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郵便配達員の日記

かのんさんが書いてくださった写真集のスピンオフのお話です。
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かのん @kanonkasoutaku5

なりゆきで写真集のスピンオフという形で郵便局員の話を垂れ流すことに。9割がた妄想話だけどいいのね?!となってます

2016-11-17 01:06:18
かのん @kanonkasoutaku5

もう一度言うが9割方こうだったらいいなぁという妄想話だ!そして某ニキシー管頭さんと電話頭さんメインになるぞ!!

2016-11-17 01:07:43
かのん @kanonkasoutaku5

この話は所詮二次創作ですのでご注意をば

2016-11-17 23:15:07
かのん @kanonkasoutaku5

1840年以降、切手が誕生し手紙を利用する人たちが増えた。そんな中、僕が新しく配達担当をする地域で立派なお屋敷がある。なんでも有名な数学者が住んでいるらしい。しかしこの数学者、気難しいことでも有名らしい。気を付けろと先輩にも言われたがどうなるんだろうか(ある郵便配達員の日記抜粋)

2016-11-17 23:24:37
かのん @kanonkasoutaku5

レンガ造りの塀を横目に真っ直ぐ抜けたその先の道。木々が生い茂っていてとてものどかな場所だけど、まるで他者との関係を絶とうとしているように見えるのは僕だけだろうか。走り抜けた先に見えるのは豪華な噴水。僕が目指すのはそのまた先に続く大きな入口。ここが噂の数学者の屋敷。ニキシー邸だ。

2016-11-17 23:54:32
かのん @kanonkasoutaku5

普段通りにチャイムを鳴らせばいいものをあの時、僕は中々鳴らせずにいた。先輩が散々脅かしついでにいらぬことを吹き込んだせいだろうか。気難しい上に理屈を通せる奴だと思うなだなんて。これからここまで通うのに億劫になりそうだ。しかし仕事は仕事。僕は意を決してチャイムに指を伸ばした。

2016-11-18 00:45:42
かのん @kanonkasoutaku5

腹を括りチャイムを鳴らしたというのに返事すらなかった。今日は屋敷を留守にしているのだろうか。…さて、どうしたものか。昼までの配達分はこれで最後だから急ぐ用事はなかったものの。一旦、局まで戻ろうかと考えていた矢先の事、鍵が回される音がしてドアが開いた。「お待たせしてすみません」

2016-11-18 20:31:12
かのん @kanonkasoutaku5

あの時、僕は拍子抜けをしてしまっていた。ドアを開けて出てきたのは物腰丁寧な壁掛け電話頭の人だった。この方が噂の…と思ったがイヤイヤと頭の中で否定した。身なりもきちんとしている人だが屋敷の主人というより主人に仕えている執事という所だろうと。考えているうちにあの…?と声をかけられた。

2016-11-18 21:06:41
かのん @kanonkasoutaku5

電話頭さんに新しくこの地域の配達担当になったという説明と共に手紙を渡した。渡した時に紅茶の良い香りがしたのを思い出す。主人にお茶の用意をしてて遅れたのだろうかと考えていると、頭上からありがとうございますという言葉が降って思考が戻された。僕は慌てて失礼しますと言って屋敷を後にした。

2016-11-18 23:58:00
かのん @kanonkasoutaku5

大通りまで走り抜け僕は振り返った。噂の主人には会えず仕舞いだったが。執事さんは良い人そうだけれども…。それとも良い人だから気難しい主人に仕える事ができるのかと。妙に疲れた午前の配達を終え、僕は局へ走り出した。もしかしたらこの時からあの屋敷に通うのが楽しみになっていたのかもしれない

2016-11-19 00:08:40
かのん @kanonkasoutaku5

今日の分の配達先を確認しているとそれを見つけた。あの屋敷宛の手紙。真っ白な手紙に真っ赤な封蝋。あの屋敷の主人は有名な数学者と称されているがあぁやって送られる手紙にもそれが物語っているのが伺える。中身は一体何だろうか。僕は一生内容を知ることが出来ない手紙をバックに仕舞い込んでいた。

2016-11-19 20:32:46
かのん @kanonkasoutaku5

大きなドアの前に立ってチャイムを鳴らす。今日はこの前より早くドアが開かれた。ドアから顔を覗かせたのはあの時の執事さん。僕が郵便ですと手紙を渡したらといつもご苦労様ですと受け取っていた。その時、屋敷の奥からちりんちりんとベルの音が響いた。「おや。では、これにて失礼します」

2016-11-19 20:39:03
かのん @kanonkasoutaku5

あの時の呼び鈴はきっと主人が執事さんを呼んだ音なんだろうと思った。しかしあれは一体どこから響いてきたのだろうか。あの執事さんは屋敷のどこに居てもあの音を聞き取るのだろうか…。屋敷に手紙を届けるようになってから、いっつも手紙を受け取るのはあの執事さんだが、他に従者はいないのだろうか

2016-11-19 20:42:56
かのん @kanonkasoutaku5

局で昼食をとっていた時の事。突然、背中を思いっきり叩かれておもわず食べていたサンドウィッチを吹き出しそうになった。咽ている僕を横目に背中を叩いた人物は僕の横の席に座る。ドカリと座りニヤニヤと悪い笑みを浮かべていたのは先輩だった。白々しく「例の屋敷はどうだ?」だなんて言ってきた。

2016-11-19 20:52:10
かのん @kanonkasoutaku5

「俺が言った通りだっただろう?」そう言われて過去に言われた事を思い出す。気難しい上に話が通る奴だと思うな。しかし幸か不幸か、僕はまだあの屋敷の主人を顔合わせをしたことがなかった。あの屋敷はまだまだ知らないことだらけだ。先輩に呼ばれているのにも気づかず僕はあの屋敷の事を考えていた。

2016-11-19 20:56:11
かのん @kanonkasoutaku5

あの屋敷に通い始めて早何日。今日も手紙を手渡していると奥からカタンカタンと音が聞こえた。まるでそれは、階段を下りている音の様だった。僕の目の前には執事さん。もしかしてこの足音はと思った。ゆっくりと聞こえる足音はここの主人の物なのか。僕はとうとうこの屋敷の主人にお目に掛かれるのか。

2016-11-19 21:04:55
かのん @kanonkasoutaku5

結局、あの屋敷の主人を見ることは出来なかった。いや下りきる前に僕が屋敷を後にしてしまっただけなのだが。何故、姿を見る前に去ってしまったのか。うまく説明できないが、まだその時ではないような…単に僕の心構えが出来ていなかっただけなのかもしれない。僕は知らずに恐怖心でも抱いているのか?

2016-11-19 21:09:35
かのん @kanonkasoutaku5

僕はただの郵便配達員であって向こうは一人の客でしかない。だけど毎度と言っても過言ではないぐらいに通い続けている場所だ。主人は一体どういう方なのかという疑問ぐらい抱いたっていいだろう。あの時、少しだけでも姿を見ておけばと今更後悔が押し寄せる。…僕は一体いつ受取人に会えるのだろうか。

2016-11-19 22:41:42
かのん @kanonkasoutaku5

僕はこの屋敷で呆気にとられてばかりだ。僕よりも何十㎝程の高い人物をただ見上げながらそう思っていた。「郵便か。ご苦労。」低くて短い言葉が聞こえた。だって、何時もの通り執事さんが出てくるとばかり。そりゃいつ会えるのかと思っていたが、まさかこうも早く会うなんて誰が考えるのだろうか。

2016-11-19 22:52:50
かのん @kanonkasoutaku5

「用が済んだらさっさと帰りたまえ。君達は時間が限られているだろう。」そう言われて扉が閉まったが僕はまだ扉の前に立ち尽くしていた。噂の気難しい有名数学者、ニキシー管頭のニキシー様。主人さんの目には僕の間抜け顔が写っていたことであろう。そして僕が主人さんに抱いた印象は、でかい人だった

2016-11-19 23:00:59
かのん @kanonkasoutaku5

噂の主人さんに会えた帰り道の時のこと。木々の道を抜けた先の大通りをぼーっと歩いていたら後方から名前を叫ばれた。振り向いた先にいたのは御者である僕の友人。大口開いて湿気た面してるなぁ!なんて響き渡る声で話していた。彼の声を聞いたせいか、浮き足立っていた僕の気持ちは大分落ち着いていた

2016-11-20 19:29:04
かのん @kanonkasoutaku5

カーター…、御者である彼に乗せてってやると言われ僕も一緒に揺られながら馬に引っ張られてた。どうやら最近、毎度の如く利用する客が居てご機嫌らしい。鼻歌まで歌っていた。「お前の所はどうだ?」なんて聞くもんだから、僕は最近の事を話した。今日、あの屋敷の主人さんの話を全部含めて。

2016-11-20 19:56:13
かのん @kanonkasoutaku5

今思うと、噂の主人さんはちょっと怖かった気がする。僕よりはるかに大きくて、声も低く妙な威圧感があった。それに素気なかった。…でも、先輩達が言っていたほど悪い方ではなさそうかなって。不思議ともう一回逢えたらいいなと思う自分がいた。興味を無くしたカーターは適当に相槌を打っていた…。

2016-11-20 20:07:32
かのん @kanonkasoutaku5

今日も僕は手紙を届けに行った。チャイムを鳴らして出てきたのは執事さん。流石に連続で主人さんにはお目には掛かれないか。手紙を渡すと今度は階段を上る音。もう少し早ければ声をかけられたかもしれないのにと思った矢先、パタパタと違う足音と「お待ちくださいな!」と小さな女の子の声が聞こえた。

2016-11-20 22:36:29
かのん @kanonkasoutaku5

正直、驚きを隠せなかった。あの屋敷で小さな女の子の声を聞くなんて。てっきり主人さんと執事さんだけが住んでいるものかと。噂の主人さんは既婚者だったのか。意外な一面を見れて微笑ましく思っていると大通りで人とぶつかってしまった。謝ろうと顔をあげるとその人はすでにいなくなっていた。

2016-11-20 22:49:18