司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「では提督、ケッコンと結婚制度が違うのは分かりますか？」 「はあ？　当たり前だろ。ケッコンカッコカリは艦娘にのみ適用されるシステムだ」 「そこまで分かってて！なんで！ケッコンしねえんだっつってんだよ！」 「朝潮はまだ子供だっつってんだろ！」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あんななあ！あんなまだランドセル背負ってそうな子供と結婚とか！お前頭おかしいんじゃねえか！？」 「頭おかしいのはアンタだっつってんですよ！！！」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「はぁ、はぁ、だったら……」 息を切らしながら大淀は続ける。 「だったら、交際からスタートすりゃいいでしょーが」 「だから、ぜぇ、ぜぇ、お前頭おかしいんじゃねえかっつってんだよ！」 「ア゛？！」 「あんな電車半額で乗れる子供と交際とか湧いてんのか？！」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「駄目だこいつ、こいつ駄目だわ」 気の毒な人を見る目でアホ眼鏡が見つめる。 「何が駄目なんだよ！」 「あのですねー、多分絶対無駄だと思うんですけどねー」 発言する前から諦めきった声で。 「他の鎮守府じゃフツーですよ？駆逐艦とのケッコン」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「他所は他所！　うちはうち！」 即座にデスヨネーという諦めきった相槌が聞こえた。 「はあ……じゃあ艦娘と提督が恋仲になるとか……」 「他所は他所！」 すると大淀が近寄ってきて俺の耳元で #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「世の中にはですね……」 「なんだよ、そんな近くで」 「駆逐艦と……ゴニョゴニョ……」 「な゛っ！？？？」 「……って提督もいるんですよ？」 畜生かよ！！！！！！ #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「はあ……もうわかりましたもういいです。で？ドーテイ督は何がお困りでありますか？」 「今解体モンの蔑称を聞いた気がするが、まあいい聞き流そう。この朝潮の文章を見て何も思わんかムッツリ眼鏡？」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「ヒジョーに甘ったるくて吐き気がしますね。ムシズマッハですね。なんすかね？朝潮はすぐさま検査を受けた方がいいんじゃないですかね？」 「ならお前のオツムの検査が先だな。だが……」 そう、だが……である。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

朝潮は可愛い。可愛いし良い子だし優しいし天使すぎで褒めたりないくらいである。 であるが……。 「誰のこと書いたんだろうな……これ……」 胃が再びキリキリしだす。少なくとも俺はこんな偉人めいた聖人では、ない。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

確かに私は幸運にも轟沈艦を出したことはない。ない、がそれは私が単なるビビリであり、重要な局面で撤退してきたからである。霞や満潮を叱らないのはこっちが圧倒されているだけで、潜水艦に無理をさせないのは上からブラックのレッテルを張られたくないからだ。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

そんな自分を省みて、さてこのキラッキラ光る文章ははて誰について書かれたことだろうか？　絶対に私じゃないことだけは確かである。 だが朝潮がそれを私だと、私の姿だと思っているのならそれをわざわざ否定することはないだろう。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

否、寧ろ朝潮がそれを望むのであれば、私はそのキラッキラした私(偽)を演じなければならない。それこそが朝潮の望む「司令官」であるのだから。 だが……私は凡俗で聖人ではない。おかげでこのところ胃薬が手放せなくなっていた。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

【朝潮視点】 「それで、私に相談したいこととは何ですか？」 大淀さんは私に席をすすめながら言いました。机を挟んだ対面に腰を下ろしながらコーヒーをすすりつつ。 「あ、頂きます」 私にもコーヒーを淹れてくださりました。砂糖とミルクまで用意してくれて #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「はい、相談というのは私の不調についてなのです」 「？　不調？　それなら明石や夕張に頼むほうがよいのでは？」 道理です。明石さんは私達艦娘について詳しいですし、夕張さんなら艤装の専門家ですし。けれど……。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「明石さんは見当たらなくて……夕張さんにも相談したのですが『それは大淀に聞いた方がいいよ』と」 「……逃げやがったな……」 「？　どうかしましたか？」 何かを小声で呟いた大淀さんは何でもないよーと手を振って続きを促しました。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「で、不調って？　どんな？」 「はい！　最近私の戦果が不安定なのです」 「不安定？　まあほら勝負は時の運ってゆーし……」 「いえ……その……極端……と言いますか。良いときは毎回ＭＶＰを飾るのです」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

そう、どんなに敵が強大な編成でも、味方の皆さんの方が強くても必ずＭＶＰを獲得出来るのです。……が 「じゃあ悪いときは？」 「……その、掠りもしない有り様で……」 外れるのです。見事なまでに。敵がどれだけ弱く少なくとも。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「じゃあやっぱり艤装のメンテ不足なのでは？」 「いえ、艤装はいずれも正常でした」 「ンー……」 「それに、その……日常でも不調な時が……」 「例えばどんな時？」 どんな時……私はここ最近で不調になった時のことを思い出します #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「ええと、一番最近は三日前です」 「ふむ、三日前……今は違うの？」 「はい、今は普通です」 「じゃあその時の前後をはなしてもらえますか？」 私は思い出す。なるべく詳細に。 「三日前の昼過ぎ、私は遠征から帰ってきたのですが」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「ふむふむ？」 「私がいつものように司令官にお弁当を届けに執務室へ……」 「すとーっぷ」 「はい、なんでしょうか？」 大淀さんは額に手を置くとしばらく黙ってから。 「え？　なに？　朝潮ちゃん、あの馬……提督にお弁当作ってるの？！」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「はい！　司令官はお忙しい方ですから言わないとお食事も休憩も満足にとって下さりませんから」 「で朝潮ちゃんが作ってる？」 「はい、不肖この朝潮、作らせて頂いています！」 「…………いつから？」 「そうですね……私が着任して１週間ほどしてからでしょうか？」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「……わかった……それで？」 「はい、私も一緒に昼食をとろうと執務室を訪ねたのですが……」 「はい、すとーっぷ」 「？　なんでしょうか？」 「朝潮ちゃん、あのア……提督と一緒にランチをとってるの？　毎日？」 「いえ！　朝食と夕食もです」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

大淀さんは今度は眉間にシワを寄せつつ 「そ、それで？　執務室でランチをとったのかしら？」 「いえ……それが……先客がいまして」 「先客？」 「はい、金剛型姉妹の皆さんです」 今でも鮮明に思い出せる。扉から漏れる楽しそうな声、紅茶の匂い。 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

そして華やかな金剛型の皆さんに囲まれ、素敵な笑顔を浮かべる司令官の姿を。 「それを見た途端に……その……平衡感覚が麻痺したようになりまして……」 「あー……」 「言葉も上手く出てこなくて……」 「あー……」 「震えと体の内側からなにかが蠢くような……」 #司令官は叫びたい

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あのさ、朝潮ちゃん……ひょっとしてＭＶＰ取った時はあのク……提督と何かなかった？」 「ど、どどどうしてそれを！？」 「……ちょっとごめん……」 大淀さんはそう言って席を外しました。 #司令官は叫びたい