キミに読む物語×アリとキリギリス【渋谷×村上】

はち公。 @funkastic_8er

【プロローグ×横山裕】 今日な？ 面白そうな本を見つけたん。 昔の童話を 現代風にしたみたいな･･･ 君にも聞かせたいな そう思ったから 聞いてくれる？ 時々詰まりながらも ちゃんと読み上げるから 愛の言葉の代わりに 紡ぐ物語 ねぇ･･･聞いて？ #キミに読む物語 pic.twitter.com/vBq5DQnxwB

拡大

はち公。 @funkastic_8er

アリとキリギリス ×渋谷すばる・村上信五 1 真面目で勤勉なアリと 陽気で奔放なキリギリス その物語に 実は二人の間で心揺れ動く テントウムシがいたとして ･･･そんな彼らにそっくりな男女が あなたの住む世界の 片隅にいたとしたら 面白いと思わない？ #キミとの物語 pic.twitter.com/v5SzPrE2Bf

拡大

はち公。 @funkastic_8er

2 仕事が終わって ダッシュで会社を飛び出す 女が1人 デートの日かな？ 「信ちゃん！」 大きく手を振ると 視線の先には ふわっと笑う男 『ぶっw何そんな 必死に走っとんねんw』 到着した彼女の頭を クシャっと撫でた 「そりゃ必死！デートやもん！」 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

3 『あ、そw』 まんざらでもなさそうに 半歩先ゆくその人の腕に ぎゅっと抱きつきながら デートがスタート ･･･男は 成績優秀で真面目な 自動車ディーラーの営業マンで 女とは 取引先の会社で 出会って恋をして 今では 恋人同士で･･･ #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

4 『ほんで？いつにすんの？』 「え、何が？」 『お前の家へのご挨拶』 「え！？」 そして付き合って半年の今日 『何驚いとんねんw こないだ結婚したい 言うてたやんか？』 「そ、そうだけど！」 『相手は、俺ちゃうの？』 「貴方ですっっ！！」 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

5 ピアノの音が流れる 雰囲気のあるレストランに 女の情けない声が響くと 男は堪えつつ笑って 『そらよかったわw ほれ、これやるから、 とりあえず座りなさいwww』 そう言って 差し出す小さな箱 中を開けると･･･ 「ふわわ･･･指輪やぁ///」 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

6 潤んだ視界の向こうに キラキラ光る指輪がひとつ 「貰っていいの？！」 『どーぞw というか、着けてええよw』 そう言いながら 女の左手薬指にそれを嵌めた 『これからも宜しくお願いします』 「はい！」 なんと 幸せな光景 なんと ･･･幸せな #キミとの物語 pic.twitter.com/xvqXijEQ7i

拡大

はち公。 @funkastic_8er

7 そんな 夢のようなデートの帰り道 男が愛車で 女を送る だけど （あ･･･） 近づいて 女の顔一瞬歪んだ 『あれ？お前の部屋 電気ついてんで？』 「あー、消し忘れたw」 『あほwったく、しっかりせぇよ？』 「うん、じゃあ･･･おやすみ」 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

8 何でもないふりをして その車を見送って 見えなくなった途端 モードが変わる （まさか･･･） 慌ててダッシュして部屋へ （鍵･･･空いてる） 恐る恐る開けると 《あ、おかえりー 邪魔してんでー♡》 そこにいたのは 「すばる！？」 別の男 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

9 ソファの隅っこに ちょこんと座りつつ 買い置きしてあった アイスを食べてる その男を発見 「ちょっと！何してんの！？」 《え、アイス？ごめんw》 「そうじゃなくて！何でおるん！？」 《あー、それは･･･ お前に会いたくなったから》 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

10 悪びれもせず笑いながら 女の腕をとって ソファに押し倒す 「嘘つき･･･」 彼女は分かってる 男がこの家に来るのは 恋人が途絶えて お金がなくなって 行く宛がないから 《まぁ･･･仲良くしよーや》 「ちょ、やだっ！」 《またまたぁ･･･》 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

11 彼女の感じる部分を 知り尽くした男は 「ひぁっ」 あっという間に彼女をほぐして 「やぁ･･･すばるっ！！」 ただの、メスに変える 《な？お前も 会いたかったやろ？俺に》 「そんなこと･･･ぅあ」 《ほら、ほら･･･》 「あぁ･･･んっっ」 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

12 その 本能任せの 儀式に似た行為が ようやく終わった頃 「ねぇ･･･すばる」 傍らでタバコを蒸す男に 「私、結婚するから」 女は財布から取り出した ありったけのお札を突きつけて 「これで、終わりにして もう来ないで。お願い。」 別れを告げる #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

13 男は 渡された紙の枚数を数えると 《じゃあ･･･せめて最後に お祝いしたろーか》 そう言うと 少し離れた所に置いてあった鞄から ブルースハープを取り出して ～♪♪♪ 曲を奏でる その曲に 女はふっと笑ってから 瞳をそっと伏せて聞き入った #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

14 ひとしきり演奏して 《はい･･･結婚おめでとう》 と微笑む男 すると 女はゆっくり目を開けながら 「それ、ハッピーバースデーやんw」 と笑った 《やって、ウェディングソングなんか知らへんもんw ハッピーバースデーとぅーゆー♪は万能やんかw》 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

15 そう答えながら 落ちていた服を着ると 《じゃあ･･･な》 その言葉を最後に 男は出て行った その背中を見送りつつ呟く･･･ 「ちゃんと･･･ あったかいお家を見つけて そこを大切にするんだよ？ すばる･･･」 女は 別れゆく 男の幸せを願った #キミとの物語 pic.twitter.com/ubL0lZXbER

拡大

はち公。 @funkastic_8er

16 ─────それから、1年後 「あっ･･･あぁん」 身体がぶつかり合う音が 広いベッドに響く 「信ちゃ･･･しんっ」 『まだやで？先イクなや？』 「んんっ･･･でもぉ」 『あかん』 「うぅ･･･」 容赦ない突き上げに 必死に耐える彼女がいた #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

17 その行為は 愛というよりも 『ふぁ･･･ええで、ほら、イクでっ』 男のストレスを 女で晴らしているような 「あぁぁっ･･･」 それが分かっているから 女は 男が喜ぶように ひときわ大きな喘ぎ声をあげた･･･ #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

18 成績優秀で真面目な男は ──────裏を返せば 頑固で神経質で 家庭を顧みない男だった 女は 何不自由ない暮らしを送っていたが その用意され尽くした 箱庭の中に 窮屈さを感じ始めていた ♪♪♪ 真夜中だというのに 鳴る男のスマホ #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

19 『はい、もしもし･･･』 行為の後の余韻なんか一つもなく 男は会話をしながら 自身のデスクのある別室へ向かった （また･･･仕事の電話か） そんなの もう慣れっこだった 『悪い、呼び出しや 明日の昼まで帰って来れんから ゆっくりしとって･･･』 #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

20 「はーい･･･」 『あ、それと、冷えてきたから 下手に外でんとここにおれ？ お前すぐ風邪ひくから』 「･･･はーい」 そんな 事務的な会話を済ませて あっという間にいなくなる 「･･･はぁ」 玄関のドアに鍵がかかった音を 確かめてため息が漏れる #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

21 ゴロリと寝返りをうって そこから窓を見れば 「あ･･･雪」 チラチラと 白い点が見えた 服を羽織りつつ 窓辺に向かって外を見る タワーマンションから広がる世界が 少しずつ 白くなっていく #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

22 ふと･･･ 思い出すのは 「すばる･･･凍えてないかな」 あの日出て行った背中 「すばる･･･ ちゃんと誰かの家にいる？」 思わず出たため息に 窓が白く曇る 「すばる･･･」 次の瞬間 ────♪♪♪ 女のスマホが鳴った #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

23 こんな真夜中に･･･ そう思いつつ ディスプレイを見れば 【渋谷すばる】 「うそ･･･」 実は あの日以降も 何度か電話があった でも 出てはいけないと無視をしてるうち 全く表示されなくなった名前 それが このタイミングで再び･･･ #キミとの物語

はち公。 @funkastic_8er

24 彼女の手は自然と伸びて 「もしもし･･･すばる？」 不安げに言葉を紡ぐ 《あー、もしもし･･･出たw》 その声は あの日と変わらない 穏やかな声 「どうしたん急に 行くとこ･･･ないの？」 それともお金？ どうせ そんな事だろうと思っていた #キミとの物語