サンズ・オブ・ケオス #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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リンク note(ノート) 第4部本編「エイジ・オブ・マッポーカリプス」より、第3話【サンズ・オブ・ケオス】 | ダイハードテイルズ・マガジン | note ダイハードテイルズ・マガジンの限定公開ノート | 2016-11-03 14:35:13 +0900
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「ちょっと!やめてくださいよ!」女は叫んだ。メイレインは叫び声に反応し、そちらへ……(((好機だマスラダ!奴があれに襲い掛かる瞬間を狙え。背中から心臓を貫き、かたをつけるべし!)))ナラクが促す。ニンジャスレイヤーは床を蹴った。「イヤーッ!」槍斧が斬り裂いた。◆

2016-11-01 22:51:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは間に割って入り、背中を斜めに裂かれながら、女を抱えた。そのまま対角の壁を蹴って撥ね、二回転して着地した。背中から血が噴き出す。(((愚かな。しかもそれは人形ぞ)))呆れ果てたナラクの声。驚くほどに重い身体を下ろすと、「驚きました」と女が言った◆

2016-11-01 22:52:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「AAARGH!」メイレインはテレビモニタを、ビデオテープの棚を、めちゃくちゃにえぐり壊した。「ライブラリが!」女が叫んだ。壁が裂け、廊下と繋がった。「まあ! わたし、殴って穴を開けようと思っていたんですが」女は傍らのニンジャスレイヤーに説明した。ニンジャスレイヤーは横目で見た。

2016-11-01 22:58:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「助けてもらえた事を感謝したいのですが、そのせいで怪我を」「離れていろ」ニンジャスレイヤーはカラテを構えようとして、唸り、膝をついた。「背中が!」「離れてろ!」「ひどい怪我ですよ!至近距離でショットガンを食らわせたみたいに!」女は説明した。ニンジャスレイヤーの背中は抉れていた。

2016-11-01 23:04:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは前傾姿勢になり、その目を赤黒く燃やした。床に亀裂が走り、背中から煙と血と火が噴き出し、燃え上がった。赤黒の装束が傷を覆い、ふさいでいった。メイレインが徐々に失われた視覚に代替する感覚器官を鋭敏化させ、状況に適応してゆく。「サツガイ=サンニ!仇ナス!涜神ノ徒!」

2016-11-01 23:09:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドクン!ドクン!ニンジャスレイヤーは己の鼓動の音を聞いた。普段の倍は早く打っていた。倒れたアユミを見下ろしたあの時と同じように。あの時と同じように!(((あの時と!)))ナラクが吠えた。サツガイ!「奴は神か?」ニンジャスレイヤーは言った。「ならばそうだ。おれは涜神の徒だ!」

2016-11-01 23:17:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドクン!ドクン!ドクン!心臓が作り出した血とカラテと憎悪とナラクの火が、血管を焼きながら彼の右腕を流れ、その手に握るスリケンに流れた。「AAAARGH!」メイレインがアンタイ斧を振り上げ、ニンジャスレイヤーの方向へ踏み出した。ニンジャレイヤーは投げた!スリケンを!「イヤーッ!」

2016-11-01 23:21:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スリケンは赤黒に燃える血を纏い、螺旋軌道を描いてメイレインめがけ飛翔した。奥義、ツヨイ・スリケン!「AAARGH!」メイレインはアンタイ斧を振り抜いた。KABOOM!スリケンが斧にぶつかり、対消滅した。熱狂の中であってもメイレインは驚愕を禁じえなかった。「何?」「イヤーッ!」

2016-11-01 23:24:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

既にニンジャスレイヤーは自らも床を蹴って飛んでいた。瞬時にメイレインのもとへ達し、鉤爪めいて強張らせた左手でメイレインの顔面を掴んだ。「イヤーッ!」メンポを掴み、後頭部を床に叩きつけた。「グワーッ!」力任せにメンポを剥がす。「グワーッ!」右拳を振り上げる。「ニンジャ、殺すべし!」

2016-11-01 23:28:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サツガイ=サン!どうかジゴクの救……」「イヤーッ!」拳がメイレインの顔面を砕いた。赤黒の炎がメイレインの眼球を、脳を焼き焦がし、耳と眼窩から赤黒の火が噴き出した。「サヨナラ!」メイレインは爆発四散した。塵と火を含んだ風が吹き、破壊された壁の穴から廊下へ抜けていった。

2016-11-01 23:32:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ザンシンの姿勢を維持できず、ニンジャスレイヤーはよろめいた。「大丈夫ですか」女が遠慮がちに問いかけた。「激しい戦闘でしたね」「……お前は……ここの……」ニンジャスレイヤーは問うた。女は瞬きし、まずオジギをした。「ドーモ。コトブキといいます」「……ドーモ。ニンジャスレイヤーです」

2016-11-01 23:37:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはあらためて破壊された室内、崩落した天井を、そしてメイレインの爆発四散痕を見渡した。「クソッ……おれは」「部屋の破壊は平気です。わたしは丁度、この場所を出ていこうと考えていました」ニンジャスレイヤーは首を振った。瓦礫に埋もれたUNIXデッキを見出した。

2016-11-01 23:43:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

これは上階から床ごと落下してきたものだ。瓦礫をどかし、デッキから記憶装置を剥がし取る。タキの調べたところによれば、メイレインはサンズ・オブ・ケオスという名の正体不明のネットワークに繰り返しアクセスしている。本人の口から情報を引き出す事はできなかったが、ここに手掛かりがある。

2016-11-01 23:46:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャのミッションですね」コトブキがコメントした。殺意に昂った意識が徐々に平常に戻って来るに従い、ニンジャスレイヤーはあらためて訝しさを覚えた。ナラクの言葉や、抱き上げた時の重さ、どこかおかしい物言い。目を見ると、瞳の奥に四枚の翼をひろげたオイランの意匠が見えた。

2016-11-01 23:52:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「わたしはオイランドロイドですよ」コトブキはアオザイの埃を払いながら言った。ニンジャスレイヤーは眉根を寄せる。「つまり……」「いえ、貴方の言いたい事はわかります。わたし、自分で考えて喋っています」「そうなのか」「本来のわたしの仕様とは違うみたいですね。よくわかりません」

2016-11-01 23:57:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コトブキは静かな微笑を浮かべ、親切に説明するのだった。「この部屋は開かずの間だったんです。誰もいないし、他にする事もないので、ずっとビデオを見ていました。ビデオも見終わったので、壁を壊して出ていこうと思いました」「開かずの間?身寄り……所有者……はどこに?」「もう居ないようです」

2016-11-02 00:01:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「邪魔をした」ニンジャスレイヤーは呟き、壁穴をまたいで廊下に出た。振り返るとアオザイ姿のオイランドロイドは微笑みを浮かべたままニンジャスレイヤーをじっと見送っていた。ニンジャスレイヤーは歩き出した。その頭にピリピリした感覚が走り、タキのIRC通信が混ざり込んだ。『通じた!オイ!』

2016-11-02 00:05:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タキの口調は性急だった。『そこ、どこだ!』「ビルの中だ。メイレインは殺した。デッキの記憶装置は回収した」『は?ビルの中?なんで通信が生きてる』「さあな。ビルが派手に壊れて床が抜けた。通信妨害の類が死んだのかもしれない」『そうか……違う、いや、そうだが違う!ヤバイ、急げ、逃げろ!』

2016-11-02 00:10:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だと」『時間がかかり過ぎてるぞ、お前!最初にやった話は覚えてるんだろ』「ソウカイヤか」『そうだ、ソウカイヤってのは特にヤバイんだ。何で連絡をよこさなかった。オレの勘だと、そろそろ……オイ?』ニンジャスレイヤーはカラテを構えた。視線の先、非常階段をゆっくり上がって来た影あり。

2016-11-02 00:18:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『ニンジャスレイヤー=サン?どうした?』「ドーモ。はじめまして」現れたのは、白く退色した髪と武骨なメンポ、黒く有機的なニンジャ装束、左目の上に<六門>のカンジとクロス・カタナの意匠を刻印したニンジャだった。「ガーランドです」「ドーモ。ガーランド=サン。ニンジャスレイヤーです」

2016-11-02 00:22:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アイサツされれば答えねばならない。ニンジャの掟である。ガーランドはニンジャスレイヤーに瞬間的な出会い頭の逃走の隙を与えなかった。『モシモシ?今、ガーランド……まさかガーランド、つッたか?』タキの声が狼狽えた。『オイ、逃げろ。あと、ピザタキの方には逃げるな。わかったか。来るなよ!』

2016-11-02 00:23:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤー……と名乗ったな」ガーランドは目を細めた。『いいか、ガーランドはソウカイ・シックスゲイツのニンジャだからな!』タキが喚いた。ニンジャスレイヤーは睨んだ。「何か用か」そのアトモスフィアを見通す。サツガイの影響下にあるニンジャであれば、ナラクはその歪みを看破する。

2016-11-02 00:30:00