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烏賀陽 弘道
@hirougaya
アニメーション映画「この世界の片隅で」は評判にたがわぬクオリティの高い作品だった。太平洋戦争中前後、広島県呉市に嫁入した18歳の女性すずの物語。ありがちな反戦映画ではなく、戦争も原爆もほんの小さなサイドストーリーでしかない。平凡な女性の日常を徹底的に精密に描いている。それがいい。
2016-12-01 01:55:16
烏賀陽 弘道
@hirougaya
この世界の片隅に ： 上 (アクションコミックス) こうの史代 amazon.co.jp/dp/B009DBYLLG/… @amazonJPさんから
2016-12-01 01:57:13
烏賀陽 弘道
@hirougaya
しかし自分の好みでいうと「この世界の片隅で」はアニメ映画より原作のまんが（こうの史代）のほうがはるかにクオリティが高くて好き。おそろしいほど厳密な時代考証。よくこれだけリサーチしたものだと思う。一種の時代小説として優れている。 amazon.co.jp/dp/B009DBYLLG/…
2016-12-01 01:58:11
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」は原作に比べるとアニメのほうが戦争や原爆にかける描写の比重が多く、ややそれが興を削ぐ。ありがちな「反戦映画」のワナにはまっている。 amazon.co.jp/dp/B009DBYLLG/…
2016-12-01 02:00:42
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」の放つ魅力は原作のまんが段階で完成され切っていて、映画で加える余地がほとんどない。素晴らしいと思ったのは音楽である。コトリンゴがうたう主題歌（オリジナルはフォーク・クルセ‐ダーズ）がとてもいい。 youtu.be/C8IYZkoWodE
2016-12-01 02:05:42
烏賀陽 弘道
@hirougaya
まんが「この世界の片隅に」の時代考証はおそろしいほど緻密で、このまんがを読むと太平洋戦争前後の日本人の生活や感覚が追体験できる。交通や通信、メディアといったテクノロジーが変化しただけで、普通の人々の感覚はさほど変化してないのだということに気づく。
2016-12-01 02:10:15
烏賀陽 弘道
@hirougaya
なので、私はまんが「この世界の片隅に」を「太平洋戦争前後の日本人の生活」を再現した疑似ルポルタージュだと受け取っている。その意味で「当時の日本人」と「現在の私達」の間に連続性を容易に見出せると思う。これは今まで凡百のジャーナリズムができなかった偉業である。
2016-12-01 02:12:26
烏賀陽 弘道
@hirougaya
まんが「この世界の片隅に」の作者こうの史代は1968年生まれ。広島市で育った女性である。これだけの緻密な考証と莫大なリサーチで太平洋戦争当時の日本人を再現し、なおかつ魅力的なキャラクターを設定して、人間への洞察に満ちた物語を構築した能力には敬意を抱かずにはいられない。
2016-12-01 02:16:07
烏賀陽 弘道
@hirougaya
社会が右翼化しているとか戦前の軍国主義に反動回帰しているとかごちゃごちゃ言われ、言論界がほとんど有効な反撃ができない中、まんが「この世界の片隅に」のようなすぐれたまんがが（まったく反戦とか叫んでないのに）淡々とした物語描写でそれらを吹き飛ばしてしまう。日本のまんがの底力だと思う。
2016-12-01 02:20:14
烏賀陽 弘道
@hirougaya
こうの史代のまんが「この世界の片隅に」は考証やリサーチが緻密であるだけでなく、物語や人物造形が魅力的である。そして人間への洞察が深い。「日本人と第二次世界戦争」をテーマにここまでクオリティの高いまんがを描いたという点で、松本零士や手塚治虫に比肩するクリエイターだと思う。
2016-12-01 02:23:30
烏賀陽 弘道
@hirougaya
最近「この世界の片隅に」だけでなく、日本人と第二次世界大戦」をテーマにした優れたまんがに多数出会っている。山田 参助「あれよ星屑」も緻密なリサーチで戦中戦後の日本人の生活を正確に再現している。 すぐれた作品である。amazon.co.jp/dp/B00JX8DUS4/…
2016-12-01 02:27:21
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」が戦場に行かなかった女性の視点なら、山田 参助「あれよ星屑」は徴兵され戦場に行き、死ねなかった男性の視点である。両方読んで対比してみると、男女であの戦争の見え方はまったく違うことに気づくと思う。 amazon.co.jp/dp/B00JX8DUS4/…
2016-12-01 02:29:29
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」はおそろしいほどクオリティの高いまんがですわ。こういう資料取材を仕事にする人間として、作者がリサーチにかけた作業量がわかるだけに敬服します。 @YuminTanaka
2016-12-01 02:31:48
烏賀陽 弘道
@hirougaya
山田 参助のまんが「あれよ星屑」は中国の戦場に送られた兵士の戦中戦後の物語である。ちゃんと日本軍の残虐性（中国人に対してだけではなく、身内の日本人にも）を描写していて、リアリティがある。「 amazon.co.jp/dp/B00JX8DUS4/…
2016-12-01 02:34:17
烏賀陽 弘道
@hirougaya
日本人を「戦争被害者」として描く映画やまんがが多いなか、山田 参助のまんが「あれよ星屑」はちゃんと日本軍の残虐性（中国人に対してだけではなく、身内の日本人いじめも残酷）を描写していて、その限界を破っている。フェアである。 amazon.co.jp/dp/B00JX8DUS4/…
2016-12-01 02:35:48
烏賀陽 弘道
@hirougaya
まんが「この世界の片隅に」（こうの史代）と「あれよ星屑」（ 山田 参助） をあわせて読むと「権力を持たない普通の市民にとって、なぜ戦争をすることは破滅的なのか」を追体験できると思う。報道界ができなかったことをまんがが達成している。amazon.co.jp/dp/B00JX8DUS4/…
2016-12-01 02:39:32
烏賀陽 弘道
@hirougaya
最近「第2次世界大戦と日本人」を描いたすぐれたまんがによく出会うので、ついでにご紹介。オーストラリアに近い南太平洋の孤島での玉砕戦に放り込まれたヘナヘナ軟弱な男性の体験記 「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 」1 武田一義 amazon.co.jp/dp/4592141873/…
2016-12-01 02:44:16
烏賀陽 弘道
@hirougaya
19歳で徴兵され、一発の弾も撃たない内に満州で終戦。そのままソ連軍に拉致され、凍死と餓死寸前のシベリアで強制労働をさせられた作者の父親の体験記。 「凍りの掌 シベリア抑留記」 おざわゆき amazon.co.jp/dp/B011NAJ3PS/…
2016-12-01 02:47:35
烏賀陽 弘道
@hirougaya
シベリア抑留の現実は報道では大きく取り上げられない。要するに、ソ連の大規模な外国人拉致と強制労働（プラス洗脳）である。恐るべき国家犯罪である。まんがは報道よりいい仕事をしている。「凍りの掌 シベリア抑留記」 おざわゆき amazon.co.jp/dp/B011NAJ3PS/…
2016-12-01 02:50:53
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」「あれよ星屑」「ペリリュー」「凍りの掌」はどれも第2次世界大戦を直接体験していない漫画家たちの作品である。
2016-12-01 02:53:51
烏賀陽 弘道
@hirougaya
「この世界の片隅に」「あれよ星屑」「ペリリュー」「凍りの掌」はどれも第2次世界大戦を直接体験していない漫画家たちの作品である。自分が兵士としてニューブリテン島で玉砕を命じられた水木しげるの「総員玉砕せよ」とはいい意味で感覚が違う。
2016-12-01 02:57:49
烏賀陽 弘道
@hirougaya
それは「戦争をしていた日本人」と「現代の日本人」の間に共通性や連続性を見出し、何とかそのかつての日本人を理解しようとする努力である。水木しげるの「総員玉砕せよ」は当事者の回想録なので、現代の日本人が何が理解できないのかを作者が理解できなくなっていた。
2016-12-01 02:59:22
烏賀陽 弘道
@hirougaya
日本の映画界やテレビドラマ界は第2次世界大戦をテーマにしても「日本人は戦争被害者」あるいは「自己犠牲」「愛する人を守るために死ぬ」みたいな美化・自我礼賛ばかりで現代日本人や異文化の人たちの共感を呼べない。報道はマンネリと自己模倣で不能状態で、ほとんど存在感なしのヨレヨレ。
2016-12-01 03:03:43
烏賀陽 弘道
@hirougaya
そんな中「この世界の片隅に」「あれよ星屑」「ペリリュー」「凍りの掌」のようなクオリティの高い作品を描く良心的なクリエイターがたくさんまんが界にいることに敬意を抱かずにはいられない。
2016-12-01 03:05:27