「また明日も観てくれるかな」展。本日終了。一昨日こう書いたので、会期終了数時間前だけどツイート・・→ イベント前なので感想はまた後で書くけど、大変すばらしかった。(..) 明後日までなので、関心ある人は急いで観に行くべし。

2016-10-31 18:38:29
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

「また明日」展で感銘を受けたのは、このプロジェクトが、歌舞伎町という場所の両義性をさまざまな観点で見事に切り取っていること。自由と規制、古さと新しさ、健康と病理、危険と安全そのほか。歌舞伎町振興組合の取り壊し直前のビルを舞台にすることで、その両義性が作品として可視化されている。

2016-10-31 18:41:23
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

歌舞伎町はかつて焼跡だった。先進的な都市計画で人工的に歓楽街を作ろうとし、理想を掲げた。実際には風俗街となった。しかしその結果自由な表現も生まれた。そしていま「きれいで安心な歓楽街」に生まれ変わろうとしている。その矛盾の歴史が各階の作品で複数的に提示されている。

2016-10-31 18:43:36
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

ビルの中心4層を貫く巨大な空隙=ボイドは、歌舞伎町の歴史が変化の歴史で、アイデンティティゼロの歴史だったことを象徴している(かもしれない)。下には災害を想起させる作品「ビルバーガー」。3Fにはスーパー☆ラットに襲われる歌舞伎町のジオラマ。絵のモデルは「未来」という名の風俗嬢。

2016-10-31 18:47:29
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

その横に、デリヘル(を模してチンポムが新聞広告に出した連絡先)への電話で発電するインスタレーション。スーパー☆ラットはシンゴジラを思わせるが、まさに東宝ビルこそ新しい歌舞伎町の象徴。歌舞伎町にとって「未来」とはなにか、「危機」とはなにか、力の源泉はなにか、簡潔に提示されている。

2016-10-31 18:50:22
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

これは感想の一端で、2Fも4Fもいろいろと読み込める。卯城さんに直接伝えたけど、これはチンポムの展覧会であるだけでなく、「チンポムを通した歌舞伎町の展覧会」になっていると思う。その点でもっとも見事な地域アートになっているし、公共の資金や支援を全く受けていない点も重要。

2016-10-31 18:52:13
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

歌舞伎町のような危ない場所の記憶。それを可視化することは公共的作業であり、いわゆる地域アートはその試みのはずだけど、いまの硬直した公共は決してそんなプロジェクトを支援しない。この展覧会は、真の公共性は民間の個人の自発性によって可能であるということの、じつによい事例になっている。

2016-10-31 18:53:43
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

というわけで、みなさん、あと数時間しかありませんが(そして別にぼくは関係者でもなんでもありませんが)、新宿近辺にいらっしゃるようでしたら、ぜひ会場に足をお運びください。なお、4Fぶちぬきの穴は意外と怖いです。

2016-10-31 18:55:00
東浩紀 Hiroki Azuma @hazuma

なお、業界に詳しいひとであればご存じのように、ぼくはいままでチンポムにいまひとつピンと来ていなかったひとなのですが、今回でついに狙いがわかるようになりました。反省とともに大きな喜び。スーパー☆ラットも今回じつにいい。あの作品がビル解体とともに瓦礫になるとは、じつにもったいないね。

2016-10-31 18:58:22