Bloodborne(ソニーエンターテインメントジャパン、フロム・ソフトウェア、プレステ4専用ソフト) マスケッターのサーガ その6(最終回) ※ネタバレあり
Bloodborne マスケッターのサーガ 248 ミコラーシュが死んでも、悪夢は晴れないままだ。力の源が健在なのだから当然だろう。休む暇もなく、先を急いだ。一度、城の中腹にある中庭に出て、化け物や衛兵と戦ったが、最早相手にならない。ミコラーシュの 249へ
2017-03-03 11:41:03Bloodborne マスケッターのサーガ 249 スポンサーは、城の屋上にいるようだ。その、最後のエレベーターの手前で、一人の女性がいた。ビルゲンワース前の湖で、蜘蛛を倒した後に現れたドレスの女性だ。俺に何の義理があるのでもないが、街を滅ぼした悲劇を嘆いているのは 250へ
2017-03-03 11:44:30Bloodborne マスケッターのサーガ 250 察しがついた。話しかけてもしようがないだろう。行動と結果を捧げるのみ。エレベーターに乗り込み、屋上に至ると、古ぼけた乳母車があった。どこからか、素朴なオルゴールの音が聞こえてくる。ここでも、『出産』か。 251へ
2017-03-03 11:52:48Bloodborne マスケッターのサーガ 251 乳母車に近づくと、空なのが分かった。罠を予想しつつも、乳母車に触れると、屋上の中央の、人の頭くらいの高さにある空間に、黒い渦が現れた。渦は大人の二倍くらいの大きさに膨れ上がり、八本の腕を持つ青黒い影に変身した。 252へ
2017-03-03 11:56:47Bloodborne マスケッターのサーガ 252 腕は、一つ一つが、鎌のような刃先を持つ剣を握っている。上等だ。俺は、仕掛け槍を構えた。 影は、ゆっくり近づき、威嚇するように八本の剣を振り上げた。隙だらけだ。すぐに背後へ通り抜け、まずは一撃。手応えはあった。 253へ
2017-03-03 11:59:36Bloodborne マスケッターのサーガ 253 その直後、影は消え、辺りは突然真っ暗闇になった。何かと思えば手品めいた虚仮脅しだ。兵士として、真夜中の戦場を何度も潜り抜けた俺から言わせれば、無知な世間知らずだ。背後を取ったつもりの攻撃を易々とさばき、 254へ
2017-03-03 12:02:34Bloodborne マスケッターのサーガ 254 そのまま顔を断ち割った。これまでの苦労からすると、本当に呆気ない。……悲鳴もなく影が消え、赤子が泣き叫ぶ声と、赤い大きな臍の緒が残った。捨てられた狩人の工房でも同じものを拾った。影より、そちらの方が気になり、 255へ
2017-03-03 12:06:27Bloodborne マスケッターのサーガ 255 丁度現れたランプを使って、一度人形の待つ館に戻った。そこから集会場に行くと、娼婦の姿はなかった。 「旦那……お嬢さんなら、産まれる産まれるって呟きながら、そこの階段を降りて行ったよ」 赤いボロの男が、 256へ
2017-03-03 12:09:08Bloodborne マスケッターのサーガ 256 自分から教えてくれた。黙ってうなずき、その通りに進むと、なるほど彼女はいた。通路の隅にある、壊れかけの椅子にうずくまって。華奢で高そうな靴は、足から伝わった血にまみれていた。爪先には、ナメクジに似た何かが 257へ
2017-03-03 12:12:50Bloodborne マスケッターのサーガ 257 這いずり回っている。 「商売柄……妊娠したのは分かっていたけど……赤ちゃん、どこ……?」 娼婦は、途切れ途切れに言った。虫の息で、譫言になりかかっている。 「いるにはいる」 俺は事実を述べた。 258へ
2017-03-03 12:15:35Bloodborne マスケッターのサーガ 258 「そう……。……殺して……あたしごと殺して……」 「何だと!?」 幾ら俺でも、赤子や民間人の女を殺した経験はない。 「も……う、分かって……い……た。あたしを妊娠……させ……たのも、生まれたのも……人間じゃない」 259へ
2017-03-03 12:19:49Bloodborne マスケッターのサーガ 259 それ以上喋らせるのは酷だった。俺は、生まれて初めて禁を破った。娼婦はこと切れ、赤子は青白い小さな粒になって消えた。実にあっけなかった。……しかし、その跡に、また臍の緒が出てきた。これで三つだ。ふと思いつき、三つを 260へ
2017-03-03 12:22:50Bloodborne マスケッターのサーガ 260 繋げて見た。まるで、最初からそうあるべきだったかのように、ぴたりと一本になり、これまた消えてしまった。だが、俺の脳裏に、この上なく明確な映像が浮かんだ。助言者ゲールマンが、赤い月を礼拝している姿が。真に倒すべき二つが。 261へ
2017-03-03 12:25:56Bloodborne マスケッターのサーガ 261 二つ。そう、一つじゃない。とにかく、今は戻ろう。 人形の背後で、館は勢い良く燃えていた。一応、出入りは出来そうだが、屋根にまで火が回っている。 「お帰りなさいませ。奥の花園で、ゲールマン様がお待ちです」 262へ
2017-03-03 12:31:01Bloodborne マスケッターのサーガ 262 人形が告げた。これから真の決着だ。普段は一切開かなかった、花園への出入口に手をかけ、ゆっくり開けた。花園の奥に、一際大きな木があり、車椅子に座ったままのゲールマンがいた。俺は大股に歩み寄った。 「良くぞやり遂げた」 263へ
2017-03-03 12:34:24Bloodborne マスケッターのサーガ 263 淡々と、ゲールマンは言った。 「全部、あんたの差し金だったのか。あんたが崇拝する赤い月の秘密に、ビルゲンワースは近づき過ぎた。だから、俺を使って排除した」 「私はご覧の通りの老いぼれだ。君は期待以上だったよ」 264へ
2017-03-03 12:36:39Bloodborne マスケッターのサーガ 264 「だからどうした」 「下位者の立場で、色々と重荷になる知識が増えただろう。私の慈悲を受け入れたまえ」 そう言って、ゲールマンは、車椅子の背に隠してあった剣を手にした。 「ゲールマン、一つ言いたい」 「何だね」 265へ
2017-03-03 12:39:30Bloodborne マスケッターのサーガ 265 「俺が上位者になったら、クソみたいな研究も、クソみたいな監視役も、みんなまとめて地獄の肥溜め行きだ!」 叫び終えると共に、仕掛け槍を叩き込んだ。空の車椅子を壊しただけだった。即座に身体をひねったが、背中には 266へ
2017-03-03 12:42:31Bloodborne マスケッターのサーガ 266 切り傷が刻まれた。もう半瞬遅れたら脊椎を切断されていた。 向き直ると、ゲールマンは長い柄のついた鎌を振りかぶっていた。槍よりリーチが長そうだ。暫くの間、俺は身も蓋もなくゲールマンの攻撃を避け続けた。 267へ
2017-03-03 12:49:24Bloodborne マスケッターのサーガ 267 その内に、奴の得物の軌跡が見込めるようになった。振りが鋭いのとリーチが長いのとで一見無敵に思えるが……間合いを詰め、頬の肉を鎌に削らせつつも、そのまま背後に抜けた。武器が大きすぎて、一度背後を取れば楽勝だ。 268へ
2017-03-03 12:53:53Bloodborne マスケッターのサーガ 268 仕掛け槍を背中から胸へ刺し通し、勝負あったかに見えた。だが、ゲールマンは身体を横に動かして、身体を引き裂きながら槍を抜き、鎌を一振りして剣に変えた。いつのまにか銃も手にしている。そして、背後に腕を回して 269へ
2017-03-03 12:57:40Bloodborne マスケッターのサーガ 269 俺に銃口を向けた。全てがほんの一秒足らずの間に行われた。おまけに、発射されたのは散弾だ。全てはかわせず、何発かの粒が俺の腹に食い込んだ。思わず怯む内に、ゲールマンは剣を構え、俺にとどめを刺すべく前転しながら突っ込んだ。 270へ
2017-03-03 13:01:00Bloodborne マスケッターのサーガ 270 姿勢が低いのと素早いのとで、槍は間に合わない。飛び退く他はないが、腹の痛みでタイミングが遅れ、ゲールマンの剣が俺の右胸を下から上に切り裂いた。肺まで達しかかった刃先を味わいつつ、俺は、自分のピストルでゲールマンの銃を 271へ
2017-03-03 13:04:39Bloodborne マスケッターのサーガ 271 撃った。火薬が暴発し、散弾が俺にもゲールマンにも飛び散る。俺の左脇腹から、腸がはみ出かかり、ゲールマンは顔の半分がぐしゃぐしゃになった。今度こそ最後の一撃、と思わばこそ、ゲールマンは突然拳を地面に向けて神秘の力を 272へ
2017-03-03 13:07:45Bloodborne マスケッターのサーガ 272 蓄え始めた。俺のピストルは単発だし、右胸を裂かれたせいで槍もろくに使えない。万事休すか。だが、槍に仕込んであった石が……人形の涙から作った石が……かすかに輝いた。俺は、生まれて初めて手にした、生死を越えた力で、 273へ
2017-03-03 13:10:59