ACあふたー チュウニ氏のばあい

雑まとめじぶんよう
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アシス@カクヨム @asis3521

思うとダサい行為をやってたわけだが、また姉が彩さんとゲームをすると言ってきた。居間で時間を潰そうとしたが、彼女が「数斗くんも一緒にやろう」と提案してきた。……嬉しい提案だったが、姉さんが拒むだろうとそちらに視線を移したら「いいんじゃない?」とニヤニヤ笑いながら返してきた。

2017-03-20 20:50:43
アシス@カクヨム @asis3521

それが初めてまともに遊んだときだったと思う。まだまだ子供だった俺は手加減というものを知らず、初心者相手に勝利を重ねていた。そんな俺に対して彩さんは「数斗くんは上手いね」と屈託のない笑顔で言った。なんの自慢にもならないよと返したが「だけど、私はスゴいと思うな」と答えた。

2017-03-20 20:51:40
アシス@カクヨム @asis3521

それから、彩さんとはよく話すようになった。姉とは関係なくうちに来るようになり、ゲームを一緒にやったり、本の貸し借りをしたりした。会うたびに胸が苦しくなるような感覚があったが、それはきっと彼女がキレイだからだろうなんて思っていた。 ――これが初恋俺のだと、その時は気づいてなかった。

2017-03-21 17:26:56
アシス@カクヨム @asis3521

数年後、中学二年生になった頃、クラスメイト数人と話している時好きな人の話になった。「黒崎は好きな子いるのか?」「他人を好きって感覚がよくわかんねぇよ」「子供だなー」「あん?」「おっと、怒るな怒るな。感覚とかじゃないだろ。ふと好きだなって気づくもんじゃないの?」

2017-03-21 17:27:23
アシス@カクヨム @asis3521

「そういうのがねぇんだよ。恋愛対象として見れる人間っているもんか?」「え?その人を胸を締め付けられるみたいなことはないの?」 そう言われて、脳裏に浮かぶ姿があった。 「…………」「お?いたか?」「……ゲームやってるときになるな」「子供かよ」「あん?」

2017-03-21 17:27:41
アシス@カクヨム @asis3521

その後、ずっとあの人の姿が頭から離れず、何もかもが手につかなかった。学校から帰って来てすぐにベッドにダイブする。 「……俺は彩さんが好きなのか?」 言葉にして、自分に問いかけて初めて気づいた。 ――黒崎数斗は松田彩が好きであると。

2017-03-21 17:28:25
アシス@カクヨム @asis3521

思わず叫び声をあげ、頭をベッドの上に何度も頭を打ち付ける。 「なんでだよ!なんでよりにもよって、あの人なんだよ!」 分かりきっている。俺なんかじゃ彼女には届かない。あんなステキな人に釣り合うような人間じゃない。あの人にとっては、ただの友達の弟でしかないだから。この恋は実らない。

2017-03-21 17:29:13
アシス@カクヨム @asis3521

そんなこと分かっているのに、むしろ諦めようと言葉を重ねるほど、この胸のうちの想いは膨れ上がる。 いっそ想いを打ち明けて、砕けちってしまえば楽になれるのだろうか。携帯電話を取りだし、彩さんのダイヤルを表示させたところで指が止まる。全身が震える。

2017-03-21 17:29:46
アシス@カクヨム @asis3521

怖い。フラレることではない。告白してしまうことで、今の関係が壊れてしまいことがだ。手遅れだ。気づくのが遅すぎた。初めて出会った時に、そうではなくても、もっと早いうちに知っていたかった。もう俺にとって、あの人は大切な存在になりすぎたのだ。 だったら……

2017-03-21 17:30:21
アシス@カクヨム @asis3521

その時、うちのインターホンが鳴った。急いで出ると彩さんがそこにはいた。「あー。数斗くん、今空いてる?」「空いてるけど、何?」「服を作ったんだけから、見てほしくて。感想聞かせてほしいなって」「ああ、いいですよ」「ありがとう」

2017-03-21 17:30:41
アシス@カクヨム @asis3521

彼女は笑った。いつもと変わらないステキな笑顔だった。 これでいいんだ。あの人が俺のことを『ただの友達の弟』と思われているのなら、それでもいい。そう思われていたとしても、傍にいれるのならば十分に幸せなことなんだから。

2017-03-21 17:31:25
アシス@カクヨム @asis3521

この関係を壊してしまうくらいなら、永遠にこの想いを自分の中に押し殺してしまったほうがきっと楽なんだ。

2017-03-21 17:31:38
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