黒いドボク鎮守府 朧が吼える ― 曙vs朧 ―

曙「ふーん?新幹線くれるんだ。クソ提督の癖にナマイキ。(はむっ、もぐもぐ…)やだ、パンタグラフも美味し…。ふ、ふんだっ!」
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まも(特殊工事版) @kojimamo198X

窓という窓から噴き上がる火焔の群れ バラバラと歩道に墜ちる瓦礫 燃え盛るビル。 陥没した道路に突っ込んだ軽自動車は溢れ出した水道パイプからの水溜まりにひしゃげた姿を晒す。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 18:02:01
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

「なんでアタシが、こんな…」 花の髪飾りを炎が巻き上げる風に揺らしながら少女が呟く。 「アタシに何と戦えっていうのよ!」 少女が見つめる先にあるのは、特型駆逐艦艦娘の艤装靴の靴跡。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 18:23:52
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

仲間の靴跡。でも違ったのは、それが少女の体の何倍もあることだった。 靴の滑り止めの溝の形にプレスされたアスファルトやガードレールが、まるで雨細工か何かのようだ。 そして服と何かの赤い肉体が、ペタリと靴跡に貼り付いている。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 18:54:03
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

顔を見上げれば空に立ち込める火災の煙、煙。時折、ドーンドドーンと響くような音。向こうからは逃げ惑う妖精達が駆けてくる。サイレンを鳴らしながら急行する消防車。 道路の向かい側には何か巨大な爪のようなもので引っ掛かれたようなビル。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 19:38:26
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

目の前の惨状から咄嗟に判断し無電で判断を仰いだ。 《提督。深海棲艦の倍数体が街に上陸した模様。敵情不明なるも火災が認められ被害が出ている。対処はどうするか?》 返ってきた答は曙を狼狽させた。 「暴走艦娘の雷撃処分って…本当!?」 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 19:38:20
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

クソ提督め。私に厄介者を押し付けるなんて。深海棲艦の倍数体、つまり巨大な黒い化け物相手じゃない。破壊衝動に襲われたりや頭がイカれた艦娘を倒せという事だ。 私はいつも厄介ごとの担当なんだ。 クソ!私が暴れたいくらいだわ。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 19:37:40
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

統合海軍設営隊駆逐艦 曙 単艦同士の演習といわれVR演習ルームに放り込まれた。対戦相手を確認しようとディスプレイを叩くも相手画像アイコンは 【プレイエリアの外です!】 ふざけるな! 思わずディスプレイの台を蹴った。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 19:43:19
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

そんな状態で選択された架空戦場は曙がよく利用する人口300万の港町。 しかし、曙の目の前に現れた町の景色は何時もの景色とは一変していた。 #黒いドボク鎮守府

2016-12-01 09:33:40
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

そして曙が発見したのは 『特型駆逐艦の艦娘が都市巨大化し、都市に上陸し暴走している』という爪痕だった。 《クソ提督。通常体modeの私一隻では対処不可能。でも威力偵察ならいけるわ》 無電を飛ばす。 #黒いドボク鎮守府

2016-12-01 09:48:06
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

指示を仰ごうと返答の無電に耳を澄ませ待っている時、世界はバラバラに砕けた。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:36:32
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

突然、私の視界が白亜質…、真っ白で明るくなった。 あらゆるものに染み透ってくる、奇妙な不愉快までに熱い光…。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:36:49
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

その時、爆発が起こった。 突然の凄まじい轟音と突風。私の体は激しく揺さぶられ、ガードレールにしがみつく。あらゆるモノが道路に飛び交った。店の看板や乳母車に妖精…。 建物の破片やガラスが降ってくるドスンドスンにバリバリと言う音…。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:36:49
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

余りに永く続くので、しまいにはこの騒音は決して止まないのではと…。 私はガードレールの板に手を掴んだまま目を固く閉じてうずくまっていた。 軍艦だった時の海戦の悪夢が蘇る。しかしこれも現実なんだ。目の前で起きているのだと。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:39:42
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

なんとか過ぎ去った嵐の後に眼を開けると酷い有様だった。かろうじて建っていた破壊されかけたビルは隣の小さな商店を押し潰し瓦礫に。妖精たちはフラフラと歩き、体は焼けただれ咽を押さえながら苦しみもがく妖精に、床に横たわって動かない妖精もいた。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:43:05
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

街の通りを南へ駆け出した曙。 メラメラとあがる巨大な炎が建物群の向こうに見えた。 何かが彼処で起きた。確認に行かなきゃ。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:47:28
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

南へ行くにつれ段々と何か酷い間違いが起きたのだと確信するようになった。 通りには色んな妖精が横たわっており血塗れになっていた。強烈な閃光で肌が青黒くなっている妖精も…。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:48:07
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

あとでわかったのは、ガスタンクが爆発した時、まず閃光が街を焼き、爆風がガラスを吹き飛ばし更に衝撃波であらゆるモノをメチャクチャに掻き回した。 そして爆発の瞬間、周囲数キロの酸素を全て奪い巨大な火球が産まれた。 酸素を奪われた妖精は一瞬にして絶命したのだ。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:52:50
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

ハァハァ 通りを連装砲を構えながら駆けていく。 途中、私の行きつけのカフェが入ったビルが跡形もなく、いやまるで建物まるごと引き抜かれ無くなっているのを目撃した。 悲しくなった。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 20:57:27
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

こんな酷い事をしでかした奴。例え姉妹艦であろうが必ず倒してやる。そう、いき込んでいた。 しかし、通りの空を見上げたら寒気が走り思わず立ち止まった。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 21:04:11
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

埃ぽっい大気を通して、長く赤い炎混じりの灰黒い色をした雲が噴き上げているのが見通せた。途方もなく大きな雲塊だった。それは上へ上へと登り、横に広がり雲海を造り、曙の上にも差し掛かってきた。 キノコ雲は近くで見るとキノコ雲に見えない。髪の毛がよだった。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 21:04:11
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

傾き真っ黒に焦げたマンションが見えた。建物に不自然に空いた穴。まるで手を中に突っ込んだような。足元には何かの白い骨が散らばる GARAGARAGARA…! まさか中の妖精をと思いかけた時、証拠を隠滅するかのようにチラチラと燃えていたマンションは崩れさった。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 21:05:36
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

「アッハハ…アッハハハ!ヒヒヒィー!」 マンションが崩れた先に見えたもの。両手を空にかざし、上半身を反らしながら嗤う化け物。耳をつんざくような声量に思わず耳を抑えた。 #黒いドボク鎮守府

2016-12-01 09:51:02
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

眼を開ける。 「朧…。貴女、何をしているの?」 呆然と立ち尽くす。 私の姉。第七駆逐隊の仲間が…。 「ヴあ"あ"あ"ー!!」 空に届くかのような炎の柱の前で裸の胸を晒け出し、両手で乳房の上をドンドンと叩き鳴らす。 姉は怪獣になっていた。 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 22:18:14
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

【市街地戦闘許可】 【ビッグバトルモード承認】 「わかった。わかったわよ!やればいいんでしょ!」 後ろ髪を束ねていた髪飾りをバンドごと外した。 《駆逐艦曙。ビッグバトルモード移行!トランスフォームします!》 #黒いドボク鎮守府

2016-12-01 09:55:06
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

髪飾りの花を空にかざす。 宇宙衛星ランドサット経由の赤いレーザー光が私を瞬時に包み込んだ。 光が止むと身体の底から涌き出る熱い感覚。 全身が燃えるかのような状態に思わず吼える。 「ああッーーーー!!」 #黒いドボク鎮守府

2016-11-30 22:18:14