最強メガネ伝説ホシザキ 第三部 夢の四半期黒字編 第三話『アクション会議ー情熱大陸第3318話ー』
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日が登る前、人々が行動する前からホシザキは動き始める。 「俺が再生屋やれてるのは、ストックオプションで超過労働する皆の支えがあるから。だから、誰よりも早く動き始めないと」 そう語るホシザキの目は何よりも真剣だ。
2017-01-15 19:19:35再生屋である彼に一切の妥協はない。闘志なき者の首は切り、超過労働を厭わぬ社員にはストックオプションで報いる。彼の誇りはそこにあるという。 「まあ、好きで始めた仕事ですから」
2017-01-15 19:20:45「これからお仕事ですか? 」 「違うよ。あ、いや、そうなのかな? もう公私混同しちゃって……」 朝の六時からみっちり二時間。ホシザキは最新の眼鏡っ娘情報を収集する。 アクション会議を始めた時から、これを毎日続けていると笑う。 「情報こそ命ですからね。大切なんですよ、これ」
2017-01-15 19:21:20「おはようございます」 ホシザキは近隣住民への挨拶を常に欠かさない。「近所付き合いも仕事の内だ!」と彼はいつも『天領ミーティング』で社員たちに語る。シニア向けに舵を切った今のメガネにとって、顧客との信頼関係の確立は、眼鏡っ娘情報の収集以上に大切な事なのであった。
2017-01-15 19:22:29「月並みな質問ですが、再生屋になろうと思ったきっかけは?」 「んー、何だろなぁ…。 自分は元々、物産系の家に生まれて、親父も当時役員だったんだけど、ある時ふいにレール引かれちゃってる自分の人生にものすごく腹が立ってきちゃたんだよね。それで思い切って、退社しちゃったんですよ」
2017-01-15 19:23:06親父には役員会で、「重役の息子が辞めるなんて聞いたことがないとつるし上げられた」と愚痴られたよ。そりゃあ、俺も最後まで居座ろうかと考えた時期もあったよ。でもそんなの自分じゃなくなる気がしてすごいジレンマで……だったらいっそ、全部ぶち壊す側に回ろうかなって」(笑)
2017-01-15 19:24:52「親父には、『不徳の致すところです。血が繋がっていない息子だと言ってください』と答えたよ。まあ、親父はたいした事ないけど、ばあちゃんはきつかったな。物産を辞めますと仁義を切りに行った時には『星崎家と物産の70年の歴史を絶つのか!』って号泣されちゃってね。でもオレはオレだし」
2017-01-15 19:28:49午前7時。本社着。ご近所への挨拶の終わったホシザキは一枚のディスクを取り出した。『魔法少女まどか☆マギカ』と書いてある。 「休憩ですか?」 「いえ、やっぱたまには旧作の振り返りもね。やっぱ、ほむほむは最高ですから。羽音たらくの絵もいいんですけど、やっぱ僕的にはこっちかな」
2017-01-15 19:30:28七時十五分 。ホシザキはTVから離れ台所に向かう。 手馴れた動きで豆の分量を図り、ミルでコーヒーを挽き始める。目線の先はTVから離れない。同時進行させる事で作業時間を減らす工夫だ。 「大変ですね?」 「いやぁ、やっぱり美味しいとこは見逃したくないからね。なんと言っても」
2017-01-15 19:31:15ホシザキは湧いた湯を片手にコーヒーを淹れながら、上手にトーストを焼く。そして、画面上のほむほむを見ながら、焼きたての食パンをほおばる。これは社長就任時から変わらない習慣だという。 「効率の面もあるけど、これを食べる事で朝を迎えたって気分の方がやはり大きいかな」
2017-01-15 19:32:24一切の抜かりなく、素早く食べ終わるホシザキ。時刻はまだ七時二十分を少し回ったところだ。 「これからお仕事ですか?」 「すいません、静かに」 我々クルーを諌めるホシザキ。 「ワルプルギスvsほむほむ。ここが一番の見所ですよ」 nicovideo.jp/watch/sm142428…
2017-01-15 19:33:41「結局ほむほむのやってる事は、まどかの因果を増やす事にしかなってないんですよね」 良かれと思ってやる事が、時に愛するものを苦しめる結果になる事を学んだと彼は語る。 「僕も再生屋としてかなり誤解されてますし、彼女にはシンパシーを感じます。ここを見るのは僕の日課なんですよ」
2017-01-15 19:34:19「ほむほむの武器が、最後弓に変わるところは卑怯ですよね。涙腺直撃ですよ」 まどかの願いで過去のすべての魔法少女たちが救われるシーンを見る事で、「過去に自分が首を切ってきた社員たちもきっと幸せになっている事を信じられるのだ」と彼は言う。プロならではの思い込みの為せる技である。
2017-01-15 19:35:18「ふぅ、もういいかな」 沈黙を破ったのは、ホシザキであった。 「これ以上は危険だからね。見極めが大切なんだよ。俺の仕事はあくまでも利益を上げる事だから」 あまり深く嵌ると只のアニメオタになってしまう。 まどマギは再生屋としての生命を断たれかねない危険なアニメなのだ。
2017-01-15 19:36:37「怖くは無いんですか?」 「怖いといえば怖いね。いつ作品中の魔法少女の様に、只の眼鏡バカになってしまうか分からない。社員も側近も頭おかしいし、黒字転換までマトモで要られる自信はないよ。ただ続けたいね。生きてる限りは」 そう笑うホシザキには、確かに再生屋のとしての矜持が見えた。
2017-01-15 19:38:15八時。 まどかで興奮した心を覚ますためにホシザキはシャワーを浴びる。今日の夜はアクション会議。全国のメガネスーパーから、生粋の眼鏡バカたちが集まる日だ。勿論、煽りに煽り倒すが、それはあくまでも従業員のやる気を引き出すためにやる事。再生屋としての自分の本分を忘れた事は一度もない。
2017-01-15 19:39:17