- Uroak_Miku
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1)日本のアイドル文化について考えてみたい。個人的には全然思い入れがない。アイドル文化を語るひとは少なくない。いわゆる文化人にもいる。しかし外国人に質問されて手際良く答えてあげられるひとは本当に少ない、と思う。
2017-03-13 15:58:272)敗戦から話が始まる。日本で占領軍兵士への慰問が急務となり、日本の芸人が大量動員された。英語ができる日本のブローカーが毎晩歌手やらなんやらをかき集めて米軍のトラックで基地まで送り届けていた。たしか森光子の自伝に当時の様子が綴られています。
2017-03-13 16:02:493)そのとき取りまとめ役をしていた人物(ちなみに女性です)が後に芸能プロの始祖的な会社を作った。渡辺プロ。通称ナベプロ。
2017-03-13 16:05:374)それまで歌手はレコード会社が管理し楽曲提供していたのですが、ナベプロはレコードの制作まで自社主導で始めた。たしか植木等の「スーダラ節」(1961年)が皮切り。 pic.twitter.com/kJ5B5GJQsW
2017-03-13 16:15:445)あらゆるタイプのミュージシャンやコメディアンをそろえたナベプロはテレビの時代のゴッドファーザー(というかゴッドマザー)的存在となった。ここを怒らせたらテレビ局は歌番組もお笑い番組も作れなくなる。
2017-03-13 16:17:236)テレビ局はやがて自社での芸能人育成に乗り出した。TBSの「スター誕生!」がそうでした。1971年開始。視聴者に応募させて選考をそのまま放送する。
2017-03-13 16:19:307)「スター」誕生と銘打っていましたが、今見ると「アイドル」誕生ですね。手の届かない憧れではなく、町内や学校で顔を見知っている女の子がいきなりスターになる。そこが新しかった。
2017-03-13 16:21:048)それまでの「スター」は映画俳優に使っていました。「加山雄三は青春スターだ」という風に。それが「アイドル」に変わった。テレビの時代がこのパラダイムシフトを起こした。
2017-03-13 16:22:5810)男性アイドルは「スタ誕」的な庶民性はもともと薄くて、こんな風に洋物臭いというか手の届かないところにいる王子様イメージで流通していました。 pic.twitter.com/iOH6LPx9gm
2017-03-13 16:26:5812)そして『金八先生』(という青春ドラマがかつてあったのです)でジャニーズ所属の田原俊彦、近藤真彦、野村義男の三人組が「たのきんトリオ」として売り出されブレイク。男性アイドルというジャンルが確立しました。
2017-03-13 16:31:3013)同じ「アイドル」でも男の子と女の子で役柄は違いますがそのあたりの話は今はとばします。音楽とか俳優とかを本業にしている(と認知されている)芸能人は「アーティスト」とか「コメディアン」とか「役者」とか呼ばれて、そういう本業がないイメージのひとが「アイドル」です。むろん若い間は。
2017-03-13 16:33:4816)アイドルに興味がない私でも(興味がないゆえにというべきか)ここまで説明できる。こんな風に説明してあげれば外国人にも伝わる。ところがそういう努力をほかのアイドル論者はしていない。国内向けボキャブラリーで外国人を説得しようとする。
2017-03-13 16:37:4317)そういうことをすると相手には退かれてしまう。一生懸命語るその姿そのものが珍獣的に眺められる。「なんだ日本のインテリってみんなこんな風にわけわからないことを口に粟たててくっちゃべる人種なのかよ」と。
2017-03-13 16:39:1518)大統領選でケネディ候補が逆転を果たしたきっかけはテレビ討論会だったといわれています。おそらくラジオ討論会なら本命馬ニクソンが勝っていた。ところがテレビでは姿が問われた。理路整然と語るニクソンの姿がかえって憎々し気に大衆の目には映った。 pic.twitter.com/V2ihUJsPgf
2017-03-13 16:42:55BBCの取材中に子供が……なぜアジア人女性を乳母だと大勢が思い込んだのか(BBC News) -headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170313-… >私がロンドンで大学に通っていた時、(中国系英国人の学生なのだから)専攻は医学か経済のどちらかだろうと、ほとんどの人が決めつけていた。
2017-03-13 16:45:4119)日本のポップカルチャーを欧米メディアが取り上げるのは、たいてい批判的に眺める場合です。日本の識者にもインタビューして取り上げてはくださるのだけど、ニクソン的なイメージで画面に映し出すわけです。「こいつ陰険そう」「何か企んでいそう」とニクソンは思われてしまった。
2017-03-13 16:48:1320)『モードの体系』という名著があります。フランスの哲学者が、ファッション雑誌を分析した本です。画像にどんな解説文がついているかを分析して、ファッション消費の裏にあるものを浮かび上がらせた。ソシュール言語学を映像言語に拡張してみせた古典です。
2017-03-13 16:51:4721)欧米メディアが日本のポップカルチャーとりわけOTAKU文化を取り上げるとき、ある共通した「ずる」を感じる。それをいつかこの手であぶりだせないか。
2017-03-13 16:52:4122)話が広がってしまったので戻します。日本のポップカルチャーを語るインテリは日本にはいくらでもいるけれど、結局国内向けの語りに終わっているわけです。
2017-03-13 16:53:5023)「ああそうだよねー」と納得しあって終わりの言論。そうではなく外国人に「へーそうやって回ってるんだ日本は!」「東京の街を歩いていて前から不思議だったけど、そういうコードで機能しているのか」と腑に落ちるような言論、ボキャブラリーを日ごろから増やしておくことです。
2017-03-13 16:55:4024)そうしないとラジカル・フェミ連中の「男による女性搾取のメカニズムがポップカルチャーにもにじみ出ているのです」式の暴論に、欧米メディアは 「納得」してしまう。実はそういう連中も欧米メディアも、日本のポップカルチャーをろくに知らないという点で同じ穴のむじな。
2017-03-13 16:57:10