Bloodborne(ソニーエンターテインメントジャパン、フロム・ソフトウェア、プレステ4専用ソフト) マスケッターのサーガ その6(最終回) ※ネタバレあり

長きに渡った連載もこれで最後です。皆様、最後までありがとうございました。小説風の内容にしたので、「こんなの全然違うよ」、「突っ込みどころ満載だな」と言うご指摘は当然あろうかと存じます。虚心に受け止めるつもりです。  では、本ゲームを製作した全ての皆様、それを楽しむ全ての皆様、私のささやかな作品にお付き合い下さった全ての皆様、各位に限りない感謝と尊敬を捧げつつ。
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ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 223  ミイラは、頭に奇妙な物を被っていた。兜の一種か。太くて頑丈な針金を格子状に組み合わせた、チェスのルークのような形をしている。格子状であるからには隙間が空いているが、実戦で役に立つとも考えにくい。ここに至った成行から 224へ

2017-03-03 10:05:10
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 224 しても、神秘に基づく仕組みがあるに違いない。それを作動させるのは、今までかすかながらも繋がって来たよすが……人間らしさ、卑俗なほどの安楽、世間で言う成功や失敗……を、自ら断ち切る行為かも知れない。それで良い。 225へ

2017-03-03 10:10:12
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Bloodborne マスケッターのサーガ 225 俺は、手を伸ばしてルークのような兜もどきに触れた。その途端、再びがらりと異なる風景に移った。派手な爆発や音声はない分、かえって緊張感が増した。  今や、俺はどこかの研究室にいた。何かの目玉を大量に仕入れた 226へ

2017-03-03 10:13:21
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 226 広口ビンや、戸棚、試験管にビーカー。いつものランプもあった。まずランプを灯してから、部屋の扉を開けた。すると、何かの建物の、二階の張り出し廊下に出た。どんな建物なのかはすぐに分かった。目の前に、小さな化け物がいる。 227へ

2017-03-03 10:16:44
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 227 小さな、と言っても、大人の半分程の背丈はあった。上半身は何となく人間で、服さえ着ていた。頭には、四角い学帽を被っている。下半身は、ナメクジそっくりだ。つまり、ここはビルゲンワースの施設で、こいつらは研究生の 228へ

2017-03-03 10:19:52
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Bloodborne マスケッターのサーガ 228 末路と言う事だ。遠慮なく仕掛け槍で突き刺し、さっさと進んだ。多少、手強い奴もいるにはいたが、物の数ではない。そんな前座も、張り出し廊下の奥にある両開きの扉で終わった。ぴったり閉じてあるにもかかわらず、邪悪な 229へ

2017-03-03 10:22:36
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Bloodborne マスケッターのサーガ 229 黒紫色のオーラが滲み出ている。ためらいなく、扉に手をかけ、開け放つと、オーラが俺を包み込んだ。またしても、俺は全く異質な場所に連れて行かれた。  オーラが晴れると、俺は小さな洞窟にいた。そのまま外に出て、 230へ

2017-03-03 10:25:51
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Bloodborne マスケッターのサーガ 230 陽光……と、言っていいのか……の下を道なりに進む。どこか、高い山を登っているのは理解したが、道中に出くわした化け物は慣れるまで時間がかかった。見た目は、獣化病患者が、銀色がかった白い体毛に包まれたように思える。 231へ

2017-03-03 10:29:06
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 231 問題は頭だ。ねじきった首を、無理矢理横向きにして接着したような様子で、つまり縦ではなく横に口が裂けている。いずれにせよ、仕掛け槍を一撃喰らわせた。普通に血を吹いて倒れた……しかし、それで終わりではなかった。 232へ

2017-03-03 10:31:56
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 232 倒れた獣の腹が内側から破られ、大人の胴体程もある寄生虫が飛びかかってきた。さすがに仰天したが、最初の一撃を辛うじてかわし、地面に落ちたところでとどめを刺した。出だしからこんな調子だ。用心しながら進む内、稜線越しに 233へ

2017-03-03 10:35:21
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 233 ビルゲンワースや大聖堂をも凌ぐ城塞が見えた。あれが本丸か。先を急ぐ前に、ある岩影にランプがあったのでつけておいた。  岩影を出て、一歩踏み出した瞬間、今まで殺した人々の姿が目に浮かんだ。俺の姿もあった。いや、 234へ

2017-03-03 10:38:53
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 234 殺したのは俺だ。俺が血飛沫だ……? !? 論理的な思考が繋げなくなっているのに気づき、俺は、ベルトの後ろにつけた薬品ストックから鎮静剤の小ビンを出した。その場で飲み干すと、気分が落ち着き、元に戻った。 235へ

2017-03-03 10:42:19
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 235 城の主が誰にせよ、相当悪趣味な奴だ。俺は、決意を固め直し、城を目指した。もっとも、敵は、予想よりは少なかった。余程自信があるのだろう。寄生虫だの錯乱だのはほんの余興か。  いよいよ城についた。化け物は執拗に行く手を 236へ

2017-03-03 10:50:24
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 236 阻んだが、道案内をしてくれたようなものだ。幾つかのエレベーターを経由し、遂に城の中心部に近づいた。より正確には、中心部を正方形のように取り巻く廊下や階段に至った。  一人の男が、俺を待ち受けていた。街中なら 237へ

2017-03-03 10:54:15
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 237 どこにでもいる紳士で済んだだろう。頭に、例のルークもどきを被ってさえいなければ。 「はぁーはっはっはっ。はるばる我が悪夢世界へとようこそ。我が名はミコラーシュ。神秘の追求者だ」  自分の処刑宣言を自慢げに述べる 238へ

2017-03-03 10:57:47
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 238 奴も珍しい。 「造物主を目指したビルゲンワースの過激派か」  敢えて、俺は凡庸に追求した。 「造物主? ああ、上位者の事かね。私は過激派ではない、穏健派だ。ウィレーム学長こそ憎むべき過激派だよ」 239へ

2017-03-03 11:06:51
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 239 「この期に及んで責任転嫁か」 「事実を述べただけだ。学長の惨めな姿を見たかね? 『瞳』も持てないまま、中途半端に触手が生えただけだ。学生達に至っては人間ナメクジだ。学長を崇拝した結果があれだよ、哀れなものだ」 240へ

2017-03-03 11:10:27
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 240 「なら、お前はどうだと言うのだ」 「これだから下位者への説明は骨が折れる。周りを見たまえ! 舞台は既に完成している! 私は、肉体を捨て、夢の中で上位者との接触に成功した!」 「その割には普通に近い格好だな」 241へ

2017-03-03 11:14:18
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 241 「君は、私の肉体を見る前に、私の分身を倒しただろう? あれはいささか予想外だったが、ここに下位者の君を招き、君の立場に相応しく、私も下位者のスタイルで現れたのだよ」 「つまり、お前に力を貸している奴が近くにいるんだな」 242へ

2017-03-03 11:17:27
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 242  そこで初めて、ミコラーシュは顔をしかめ、唇をすぼめた。 「チッチッチッ、ノーノーノー。サービスはここまでだ。下位者に寛大過ぎるのが私の悪い……」  俺が仕掛け槍から散弾をぶっ放すと、ミコラーシュは回れ右して 242へ

2017-03-03 11:19:54
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 243 逃げ出した。俺は追ったが、一撃当てたかと思うと消えてしまい、遥か彼方で手を振っている。挑発して誘導しているつもりだろう。乗ってやる他ない。しばらく鬼ごっこを続けると、ミコラーシュは小さな部屋で俺を待ち受けた。 244へ

2017-03-03 11:23:23
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 244  ミコラーシュは、両手の拳を胸の上で突き合わせ、そのまま頭上に掲げた。青白いエネルギーが筋を引いて拳に吸われて行く。速やかに脇に避け、彼の拳から放たれた神秘の力で粉々になるのを免れた。武器は持ってなさそうだが、 245へ

2017-03-03 11:28:15
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 245 それを補って余りある破壊力だ。部屋が小さいだけに、逃げ回る訳にもいかない。神秘攻撃の連続には意外と隙がなく、俺は部屋の隅に追い詰められた。 「いやあ、夢の中とは言えいい運動になったよ。下位者の分際で良く……」246へ

2017-03-03 11:31:36
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 246  俺は、ピストルを撃った。ミコラーシュ本人を狙ったのではない。そんな事をしても避けられて終わりだ。一見、あさっての方向だが、神秘攻撃でえぐられた床に、石の破片がある。弾丸はそれを弾き、得意気なミコラーシュの口に 247へ

2017-03-03 11:34:50
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

Bloodborne マスケッターのサーガ 247 飛び込んだ。咳き込みながら石を吐き出す内に、俺は仕掛け槍を一気に流した。穂先がみぞおちを貫き、石どころか血ヘドを吐く間もあらばこそ、左手を傷口に入れて内臓を掻き出した。一握りで心臓が潰れ、ミコラーシュは絶命した。 248へ

2017-03-03 11:38:05