- Black323312
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という考えに対抗した結果 手術はしたいが金額が膨大 これ以上家族に迷惑をかけたくない だから自分で稼いで資金を貯めよう しかしその前にストレスが溜まり…
2017-01-07 12:34:43多脚の踊り子if ――仕事の景気が悪く、気晴らしに見世物小屋に入る事にした。 そこには「その道」の人間の間で人気を博している踊り子が居るという。 様々な規制によって見世物小屋は作り物やなんかが大多数を占めていると聞くが、どうやらそいつは「本物」だという。
2017-01-08 00:03:22今日日そう人も多くないだろうと思ったが、存外中は鮨詰め状態だった。 話を聞いていると殆どの奴が「踊り子」目当てだという。 その証拠に蛇女だのの、チャチで明白な物に対しては野次を飛ばし、早くしろなどと急かす声。 主人も音を上げ、めくりを一枚捲る。 そこには「多脚の踊り子」の文字。
2017-01-08 00:10:42場内が暗転し、次に電灯が点くと舞台の上には腰から下に長い布を纏う虚ろな目をした少年。 少年と言ったが華奢な身体は年齢どころか性別も不詳にさせた。 あれだけ騒いでいた男共が申し合わせたようにシンと静まり返ると、少年はゆっくりと、腰布を解いていく。 その仕草に、思わず見入ってしまう。
2017-01-08 00:16:58表情一つ変える事なく全ての布を取り去ると、そこには金の足輪を嵌めた四本の脚。 周囲からは溜息に似た吐息や感嘆が漏れる。 確かに、一本短く不格好ではあるものの、それが逆に自然の美しさを感じさせる。 これは確かに作り物では出す事は出来ないだろう。 少年は、一本の脚を高く掲げた。
2017-01-08 00:22:55凍りついたような表情のまま、少年は踊り出した。 四本の脚はごく自然に、絡み合いそして離れ、個別の動きを見せた。 演目が終わる頃には、すっかり魅了されていた。 「本日の演目は以上にて終了にございます」 これで終わりか?もっと見ていたいのにか? そうだ、楽屋に居るかもしれない。
2017-01-08 00:28:12帰宅の波から逸れ、人目に触れないように小屋の裏手へ回る。 思っているより警備は手薄だ、人手が足りないのかもしれない。 一つ、明かりの漏れる窓を見付けた。 覗き込むと、あの少年が居る。 窓の鍵は開いていた。 「よぉ、四つ足の踊り子さん。人気者の癖して無用心だな」
2017-01-08 00:33:48「初めのうちは、こうして来るのも多かったけどね。俺の事面倒見れるかって言ったらそれは無理だって」 少年は笑った。 「お前、笑えるんだな」 「笑うよ、人間だからね。で、おじさんはその覚悟あんの?俺結構高いよ?ご存知の通りの人気者だかんね」 「その為には、もう少しお前を知りたい」
2017-01-08 00:39:19「悪いね、俺の事は極秘なの。色々バレるとマズいんだよね」 思っていたよりもコイツは陽気だ。 舞台上であんなに冷たい表情だったのが嘘のようだ。 「名前だけでもか?」 「名前?…粗末な身体だから、御粗末とでも呼んでくれる?」 「おそまつな…そんな卑下する事ないだろうに」
2017-01-08 00:43:14「…それよりもさ、おじさんは何者?」 「俺も仕事に差し支えるから名前は今は言えないな。お前が俺の物になれば話は違うが」 「仕事何してんの?俺を買えるだけの金あんの?」 「金は払わねぇよ。俺の仕事は、強盗だからな」 終
2017-01-08 00:46:24おそ松兄さんが帰らない。 見世物小屋の主人を問い詰めると、「誘拐された」と言う。 「まぁ、もうそろそろこの小屋も閉めようかと思ってたし」だ? 冗談じゃない、そっちはたかが商売道具と思っているかもしれないが、こっちにとっては大事な家族なんだ。
2017-01-08 01:38:21