マタアイマショウ

はち公。 @funkastic_8er

1 仕事が終わって 家に帰ったら 『え？』 君がいた 「おかえりー！」 君が 俺の前で笑ってた 「亮ちゃんごめん！ なんか異様に眠くて 夕飯作ってないんだ･･･」 しょんぼりと俺に駆け寄って 俺の手を掴む 繋がった部分からは 熱を感じた #マタアイマショウ

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2 『ん･･･あ、ええよ 俺の方こそごめん 夕飯食べてきてもーてん』 「そうなん？ もー、ゆーてよw」 『ごめんごめん その代わり･･･ほら』 俺は 家の前のコンビニで買った袋を 君に差し出した 「あー！ティラミス♡」 『食う？』 「食う！」 #マタアイマショウ

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3 『おっけー、一緒に食べよw』 「うん！ あ、亮ちゃん先シャワー？」 『おん』 「なら今のうち ビール冷やしとくね！」 嬉しそうに ぴょんぴょん跳ねて キッチンに向かう その後ろ姿を見て 『･･･楽しそうやな』 俺は呟いた #マタアイマショウ

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4 風呂上がって リビングに向かうと 「早く！早く！」 買ってきたティラミスと 俺用のビールと枝豆の 定番を用意して 君が俺を出迎えた 『準備ええなw』 「もちろん♡ さ、いただきまーす♡」 ────楽しい晩餐の スタート #マタアイマショウ

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5 今夜の酒は いつになく 俺を酔わせて 「亮ちゃん？大丈夫？www」 君が俺の顔を覗き込む その くりくりした目が愛しくて 『あんま大丈夫ちゃうかも･･･ ちょお･･･チューしてもええ？』 そう囁けば 「どーぞw」 君が瞳を伏せた #マタアイマショウ

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6 ･･･重ねれば 『あ･･･あったか』 「当たり前やんw」 伝わる体温 『でもなぁ･･･ もっと温いの欲しいわ』 その暖かさに 欲が溢れる 「･･･ええよ？ 亮ちゃんの好きにして？w」 君の言葉が 背中を押した･･･ #マタアイマショウ

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7 俺は君を抱えあげ リビングに接した和室に連れていく 「ベッドじゃないん？w」 『･･･たまにはええやろ？』 「もう･･･」 それ以上 何も言わせないように 「ん･･･」 唇を重ね 舌を絡め 君の肌に 触れた #マタアイマショウ

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8 「亮ちゃんっ」 俺の下で 喘ぐ君を 「ひぁ///」 ずっと見つめてたい 『堪らんわ･･･』 その一言に尽きる ────考える 脳みそは不要 突き上げて 突かれて ひとつの狂った動物になろう 『･･･愛してる』 時折愛を 囁きながら #マタアイマショウ pic.twitter.com/g9EwfkavfH

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9 ────亮ちゃんに 激しく求められて 意識を手放した後･･･ 「ん･･･」 先に目を覚ましたのは 私の方だった 「ふぁ･･･」 身体に残る 痛みに似た余韻と 「ふふw」 傍らで眠る彼の寝息に この上ない幸せを感じた #マタアイマショウ

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10 と･･･ 『クシュンっ･･･』 寝てる彼が クシャミをして 「あーぁw」 そりゃ、寒いよね こんな季節に 布団のない和室で 素っ裸なんだから 「しょうがないなぁw」 私は 脱ぎ散らかした服を羽織って 立ち上がった #マタアイマショウ

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11 「毛布、毛布･･･」 彼に掛けるためのそれを求めて 寝室に向かう 「ってか、なんで和室だったんだw」 そんな気分だったのかな？ 寝室なら ベッドも 布団もあるのに 「困った人だw」 そう呟きつつ 寝室に入る #マタアイマショウ

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12 だけど 「あ」 寝室のドアを開けてすぐ 気づいた 「だから･･･か」 どうして彼が 私を寝室で抱かなかったのか 「そうか･･･」 情けないな 「気づいてなかった」 情けないよ 「ごめんね･･･亮ちゃん」 気を使わせて ごめんね？ #マタアイマショウ pic.twitter.com/OHPjSYxQS9

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13 ────俺が目を覚ましたのは 『あれ･･･』 窓の外が でっかい満月で 明るく照らされた宵の頃･･･ 『あれ？』 探すのに 君がいなくて 『あれ･･･』 慌てて服を羽織って 和室を飛び出した #マタアイマショウ

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14 リビングに行っても 君の姿はなくて 『どこ･･･？』 キョロキョロしても キッチンにも居なくて 『なぁ･･･』 ダイニングには 君が食べ残した ティラミスだけが佇んでいた 『･･･どこやねん』 それに触れつつ 思わず呟く #マタアイマショウ

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15 と･･･次の瞬間 ────ガタッ って 寝室から音がして 『あ･･･』 俺は慌てて そこに向かった するとそこには･･･ 「あ･･･亮ちゃん」 涙を流しながら 月明かりに照らされた 君がいて #マタアイマショウ

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16 その 手には･･･ 「ごめん、亮ちゃん･･･ 私･･･死んでたんだね」 俺が選んで 飾った 遺影がひとつ #マタアイマショウ

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17 「亮ちゃんたら･･･ 気づいてたんなら 教えてよwww」 困った顔の君に 俺は何も言えなかった 「化けて出てくるなんて･･･ なんか、情けないやんw」 自嘲気味に 君が笑うのにも 何も言えなかった #マタアイマショウ

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18 そう･･･ 君は 1年前の今日 事故で死んだ ･･･命日だから 今日は君が好きだった マンション近くのコンビニの ティラミスを買ってきてん それを 寝室に置いた遺影に たむけようと思ってた #マタアイマショウ

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19 「気づいてたんに･･･ずるいわ」 『･･･しゃーないやん お前をずっと見てたかった』 抱きしめてみる でも さっきあった熱は感じなくて ひんやりとした その身体は 今にも透けて 消えてしまいそうだった #マタアイマショウ

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20 『ずるいとか･･･ こっちのセリフやわ』 思わず泣き言 そんな俺を 君は笑って 「あー、思い出したw やり残したことあったから･･･ 来たんやったw」 そう言うと 寝室のベッドの脇の 君が愛用してたドレッサーの 小さな引き出しに手をかけた #マタアイマショウ

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21 俺は 溢れる涙を拭いつつ 君の一挙手一投足を見守る 「あった･･･これこれw」 君は笑うと 引き出しからそれを取り出した 「これを 亮ちゃんにあげたかったんよ」 それは･･･ 綺麗に包まれた 小さな箱で #マタアイマショウ

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22 「遅くなってごめんね？ でも･･･誕生日おめでとうw」 その箱の中には 去年の俺が欲しがっていた 腕時計がひとつ 「これ、高かったんやよ？ だから･･･渡したかってんw」 言いつつ 君の手が 俺の腕に それをはめた #マタアイマショウ

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23 その 無機質な感触に 『遅いわw』 俺は笑いつつ 『･･･ありがと』 その腕を掴んだ 『もーちょい･･･おってや 誕生日のお祝い こんなんじゃ足らんで？』 わかってる 今にもこの手の感触が 消えそうなことくらい ･･･わかってる #マタアイマショウ

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24 「亮ちゃん･･･ごめんね？ なんか･･･もう、時間みたいやねん」 それも 薄々わかってる だけど 認めたくなくて 『嫌や･･･行かんで』 透けていくその手を 握り直した ･･･そんな俺に 君は 笑って #マタアイマショウ

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25 「亮ちゃん？ 私よりもっと好きな人 必ず見つけて？」 『･･･そんなん 無理に決まってるやんか！』 「そんな事言わんとw 私を･･･綺麗な過去にしてよw」 『嫌やって･･･』 こんな ごねても 意味無いのもわかってる わかってるけど #マタアイマショウ