大乱歩覚え書き～なんとなく乱歩作品が分かりそうなまとめ～

弦城(3グラスP) @3G_lostempty

※大乱歩と呼ぶ理由について きょうびは文豪の名を冠したキャラクターの登場する作品が幾つもあるので、それらと乱歩本人を区別するのに(本人)とかと呼ぶのもなんか嫌だなと思ったので、彼に対して内外で使われた敬称「大乱歩」を敢えて使用しています。

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D坂の殺人事件→大乱歩の著作のなかで上位の知名度の高さを誇る作品。名探偵明智小五郎の初出作品。このときの彼は下宿生活してました。 首を絞められて死んでいた女房の謎を解きます。ある意味驚きのラストが待っています。短め且つ青空文庫で読めます。 #大乱歩覚え書き

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鏡地獄→早い話、レンズに取りつかれた偏執狂の友人の物語。作中に登場するレンズを使用した品物が初めは目の前に見える筈のお金が取れないという可愛いげのある玩具だったのに、物語が進むにつれて彼の狂気が深まると共に大がかり且つ悪趣味になっていくのがポイント。 #大乱歩覚え書き

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黒蜥蜴→明智探偵シリーズの一つ。美しいものを収集する女怪盗「黒蜥蜴」との対決が描かれています。推理シーンもありますが、痛快な娯楽ものとして読めるので入門にいいかもしれない。彼女は大乱歩作品の悪役の中でも屈指の魅力的なキャラクターだと思う。 #大乱歩覚え書き

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盲獣→早い話、触覚に楽しさを覚えた盲目の男と、それに付きまとわれた女の話。触覚の表現が多分に含まれており、非常に官能的かつ耽美。 だが、ラストで飽きたのかとってつけた感じなのが非常にしょっぱい。 #大乱歩覚え書き

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人間椅子→簡単にいうと、醜男の椅子職人が、中身が空の椅子を作り緩衝材の代わりに自分が入ることで自分の上に座った人間の感触を楽しむ話。本当にこの作者、薄暗くて変態的な話が矢鱈上手い。よく文庫本で出される傑作選の常連作品。 #大乱歩覚え書き

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蜘蛛男→義足の探偵畔柳と、名探偵明智が女性を殺し、芸術と称して死体を作品とする猟奇的な殺人犯「蜘蛛男」に挑む話。推理ものではあるが、悪趣味が入り乱れる点で若干対象年齢が上な印象。 #大乱歩覚え書き

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蜘蛛男の余談→様々な乱歩作品をコミカライズした「江戸川乱歩異人館」に同名の作品が収録されているが、こちらの畔柳は若い男(しかもイケメン)になっている。そして話の展開が原作よりも早い、犯人が誰か分かるのも吃驚するほど早い。 #大乱歩覚え書き

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指→片手を切り落とされたピアニストと、その手の話。手を切り落とされたことを知らぬその男がメロディを奏でるのに合わせ、ホルマリンの中の指が鍵盤を叩くようにうごめくだけの話だが、乱歩にしては珍しい幻想的な話。非常に短いが、指に関する描写が綺麗。 #大乱歩覚え書き

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魔術師→明智探偵シリーズの一つ。玉村家の人間を皆殺しにすることの執念に駆られた男との対決が描かれています。のちに明智の助手→妻となる美女、文代が初登場した作品だったり。 #大乱歩覚え書き

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パノラマ島奇談→売れない小説家の人見が、てんかんで死んだ自分と瓜二つの富豪に成り代わり、莫大な遺産をはたいて自身の夢見る理想郷「パノラマ島」を作り上げる話。パノラマ島の描写がオタク心に響くので全力でオススメしたい。 丸尾末広のコミカライズもよいです。 #大乱歩覚え書き

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人でなしの恋→女が見合いで結婚した男は見た目も美しく妻にも優しく接してくれるのだが、実は人形しか愛せないのだった。男が人形との逢瀬に耽溺するさまは美しくもあるだろうが、とても生々しく描かれているように思われた。百年文庫「異」に収録。 #大乱歩覚え書き

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怪人二十面相→児童向けに書かれた少年探偵団シリーズの一つ。変装の達人且つ人を殺さないというポリシーを持った怪盗、二十面相との対決が描かれている。なお、この怪盗はシリーズを通して敵として現れる。小林少年のとある奇抜な変装については敢えて語るまい。 #大乱歩覚え書き

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少年探偵団について→明智探偵の助手、小林芳雄が率いる私設の探偵団。名前からわかる通り、少年少女で構成されている。明智探偵は顧問みたいなポジション。児童向けに書かれたシリーズだからかは謎だが、乱歩全集や傑作選には怪人二十面相以外入ることが殆ど無い気がする。 #大乱歩覚え書き

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赤い部屋→何もかも真っ赤な部屋で刺激に餓えた人間たちを聴衆に、新入りの男が自身の数多の殺人罪を語る話。その殺人は自分で手を下さず、相手の心理を利用して死に向かわせるというものだった。異常な空間と、常軌を逸した心理という組み合わせが印象的。 #大乱歩覚え書き

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心理試験→自分が疑われないように計画も綿密に組み立てて殺人を犯した男が事件後の心理試験(単語から連想されるものを答える簡単なアンケートみたいなもの)に周到に対策して明智探偵の疑惑から逃れようとする話。明智探偵は登場するが、犯人視点で書かれている点で珍しいかも。 #大乱歩覚え書き

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蟲→愛していた女を殺してしまった病的なまでに内向的な男の末路の物語。女を殺すに至る愛憎の入り乱れ、殺した女の遺体に耽溺し、腐敗の進行に恐怖するさまがポイント。本当にこの乱歩、気持ち悪い話を書くのが上手い。 #大乱歩覚え書き

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芋虫→戦争で四肢を失い、視力と聴力もほぼ無くなった夫を持つ女の暗い情欲を描いた物語。女の周囲からの甲斐甲斐しく夫を介抱する良妻という定評と、その裏のドロドロした夫への嗜虐趣味が対照的。 検閲に引っ掛かった作品のため伏せ字だらけ。 #大乱歩覚え書き

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双生児→自分より優れていた弟を殺し、自身が弟に成り代わった兄の物語。とある謎が残されたままで終わるのですが、話の詳細を語ろうとするとネタバレになるのでこれ以上のことを語るのはやめておきます。 #大乱歩覚え書き

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夢遊病者の死→自分の不幸をすぐに何かのせいにする夢遊病の男が、父の死に対して自分が寝ている間に殺してしまったのではないかと怯え、逃亡を図る話。タイトルが結末を物語っているが、真相を推理すると言うよりは内心の憎悪が自分を苦しめる恐怖に苛まれるさまを見る話。 #大乱歩覚え書き

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孤島の鬼→主人公箕浦の恋人が殺された謎を、箕浦にただならぬ愛情を持つ男・諸戸と共に解明しようとする話。同性愛の要素がある作品として有名だが、乱歩の長編で傑作と言われている。 因みにこの作品、大乱歩が同性愛に関する文献を読み漁っている時に書いた話らしい。 #大乱歩覚え書き

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白昼夢→蒸し暑い日に薬屋が群衆の前で演説するのを聞いてみると、妻を殺して遺体を蝋人形にしたという告白であった……という話。愛憎の果てに女を殺した、死体を処分せずに手元に置いた点で蟲と似ているがこちらのほうがライトに描かれている。 #大乱歩覚え書き

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陰獣→探偵作家がたまたま知り合った未亡人からかつて捨てた男から脅迫されていることを告白され、犯人探しに奔走する話。明智探偵シリーズと違い、こちらは陰鬱でじめじめした読後感だった記憶。大乱歩の傑作のひとつとされるので、有名な作品から攻めたい人には良いかも。 #大乱歩覚え書き

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闇に蠢く→男が理想的な肉体の女と駆け落ちするも行方不明になり、「死んだだろう」と言われても納得できないから真相を追い求める話……話の主旨を言ってしまえばカニバリズムの話ですね。描写には妖しさと陰鬱が同居していました。 #大乱歩覚え書き

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防空壕→空襲に際して男が逃げ込んだ防空壕で出会った女と激しい恋に落ちるも、女が早々に立ち去り離ればなれとなる話(真相はラストで明かされるが……) 極限状態で芽生える愛の歪な物語。後味はわるめ。 #大乱歩覚え書き