美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

1 件名:本社転籍希望の件 本文: エリア2課 安田リーダー殿 お疲れ様です。中原です。 首件についてご相談したく お時間いただけないでしょうか。 お忙しい中申し訳ありませんが ご査収願います。 以上 ･･･そんなメールを下書きしては delete #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

2 「はぁ･･･」 メールを消した画面を ぼんやら眺めつつため息 （何やってんだろ、私） 情けなくて泣きたくなる 少し視線を上げれば いつも通り颯爽と仕事をしてる 安田さんが見えて ぐだついてる自分との差に、また 「はぁ･･･」 ため息がこぼれた #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

3 （あの人･･･ ほんとに私の彼なのかな？） なんか 今でもたまに信じられない （私には･･･不釣り合いな様な） 確認しようと もう1度その方向を見たんだけど 「あれ？」 安田さんがいなくなってる 咄嗟にキョロキョロと 辺りを見回した次の瞬間･･･ #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

4 ぽこん！ と、頭を丸めた書類で叩かれた 「ったぁ･･･」 思わず顔を歪める私 『こら、中原。 仕事中に何ぼーっとしとんねん！』 その声は･･･ 「安田さん･･･」 チームリーダー 兼 彼氏のその人 #美炭酸2 pic.twitter.com/vWEOs88X5f

拡大

はち公。 @funkastic_8er

5 その姿に うっかり甘えたくなるんだけど （う、ダメだ。まだ会社！） 慌てて軌道修正してたら 『･･･どないしたん？ ため息ばっかりやんか』 逆に聞かれちゃって 「あ！いえ、別に！！」 うっかり誤魔化してしまった 『･･･ふーん？』 「う･･･」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

6 『ま、何もないならええけど ちゃんと仕事してくださいねー』 そう言いながら 周りにバレないように 私のデスクのメモに走り書き 【次ため息ついたら、ペナルティな】 「な･･･」 『わかった？』 「･･･はい(泣)」 ペナルティとは！！！？(泣) #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

7 （集中しなきゃ！集中！） 仕切り直して パソコンに向かうのに メモに残った優しい字を見て 胸がきゅーってなる （好きだなぁ･･･やっぱり） それと同時に （私、こんなに好きなのに･･･） そう思って つい･･･ 「はぁ･･･」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

8 （あ！） やばいと思って 安田さんを見たら まっすぐパソコンに向かってた （ほっ･･･セーフ） 思った途端 （ん？） パソコンの画面に メールの着信を告げる ポップが上がって （まさか･･･） 慌てて中を確認したら 「あ」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

9 送信主:安田リーダー 件名:ペナルティの件 お疲れ様です。安田です。 ため息がっつり見えましたので、 宣言通りペナルティ課します。 急ではありますが、 今夜うちに来るように。 打ち合わせ後帰るので うまい夕飯用意しておくように。 （シチュー希望） 以上 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

10 「ふぇ･･･」 半べそかきつつ そちらを見たら 一瞬だけ私に向かって べーってしてる安田さん発見 「あぅ･･･」 やっぱり かなわないなぁ （ちゃんと･･･ しなきゃって事だよね） そう思いつつ なんとか仕事を再開した────── #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

11 そして･･･夜 希望通りのシチューと サーモンマリネ お酒のつまみに 砂肝ときのこのソテーを用意して 彼の帰りを待つ 「うぅ･･･」 早く会いたいような 会いたくないような 複雑な気持ちでいたら ────ガチャッ とドアが開いた #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

12 『ただいまー』 ドキッ 「お、おかえりなさいっ」 『ん･･･』 スタスタと部屋にやって来て ソファにカバンを置くと 『疲れたぁ･･･』 って言いつつ ネクタイを緩める 『ちょお･･･ とりあえず一回おいで』 それは完全に 章ちゃんモード #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

13 私も一気に 気持ちが緩んで 「章ちゃんっ」 パタパタと駆け寄って抱きつく 『んーーー』 章ちゃんも ぎゅーって抱きしめ返してくれた 『もぉー、めっちゃ気になって 仕事集中出来んかったやんかー』 「ごめんなさい(泣)」 『ったく･･･』 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

14 そのままソファに座った彼の上に ちょこんと跨がされて 『腹減ったし うまそーな匂いも気になるけど、 先、このモヤモヤなんとかして？』 章ちゃんが優しく問いかける 『なんであんなにため息？』 見つめる目は すごく穏やかで （言わなきゃ･･･ちゃんと） #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

15 完全に聞いてくれる姿勢なのに いざとなると言葉に出来ず 困っていると 『本社転籍希望の件･･･やろ？』 って 核心を突かれた 「な、なんでわかったの！？」 『分かるわ！俺、リーダーやで？ 部下がその説明会出てた事も 最終選考に残った事も知っとるw』 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

16 「あ、そっか･･･」 そりゃそうだ 人事に関わる事だもん 伝わってるよねぇ(泣) もう隠し事は出来ないと かんねんして吐き出す 「あのね？ 本社勤務ずっと憧れてて･･･」 『そうやったなぁ。 あそこにしかない部署あるもんなぁ』 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

17 「うん･･･そしたら その部署の拡張するから 希望転籍者募集してるの見て･･･」 『説明会聞きに行って』 「ダメ元で試験受けてみたら･･･」 『最終選考まで残って』 「嬉しいんだけど･･･」 『不安です･･･と･･･』 「はぃぃぃ(泣)」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

18 なんだ バレバレだ こんな事ならもっと早く 相談したらよかった 「章ちゃん･･･どうしよぉ(泣)」 『どうしよぉって･･･頑張れよw』 「でも･･･なんか怖くなってきて」 『落ちるかも？って？』 「それもなんだけど･･･」 それ以上に #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

19 選考通ったら･･･ 離れちゃうよ？ 遠距離だよ？ それでも章ちゃんはいい？ というか こんな大事な事･･･ 「章ちゃんに相談してから 申し込めばよかった(泣)」 半べその私に 『ぶっ』 章ちゃんは笑って 『ったくw』 わしゃっと頭を撫でた #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

20 『でも･･･ 俺に言う時間も惜しいくらい このチャンスに賭けよう って心動いたんやろ？ せやったら、その覚悟で やりきるしかないやんか？』 「そうなんだけど･･･」 『第一、俺、お前がやる気あって 嬉しかったんやで？』 「･･･え？」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

21 『向上心のある部下に恵まれて 俺は幸せやなぁと思ったよ？』 「章ちゃん！」 うれしくて 結局溢れた涙を止めることもせず その胸に抱きつく 『それに、彼氏としても？ そーゆうエエ女が彼女ってのは 苦労するやろけど嬉しいもんやで？』 「うわぁぁん！！！」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

22 嬉しいやら かっこいいやら 幸せやら 優しいやら いろんな感情がごちゃ混ぜになって 「もぉ･･･すごい好き」 結果そんな シンプルな言葉が溢れた 「相談遅くてごめんなさい でも、章ちゃんに反対されたり 嫌われたらどうしよう とか思ったら言えなくて」 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

23 『嫌いになるわけないやんか･･･ 俺･･･思ってる以上に 千夏のこと、めっちゃ好きやで？』 そう呟いた唇が ふわっと 私の唇に重なる それから今度は 甘えるみたいに私に抱きついて 『でも俺も･･･ 遠恋はした事ないし めっちゃ寂しがったらごめん？』 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

24 上目遣いではにかむ彼が 愛おしくて堪らなくて きゅんって胸を鳴らしつつ 「全然いいよ！ 素直に言ってくれなきゃ 離れたらわからないもん！ ちゃんと･･･寂しがって？」 って答える 『やたー♡ じゃ、なんとかなるやろ？ 難しいことはその都度考えよ？w』 #美炭酸2

はち公。 @funkastic_8er

25 そうやって 2人で笑い飛ばして それから 『好きやで、千夏。 通常の仕事しながら勉強するんは 大変やろけど･･･応援してるから』 そう言われて そのまま 何度も確かめるみたいにキスをする その合間に 「それは･･･ 上司として？ 彼氏として？」 #美炭酸2