茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1949回【池のアメンボと、指定席】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１９４９回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

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以前、池でアメンボを見ていて、はあ、面白いなあ、と思ったことがある。一応、水面に「なわばり」のようなものがあるのだが、他の個体がくると、「わっ、お前、こっちくるな！」みたいな感じで、すいすい逃げていく。

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アメンボには池の上に「指定席」がなくて、いつも、「わっ、こっち来るな」「おれ、そっち行くよ！」とやりあっている。その様子を見ていて、自然の中では、生きものはああいう世界で生きているんだよなあと思った。

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列車に乗っていて、指定席があればそれにどっしりと座って安心している。自由席でも、一度とれれば、あとは目的地まではゆったりと座っている。しかし、困った場合もあって、たとえば、間違った指定席に座っていた場合である。

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ああ、座った、のんびり、とゆったり構えていると、「あの〜、その席」と誰かがいらっしゃる。瞬間的にどきっとして、「あっ、すいません、間違っていました！」と立ち上がる瞬間、それまでの安心が不安と不安定へと変わっていく。

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非常にレアなケースだけれども、車掌さんに、「指定席の空いているところにおすわりください。どなたかがいらしたら、お譲りください」と言われることもある。そんなときは、停車駅に着く度に、そわそわどきどきして、全く落ち着かない。

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池の上のアメンボと、どっしりゆったり指定席の間には、無限の距離があるが、生命の本来はアメンボの方にあるとすれば、私たちは、社会の中での自分のニッチについて、反省しなければならないのだろう。ここはオレの指定席だとどっしり構えていると、安心はするだろうが、生命からは遠ざかる気がする。

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以上、連続ツイート１９４９回「池のアメンボと、指定席」をテーマに、６つのツイートをお届けしました。

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