鍵あけてください（横山さん）

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

1 ｢……もう終わりにしたい｣ 『本気で言うてんの？』 テーブルの上にあった彼の手が無意識に水の入ったコップを掴んだ ｢だって！…」 だってさ… ｢私ばっかり頑張ってる気がする！売り場作りも接客も！｣ そりゃ仕事は好きだけど… #鍵あけてください

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2 時間が無さ過ぎて店長とイチャコラできないじゃん← 『しゃあないやん。おまえ経験者やねんから。どうしても頼ってまうんよ』 ｢…え！私頼られてる？｣ 店長が水を口に含み口角をあげた 『おん。助かってる』 もー// それだけで舞い上がる私は安い女 #鍵あけてください

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3 『──やから、辞めるなんて言わんでや』 ｢うーん…私が必要？｣ 『……まあ』 む、クールなふりしちゃって ｢はっきり言ってくださいよ！｣ 『なんやねん。急に真面目な顔して話したかと思えば。俺に何言わせたいん？』 ……わかんないのかな？ #鍵あけてください

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4 店長は対して気にもとめず、そっけない感じで携帯に目を落とした 超久々のデートなのに… ｢トラブル？｣ 画面を見たまま舌打ちをした 何かあった？ 『ん？…あー、んー…』 LINEを返しているのか長い指が画面を叩く 『…1人休むことになった』 #鍵あけてください

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5 …それって 『3時から俺入るから』 言われて時計を見ればあと1時間で3時… 『送ってく』 伝票を持って立ち上がる わかってる、緊急事態なのは 私も一応そこで働いてるから だけど…でもさ… もっと言う事あるんじゃないの？ #鍵あけてください

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6 『…おい？』 ｢…1人で帰れる｣ 『……そうか。ほな、またな』 うっ…！ ……いいよ そういう人だよ…！ 伝票を手に取り席を立ち ちらりとこっちを見て 『気ぃつけて帰りや』 ふんっだ 顔を背けると短いため息が聞こえたような気がした #鍵あけてください

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7 わかってたことじゃないか しばらくぼんやりしていると あ…雨… ガラスの向こうはいつの間にか小雨が降り出して ﾋﾟｺﾝと邪な考えが思い浮かんだ 傘ささないで雨の中歩いたら風邪ひくかな？ それとも、ずぶ濡れでお店まで行こうか… 心配されたい… #鍵あけてくだい

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8 外に出ると ｢冷たっ…」 タクシー拾おうかな… すぐに断念しそうになって いやいや… ここはひとつ根性見せてやらないと 店までは駅２つ分くらい まだ小雨だしこのくらいぃぃぃ… …って私アホなことしてる そう思い直したのは店の裏口に着いてから #鍵あけてください

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9 取っ手に手を掛けかけて躊躇する ──もし｢何アホなことしてんねん」って冷たい目で言われたら？ 呆れられてこんなアホなヤツに付き合いきれんって捨てられたら？ ……あのヒトならそのくらい言いそう… 普段は眼鏡のその下の冷めた瞳を思い浮かべる #鍵あけてください

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10 そんな店長がストイックでセクシーで素敵だって思ってる筈なのに 実際向けられたら…想像したらこんなにもツライ… ｢…やっぱり帰ろ…」 『──何してんねん…』 あ… ドアに背を向けようとした時 そのドアが向こうから開いて しかめっ面の店長が… #鍵あけてください

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11 私の姿を見てますます眉をひそめる彼を見て、思わず後ずさるとハシッと手を掴まれた 『ちょ、待てって』 あ…不機嫌… ｢な、なに？」 『なにっておまえ….。いいからとりあえず入れ』 手を強く引かれて中へ引き込まれた #鍵あけてください

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12 戸口でつったってると店長がダンボールをゴソゴソやりだして 『ほらっ』 ふわっと放り投げてきたのはフェイスタオル 思わずクンクンと匂いを嗅いだ私に 『そんな汚ないわ』 って近づいて、タオルを奪うと私の頭をゴシゴシこすった #鍵あけてください

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13 『………』 ｢………」 『なんか用やったん？』 ｢…用っていうか…」 『タクシーでもなんでも使うたらええやん』 ｢──うん」 『アホちゃう？』 失笑ともとれるため息が降ってくる… …アホだし わかってるし… #鍵あけてください

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14 ｢…わかんないよ」 『は…？』 店長の手がとまる ｢店長にはわかんないよ。私の気持ちなんて」 『…ふーん』 え… 店長が冷たく見下ろしてきてそれからドアに向かった 『どうせ俺にはわからへんよ。忙しいから行くわ』 ｢てっ、」 店長… #鍵あけてください

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15 振り返りもせず 無残に扉は閉じた 怒らせた だけどこっちだって怒ってる 私の気も知らないで ｢…バカヤロー…」 しゃがみこむと涙が後から後から溢れてきて怒りに任せて泣いてると 〈あれ？大丈夫っすか？〉 アルバイト同僚の子が入ってきた #鍵あけてください

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16 後ろを振り返ったのは今出て行ったのが店長だと確認して、泣いてる理由をきっとアレコレ想像したに違いないね ｢大丈夫。苦笑｣ スンッて鼻を啜って、近くにあったティッシュを手に取った 〈店長と何かあった？〉 ｢んー…｣ 彼は私達の関係を知らない #鍵あけてください

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17 ｢なんでもないよ。忘れ物取りに来たら雨に降られちゃって。店長にそれバカにされただけ…｣ 〈…そうなんだ〉 ｢まあ、バカなのはほんとだけ…… なに？……っ｣ 彼が近くに迫り私の頭に手を置いた ｢…木村くん？｣ #鍵あけてください

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18 〈あの…俺、さ…〉 頭に乗った手が耳元へ降りて 〈前から…〉 ガチャ… あっ…！ 『仕事つまってんねんけど』 不機嫌そうな店長がドアに腕組みして寄りかかる 〈すんません…〉 木村くんは何か言いたげに私を見たけど何も言わず出て行った #鍵あけてください

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19 『……何してんねん』 木村くんが出ていった後静かにドアが閉まって、今度は店長がゆっくりと近づいてくる ｢何って…店長には、｣ 『俺には関係ない？ ───ほんまにそう思てる？』 冷やりとする声でメガネを外して傍らのテーブルに置く #鍵あけてください

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20 『おまえ、俺の気持ちなんも考えてへんのな』 ｢…店長？｣ 『はぁ…。なあ？いつまで店長言うん？』 ｢てっ…？──ぁ…キミタカ…さん//｣ 『名前忘れられたんかと思ったわ』 長くて白い指が さっき木村くんが触れた部分をなぞった… #鍵あけてください

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21 『……アイツおまえが好きだったんやろ？アイツと付きおうたらよかったんちゃうん？』 そう言いながらも指が頬にくい込む ｢…痛い…｣ 店長…？ それから ギリギリまで顔が近ずいて 『───なんや疲れたな…』 その手が肩に回って… #鍵あけてください

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22 店長服濡れちゃう… ギュッと抱きしめる首にあたる店長の頬が熱い… ｢…ごめんなさい…｣ 『んな格好他の男に見せんなよ』 ｢え？｣ 『メッチャ透けてる』 あっ// 木村くんに見られてた？// ｢…全然、気づいてなかった…｣ 『やから…』 #鍵あけてください

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23 今日よりによって店長とデートだったから気合い入れてすこーしだけセクシーに見える格好… 『やからそういうとこや。俺の気持ちも考えへんで…』 ｢へっ？…｣ 『木村…触ってへんかった？』 ｢う…え…｣ 触ったけど… 『なんやねんそれ』 #鍵あけてください

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24 なんやねんて…なんやねん？ ｢て…侯隆さん？｣ 『腹立つわ…』 うっわ…！/// 店長のぷるんとした唇がみ、みみみみみ………っ…// ｢ハァン//｣ 『おまっ、なんちゅう声出すねん。苦笑』 だって！//イキナリ耳を噛むからっ！ #鍵あけてください

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25 『…耳弱いん？』 みっ…耳元でっ// ｢やっ//…ん…しゃべらないで…｣ 『涼…』 ｢ヒャｯ！///｣ だからっ耳はダメってっあっ？ ｢んんっ///…｣ 店長の手がいつの間にかスルリと下着の中へ滑りこんできて… #鍵あけてください