動き出す暗い影

久しぶりのツイッターによる連続小説(仮) 随時更新していく予定です。
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みか @MizugumoMikage

1 明かりも付いてない部屋の中。 1人の人間は調べ物をしていた。 調べている内容は……鹿屋大襲撃。 「……」 インターネットや新聞。使える物を片っ端から使い限界まで調べている。 しかしその顔は曇っていた。 作業は順調には進んでいない。 そう思わせるような表示。

2016-12-08 20:13:48
みか @MizugumoMikage

2 「……はぁ」 1つため息をつき椅子に深く腰かける。 近くのテーブルに置いてあるコップに手を伸ばしたところで気が付いた。 「もう無かったか」 立ち上がり、コップを手に取った彼は暗い資料室から出て行った。

2016-12-08 20:14:19
みか @MizugumoMikage

3 「あ、司令官!お疲れ様です!」 「あぁ、お疲れ様吹雪」 吹雪「またあの事件のことを調べていたんですか?」 「うん」 吹雪「もう一ヶ月は経つんですよね。なのに情報はあまり出てこないし…」 「情報が残らないほど酷い攻撃を受けたんだろうね。ここまでの被害はそう起こらない」

2016-12-08 20:15:13
みか @MizugumoMikage

4 吹雪「……なんで鹿屋が狙われたんでしょうね」 一ヶ月程前、鹿屋全域にもわたる大規模襲撃があった。 深海棲艦が突如鹿屋に現れ鎮守府を破壊していった。 この襲撃により鹿屋の鎮守府はほぼ全滅。残っている鎮守府ももはや機能しないだろう。 「…確かに不可解な点ではあるな」

2016-12-08 20:15:54
みか @MizugumoMikage

5 そう、彼女の言う通り。 襲撃を受けた場所が鹿屋基地。 鹿屋基地だけなのだ。 「……こちらの動きを封じるならもっと他に狙う場所があるはず。何故鹿屋基地だけが狙われたんだろう」 吹雪「攻撃を仕掛けてきた深海棲艦も詳しい情報が出てません。」 「……」

2016-12-08 20:16:57
みか @MizugumoMikage

6 鹿屋基地が大襲撃を受けたにも関わらず、敵の深海棲艦の詳しい情報もわからず、何故鹿屋基地だけが狙われたのかも明らかになっていない。 「…しかし鹿屋がここまでやられるなんて思ってもなかったな」 そう、鹿屋基地には三国志とも呼ばれる3人の提督らがいた。

2016-12-08 20:18:02
みか @MizugumoMikage

7 鹿屋基地の戦力の大半はその3人に集約しており、戦果も輝かしいものばかり。 過去の作戦の際の奇襲も凌いだ戦績もある。 しかし今回はその3人の鎮守府も例外なく大きな被害を受けた。 「…気になることが多すぎるな。やっぱり現地に行かないと分からないこともあるかもしれない」

2016-12-08 20:18:48
みか @MizugumoMikage

8 吹雪「そろそろ立ち入り禁止区域も解放されるはずですよ」 「そうか。時間を作って行ってみるか」 吹雪「お1人で?」 「…考えておく」 吹雪「了解です」 そう言って吹雪は部屋を出た。 「…鹿屋基地か。また行こうとは思っていたが、まさかこんな形で行くことになるなんてね」

2016-12-08 20:19:35
みか @MizugumoMikage

9 そう呟くと彼は執務に戻る。 「そういえば吹雪は何か用があったんだろうか」 吹雪「すいませーん、お渡しする物があったの忘れてました〜」 噂をすればなんとやらである。 「全く……」 吹雪「えへへ、すみません。これ、以前頼まれた書類です」 「ありがとう。助かるよ」

2016-12-08 20:20:24
みか @MizugumoMikage

10 吹雪「じゃあ、これで失礼しますね」 「わかった」 吹雪が部屋から退室し、書類の封筒を確認する。 (鹿屋基地大襲撃における被害者及び艦娘) 封筒にはそう書かれていた。 「さてさて、何か分かるといいんだが……」 ーーーーーー しばらく書類を睨んでいたが表情が変化した。

2016-12-08 20:21:35
みか @MizugumoMikage

11 「……これは、いや、まだ確信に至らないか。だけどこれは……」 何かに気付いたようだが彼はまだ半信半疑、いや、それ以下というところ。 「これが意味することが本当なら……どちらにしろ、現地に行って確かめなきゃいけないな」 彼は席を立ち部屋を出た………

2016-12-08 20:22:35
みか @MizugumoMikage

12 彼は部屋を出た後、鹿屋へ向かった。 時間が経っているとは襲撃があった場所へ向かうということなので随伴に駆逐艦吹雪、重雷装巡洋艦大井の2人を連れている。 吹雪「やっぱりまだまだ酷い状態ですね……」 大井「復興には時間がかかるでしょうね」 「……」

2016-12-09 20:21:47
みか @MizugumoMikage

13 吹雪「司令官?」 「…あ、すまない。行こうか」 大井「待ちなさい。先に教えてください。復興の協力なんて嘘までついて、ここまで何をしに来たのか」 「…バレてた?」 大井「バレないと思ったの?」 「…そう。復興の協力ではなく、襲撃についての調査に来たんだ」

2016-12-09 20:22:30
みか @MizugumoMikage

14 吹雪「調査……」 「人を待たせてるからとりあえず話は後でね」 3人は鹿屋に設立された緊急医療施設に足を運ぶ。 「…お久しぶりです」 「やぁ、久しぶりだねるなかさん。こんなボロボロな格好ですまないね」 るなか「いえ、大変な状況なのに時間を作ってくださり感謝致します」

2016-12-09 20:23:03
みか @MizugumoMikage

15 彼と話している男性。 背丈は170ほど。無精髭を生やし、後ろ髪を結っている。 服は患者用の物に変わっているが側には海軍帽が置いてある。 「それで、今日は一体どうしたんだい?お見舞にでも来てくれた感じかな?」 るなか「すみません、お見舞では…ないんです」

2016-12-09 20:23:54
みか @MizugumoMikage

16 「だろうねぇ」 飄々と軽く流してるのが彼なりの精一杯の見栄なんだろうか。 口調こそはっきりしてるが目は朧気だ。 るなか「私の方で今回の襲撃について調べていたんです」 「…今回の」 るなか「えぇ。それで被害にあった者達のリストを発見したんです」

2016-12-09 20:24:36
みか @MizugumoMikage

17 「…なるほどねぇ」 彼は話を理解したのか目線を少し下げる。 るなか「貴方達のうち、1人だけ…いえ、1つの艦隊がリストに上がってこなかったんです」 「…そうだろうねぇ。施設に運ばれてない以上、リストには出てこないだろう」 るなか「…何か、知っていることは」

2016-12-09 20:25:40
みか @MizugumoMikage

18 「……今は席を外してるけど私ら2人で少し話してね。行方不明、深海棲艦に拉致もしくは既に殺害されたものと考えているんだ」 るなか「……」 「私も不思議だとは思ったさ。ただ今は私もあの人もそう簡単に動けなくてね」 るなか「…そうですか。」 彼は一礼し、席を外した。

2016-12-09 20:26:12
みか @MizugumoMikage

19 吹雪「あ、司令官。お話終わったんですか?」 るなか「うん」 大井「で?調査について何か進展はあったの?」 るなか「正直進展無しかなぁ……」 彼が先程まで話をしていた人物こそ鹿屋基地における三国志のその一角を担う人物だった。

2016-12-09 20:27:03
みか @MizugumoMikage

20 彼がこの襲撃について感じている違和感について何か手がかりになる事があればと思って来たが、進展は良いとはいえなかった。 大井「そもそもあんたが感じてる違和感ってなに?」 るなか「吹雪に今回の襲撃での被害者のリストを探していてもらっていてね。リストが見つかり確認したんだ」

2016-12-09 20:27:49
みか @MizugumoMikage

21 るなか「リストには……ある人の名前が無かった。正確にはその人と直属の艦隊全てが無かった」 大井「……どういうこと?」 るなか「その人の鎮守府は確かに破壊、もう機能はしないだろう。しかし提督と艦娘が発見されてないってことなんだ」 吹雪「じゃあ逃げきれた、とか?」

2016-12-09 20:28:33
みか @MizugumoMikage

22 るなか「逃げきれたのなら襲撃が終わった後に復興の協力をするはずだろう。しかし一ヶ月が経った今も発見されてない」 吹雪「た、確かにおかしな話ですね……」 るなか「捕虜にして情報を吐かせるにしろ、人質にしろ艦隊全てを連れていく必要はないからな」 大井「となるとやはり」

2016-12-09 20:29:28
みか @MizugumoMikage

23 るなか「襲撃があった後だからね。亡くなった。と言ってしまえばそれで終わりだけど……」 彼は少し考え込んだ。 しかし表情は曇ったままだ。 るなか「とにかく辺りを調べて回ろうと思う。護衛を頼むよ」 吹雪「お任せください!」 大井「はいはい」 ーーーーーーーーー

2016-12-09 20:30:15
みか @MizugumoMikage

24 鹿屋の提督との話が終わったあと、3人は襲撃にあった場所を調べて回った。 あらかた回り終わった時にはもう夕暮れを迎えていた。 るなか「ここで最後かな」 吹雪「ここは…」 るなか「あの人の鎮守府だよ。見ての通りボロボロだけどね」 大井「確かに例外なく被害を受けてるわね」

2016-12-16 20:34:15
みか @MizugumoMikage

25 るなか「中に入ってみようか」 吹雪「え、中にですか?」 るなか「どうかした?」 吹雪「だってボロボロの建物とかなんか怖いじゃないですか…」 るなか「じゃあ外で待ってる?」 吹雪「そ、それも嫌です……行きます」 大井「早く行くわよ。真っ暗になったら面倒だわ」

2016-12-16 20:34:36