ビーストインザビューティ

タイトルは勝手につけました。
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【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

【本日21時OPEN】 出演者:@__OsMt____02 年齢制限:R-18G

2016-09-26 18:59:32
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

(どこからか足音が聞こえてくる。)

2016-09-26 21:01:42
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

(ややあって舞台上に燕尾服の彼が現れた。客席に向かい一礼した後、ゆっくりと口を開いた)

2016-09-26 21:03:46
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

__御来場の皆様方。これからお話するのは、ある男の物語で御座います。

2016-09-26 21:05:01
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

…ン?ああ、ご安心を。"終焉"のその時まで、絶対退屈させない事をお約束しますから。(薄い笑み浮かべては椅子に腰掛け、まるで世間話をするかのように話しだした)

2016-09-26 21:07:09
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

大きな悲しみや不安にぶち当たることも無く、幸せに。悪く言えばのうのうと生きてきたわけだ。 綺麗な奥さんと、可愛い娘、そして自分。決して裕福では無かったが、幸福に満ち溢れた生活を送ってきた。

2016-09-26 21:11:31
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

ある日、そんな彼の元に差出人不明の手紙が送られてきた。 誰からの物なのか、何のためなのか、全く検討もつかない。勿論誰かに手紙を出した覚えは無いから、近所の悪ガキの悪戯だろうか?なんて思ったそうだ。

2016-09-26 21:12:33
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

〝 囚 わ れ の 小 羊 に 救 済 を 〟 そして下に小さく書かれたイニシャル。偶然か否か、彼のイニシャルと全く一緒だったのだ。

2016-09-26 21:14:09
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

だが、皆さんはきっと心の中でこう思っているだろう。 『同じイニシャルの人なんてこの世の中にいくらでもいる』と。確かにその通りだ。

2016-09-26 21:14:58
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

話は少し変わるが、彼は子供の頃から文字を書くのが上手かった。よく賞なんかもとっていたそうだ。何処か癖はあるが整った文字。彼は自分の文字を見間違える訳が無いと自負していた。

2016-09-26 21:16:15
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

そんな彼が、手紙を見た瞬間に青ざめた。それもそうだ、筆跡が全く同じだったのだから。 はは、いいや、そんなはずがない。俺はこんな手紙を書いた覚えも、出した覚えもない。なにより、何故自宅宛に手紙を書くことがある?きっと何かの間違いだ、悪戯だ。俺は信じない。

2016-09-26 21:18:00
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

あまりにすぎた悪戯だ、警察に電話をしよう。そう思った彼は、スマートフォンに指を滑らせた。 __刹那、居間の方からやけに透き通った女の声が聞こえてきた

2016-09-26 21:20:07
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

『__次のニュースです 。一昨日未明、○○町の路地で男性の死体が発見されました。尚、死体の損傷が激しく身元は未だわかっていません。警察関係者によると、顔に鈍器で殴られたような跡があり、右脚と左手が切断された状態で発見されたそうです。 』

2016-09-26 21:21:07
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

『 無くなった右脚と左手は未だ発見されておらず、捜索が続いているもようです。警察は、身元の確認と動機について引き続き調査を___』

2016-09-26 21:22:00
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

彼は、とても嫌な予感がした。何故、と問われても説明出来ないが、敢えて言うのなら、直感的に。 ふと昨日の夜にしていた、妻と娘の会話を思い出した。

2016-09-26 21:23:58
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

『ママ、これなぁに?』 「あれ、なんでしょう。昨日も一昨日も買い物には行ってないんだけど」 『おっきいおにくだね』 「そうね、明日にでもステーキにして食べましょうか」 『ほんと?やった!』

2016-09-26 21:25:08
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

彼は急いで冷蔵庫へ走った。 見慣れないジップロック。 高級料理店でくらいしか見たことのない、大振りの肉塊。 彼には、確証があった。やはりそれは、直感的なものだったのだが。

2016-09-26 21:26:20
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

それを自覚した途端、言い知れぬ不安が彼を襲った。 _犯罪に手を染めてしまった。 よりによって殺人なんて。しかも、死体の肉を食べようとしていたなんて。 そんな、嘘だ、違う、俺は悪くない。

2016-09-26 21:27:38
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

然し不思議なことに、その時の記憶が全くないのだ。あぁ、でもそんな事を言ったって、聞き入れちゃあくれやしないだろう。

2016-09-26 21:28:38
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

近くの川に肉は流した。 きっとすぐには見つからないだろう。 そんな事よりも今は、自分の中に自分ではない『なにか』が居ることがたまらなく恐ろしかったのだ。

2016-09-26 21:30:36
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

今朝のあの手紙。 意味は一体なんなんだ。何をしでかそうとしているんだ、なぁ、俺よ。そう語りかけても、勿論返事は返ってこない。

2016-09-26 21:32:09
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

その夜、彼は眠りについた。 寝ないでいようと思っていたのに、何故かその日はまるで睡眠薬でも飲まされたかのように瞼が重たかったそうだ。

2016-09-26 21:33:48
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

彼は短い夢を見ていた。自分に自分を殺される夢を。にたり、と目の前の自分は笑っていた。

2016-09-26 21:35:54
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

そこで ふ、と目が覚めた。枕元の時計は丁度丑三つ時を指していたそうだ。 しかし、どこからか、チーズの腐ったような、刺激的な匂いが漂ってきた。

2016-09-26 21:37:51
【GRAND FINALE】 @GREAT_NONSIX

寝起きでふらふらとする脚を叱咤し、異臭のする方へと彼は足を進めた。 彼には、それが一体なんなのかを、確かめる義務があった。

2016-09-26 21:38:45