斎藤環氏のヴェルフリ展での講演会について

兵庫県立美術館「アドルフ・ヴェルフリ展」記念講演の内容について
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斎藤環 10.27発売「コロナ・アンビバレンスの憂欝」 (晶文社) @pentaxxx

先週講演させて貰ったヴェルフリ展、素晴らしい展示でした。こんなテクニカルな画家とは知らなかった。デザインセンスも色彩感覚も超すごい。フリーハンドであれを描くとは…講演でアウトサイダーを強調しすぎたかもしれない、とふと思った。

2017-01-23 10:42:10
斎藤環 10.27発売「コロナ・アンビバレンスの憂欝」 (晶文社) @pentaxxx

僕自身はアウトサイダー/インサイダーという区分は「暫定的に必要」とする立場。理由は①この分類がなければ作品の価値が「発見」されにくくなる。②マーケットが成立すれば障害を持った作家の経済的自立手段が増える。③「ケアとしての批評(あるいはキュレーション)」という考え方。

2017-01-23 10:42:41
斎藤環 10.27発売「コロナ・アンビバレンスの憂欝」 (晶文社) @pentaxxx

アウトサイダー・アートの多くは、長期収容の産物という意味で「不幸中の幸い」みたいなもの。精神科病院が地域移行政策で長期収容をやめはじめてから、精神障害者のアートは激減し、主流は知的障害者施設に移行した。

2017-01-23 10:43:20
斎藤環 10.27発売「コロナ・アンビバレンスの憂欝」 (晶文社) @pentaxxx

知的障害者の大規模収容施設の存在は、厚生省が1960年代に推進した障害者コロニー政策の産物で、本来ならこちらも解体して地域移行すべき対象。すべての障害者が地域で、自宅で生活できるようになり、ノーマライゼーションが達成されたとき、「アウトサイダー」もその意味を変えるのかも知れない。

2017-01-23 10:43:55