国が乱れ、泰平となる理由・・・民主主義、君主制度の意外な共通点

民主主義をバカにする声が最近多い。しかし国が乱れるときに起きている現象は、民主主義であろうと君主制度であろうとよく似ているのだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

昨今、民主主義批判がかまびすしい。やれ、デザインに民主主義はそぐわないとか、民主主義はポピュリズム、衆愚政治になるとか。 民主主義は確かに完全無欠の制度ではない。欠陥だらけ。しかしチャールズの言葉を引くまでもなく、他の政治制度も欠陥だらけ。民主主義がひとり劣っているわけではない。

2016-12-15 08:22:29
shinshinohara @ShinShinohara

たとえば君主制度も賢王を得るならばよい制度。タイのプミポン国王、ブータンの2代続けての王のように、賢王を戴くと国民は幸せになり、不満は最小化する。賢王ありきなら、君主制度は決して悪くない。 ただし賢王を得るのは博打に近い。優れた人物だと思ったら悪王に変身した例は数多い。

2016-12-15 08:28:00
shinshinohara @ShinShinohara

殷の紂王は若い頃、武勇に優れ、人望も篤い将来を嘱望された人物だった。ところが妲己(だっき)という女性にのめり込むと、酒浸りになり、遊びで人を殺すようになり、心配して忠告する部下の腸を割いたりした。歴史に残る悪王に変じた。

2016-12-15 08:30:58
shinshinohara @ShinShinohara

ローマ皇帝のネロは若い頃、賢帝として名高かった。しかし次第に狂ってくる。実の母親を殺し、師であったセネカを殺し、都市が燃えるのをみて笑って楽しむような狂帝へと変化した。

2016-12-15 08:40:27
shinshinohara @ShinShinohara

実は、君主制度であろうと民主主義であろうと、国が乱れる時とよく治まる時とは、どちらもとても似かよっている。乱れる時は、特権階級が生まれ、格差を助長する政策が続くとき。よく治まる時は、特権階級自らが自重し、格差是正に努めるときだ。

2016-12-15 08:58:18
shinshinohara @ShinShinohara

賢王と呼ばれる人は苦労をいとわずに国中を駆けずり回り、困っている人はいないか、その人たちの苦しみを少しでも和らげるにはどうしたらよいかということを考え続け、部下からの意見もよく聞く。民主主義でもよく治まる時は、これと同様のシステムが働き、苦しむ人の声が世論となって広がる。

2016-12-15 09:01:42
shinshinohara @ShinShinohara

愚王と呼ばれる人はこれとは逆に耳に心地よい意見しか聞かず、結果的に特権階級を育てることになり、格差が広がり、国民に不満が渦巻く。民主主義においても不満が渦巻くのは、生活が苦しくなり、それでいて特権階級化した人たちが「俺たちは努力した、豊かになって何が悪い」と格差を助長するときだ。

2016-12-15 09:10:17
shinshinohara @ShinShinohara

民主主義がポピュリズムを採用する時は決まって、特権階級化している人々の支配構造を破壊しようというときだ。特定の人間に人気という名の権力を与え、特権階級の支配構造を破壊することを期待する。少々歪んでいるが、格差を破壊しようとして独裁を一時的に許す構造と言ってよい。

2016-12-15 09:13:23
shinshinohara @ShinShinohara

日本でもポピュリズムが台頭する土台が出来上がりつつあった。荒稼ぎする人は「俺は勉強し、努力もした。勉強も努力もしていない人間から批判される筋合いはない」といい、戦後日本の政治状況を悪平等と考え、格差を当然視する意見が目についた。

2016-12-15 09:15:55
shinshinohara @ShinShinohara

社会的公正を重んじるピケティ氏が学歴社会に疑問を呈したのは興味深い。アメリカは極端な学歴社会だが、大学に進学するには法外な学費を納めなければならない。金がない家の子どもは大学進学を諦めざるを得ないのだ。学歴社会を装った格差社会だ、というのがピケティ氏の指摘。

2016-12-15 09:18:40
shinshinohara @ShinShinohara

日本も近い将来、国公立の学費を90万円にまで上げ、私立並みにするという話が出てきていた。もしそんなことになったら金のない子弟は進学を諦めざるを得ない。学歴の衣をまとった格差社会が生まれることになる。学歴≒権力になってしまう。学歴は学力を計るものではなく権力の物差しになってしまう。

2016-12-15 09:22:16
shinshinohara @ShinShinohara

格差をごまかすために学歴を利用することは、結果的に学問を憎み、軽蔑する心根を育むことになる。衆愚政治を招いてしまうのは、権力を志向する薄汚い根性を学歴で装おうとする魂胆を見切られて、「だったら学問ごとお前らを抹殺してやる」という怒りを育んでいるからだ。

2016-12-15 09:25:14
shinshinohara @ShinShinohara

学問は、私は大事だと考えている。「失敗の本質」にあるように、先の大戦で日本が大敗を喫したのは、科学への敬意を失い、精神論に陥ったことが原因だ。しかしそのさらにまた原因を探るなら、科学の衣をまとって格差社会を正当化する心根が権力者にあるとき、科学への軽蔑が始まるのだ。

2016-12-15 09:27:55
shinshinohara @ShinShinohara

学問、科学を正当に重んじる社会であり続けるためには、権力者の正当化に利用されてはいけない。学費を高くして貧窮の子弟が進学できない構造は、結果的に権力者だけに学歴を与え、権力を正当化する理由として学問を利用されるのと同じ効果を発揮してしまう。学問は広く門戸を開かねばならない。

2016-12-15 09:30:36
shinshinohara @ShinShinohara

君主制度にしろ民主主義にしろ、国を治めるには格差助長を食い止め、権力者の正当化に荷担せず、むしろ権力者自らが苦しんでいる人たちに耳を傾ける姿勢を示すように促すことが必要だ。これと逆のことをしたとき、民主主義だろうが君主制度だろうが国は乱れる。

2016-12-15 09:33:26
shinshinohara @ShinShinohara

ただし、課題として1つ指摘しておかなければならないことがある。民主主義にしろ君主制度にしろ、よく治まっているときにこそ、国が乱れる原因が育つのだということだ。それは人間に抜きがたく備わっている、「承認欲求」をよく見つめる必要がある。

2016-12-15 09:35:54
shinshinohara @ShinShinohara

格差社会が広がると国が乱れるのは、虐げられた人々の承認欲求が損なわれるからだ。どれだけ必死に働いても楽にならず、社会的地位も上がらず、承認欲求は満たされない。他方、権力者で金持ちはただ存在するだけで尊敬され、社会的地位も得て、承認欲求が満たされる。承認欲求の格差があるときだ。

2016-12-15 09:38:27
shinshinohara @ShinShinohara

国がよく治まる時は、庶民が自分達の声をよく聞いてくれる、見てくれていると承認欲求が満たされやすく、権力者は、自らへりくだって多くの人の意見に耳を傾けることで尊敬を受け、承認欲求を満たされる。ウィンウィンの関係が構築できている。

2016-12-15 09:40:47
shinshinohara @ShinShinohara

しかし戦後日本のように、極端によく「治まる」と、かえってその構造を破壊したくなる欲求を胚胎する。物質的に豊かでかなりの度合いで平等でもあった戦後日本社会(特にバブルの頃)では、格差を是正することに新奇さが感じられなくなり、格差是正に努力することが「陳腐化」してしまった。

2016-12-15 09:44:44
shinshinohara @ShinShinohara

むしろ平等公平を求めることが旧弊悪弊に映るようになり、「努力したものが報われる社会で何が悪い、格差社会、ある程度は結構な話、その方が社会が活性化するだろう」という意見が強まった。「優越感」という、人間の中にある承認欲求の1つを満たそうという動きが激しくなった。

2016-12-15 09:47:20
shinshinohara @ShinShinohara

残念なのは、優越感という承認欲求を満たそうとする行動が、格差社会を肯定し、結果として社会を乱す方向に動いてしまうことだ。平和でよく治まったときにこそ、「優越感」という名の承認欲求を、どう昇華するかが為政者の課題となるとも言えよう。

2016-12-15 09:49:27
shinshinohara @ShinShinohara

日本は愚かにも、戦後日本の公平で豊かな社会を壊し、格差社会を正当化する方向で動いてしまった。新自由主義経済学がそれを助長する方向にも働いた。 国が治まる時は、多くの人の声を聞き、すべての人々の承認欲求をうまく昇華することができたときだということを、為政者は知らねばならない。

2016-12-15 09:52:56