別冊のりまき文庫
- norimakeith
- 1982
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他の誰に言われるより自分の言葉には遥かに影響力があって、それは思い上がりではなく、彼の表情が何より証明していた。すまない、言い過ぎた。その一言で救えたかもしれない彼を無言で置き去りにした昨日の自分を殴り倒してやりたいが、その前に言葉を尽くそう。そして今日は存分に甘やかしてやろう。
2011-06-27 00:09:20汚い言葉で散々罵り存在すら否定するかのような態度を取る一方で、彼自身相当参っているのは明らかだった。倒れた体のその軽さに驚くと共に胸が痛む。一人で抱え込もうとするな、肩ならいつでも貸すから。お前じゃデカすぎるんだよ。そう言って笑う彼の目は遥か遠く、代わりようのない誰かを見ている。
2010-10-02 02:32:58眩暈を起こしそうな光と歓声に応えた右手を下ろし一人その場を後にする。一度も振り返ることはない、だが後ろ髪は引かれっ放しだ。仲間と共にここにいたい、居場所はここしかない。曲が鳴る。イヤーモニタを外そうとしたその時、聴きなれたあの声が届けた短い言葉。…ああ分かってるよ、微笑み頷いた。
2010-10-16 00:18:15★Joe&Tom 1979 Joe嫁によるTomへのミルクぶっかけ事件後、Joe脱退直前。Tomに怒りはなく、Joe脱退はお互いの嫁同士の喧嘩が原因としようと提案されていたら、の話
2011-03-10 01:26:56そういうことにしとけばいいよ。あまりに優しいその声に目を合わせることが出来なかった。顔を見なくても分かる、ただ穏やかに笑みを湛えているんだと。ああ、じゃあそうするよ。この愚かな甘ったれは今まさに彼と彼女を傷付け踏み躙ろうとしてるのに、元気でやれよと肩を叩かれ、尚更爪先を凝視した。
2010-11-01 00:04:16★Tom*Steven&Joe 1970~71 共同生活中 この写真(http://twitpic.com/4qstzz http://twitpic.com/4qstt3)を見た時から書きたかったバドネタ Steven視点
2011-05-18 13:46:15目が覚めたら昼過ぎで、すっかり乾いた喉を潤そうと冷蔵庫に手を伸ばす。よく冷えたバドの缶を額に当てて喜びの雄叫び。神様ありがとさん、プルタブに指をかけると新聞で頭をすっ叩かれた。よく見ろアホ、名前が書いてあるだろが。何だよケチケチ野郎、小せえやつだな。じゃあ特別に飲ませてやろうか?
2011-03-09 18:11:19そう言って目の前の男はバドを一口、飲み込まずに口に含ませた。なるほどそういうことね、にっと笑いその首に腕を回す。重なった唇から注がれるそれはちょっと温いけど、文句はない。「…人が飯食ってる横で何してんだお前ら」「あれ、いたの?」「全然気付かなかった」「もうこんなバンド辞めたい…」
2011-03-11 00:48:54何をやってもちっともうまくいかない日はあるか。寝付けなくてマイナスなことばかりぐるぐる考えてしまうような夜は。あるかもしれない、けどあってもすぐ忘れちまうな。だって嫌でも陽は昇って、そんで腹は減るし女にも乗るし。もしダメになりそうでも誰かさんが側にいるし。って言ってほしいんだろ?
2011-04-26 02:16:07一人と結婚生活を送るのも大変なのに、俺は4人の男たちと結婚してるんだぜ。彼がよく使う言葉だ。なるほど確かに一筋縄ではいかない野郎ばかりだが、お前の右に出る者はいないよ。「じゃあ指輪の交換でもするか?誓いのキスは頬?それともここ?」「ばっ…俺に言わせるなっ」扱いには慣れてるけどね。
2011-05-04 21:43:11「お前ほんとそれ好きだな」「食うか?」たい焼きを幸せそうに頬張る彼が紙袋を差し出す。以前は彼に付き合って食べていたが、この味に若干飽きてしまった。うまいのにと言う唇を自分のそれで塞ぐ。「俺はこっちの方が好きだよ、甘いし飽きないし」「でももっと甘いのも好きだろ?」それはもう、当然。
2011-05-06 04:14:54その背中はいつどんな時も大丈夫だと言ってくれる気がした。果てしなく遠くに感じることは一度もなかったし、広い背中を見ると何故か安心して、そして温度を確かめるように身体を預けた。爪跡すらも残した。依存してる?ああ認めるよ、でも。「お前が背中にいると安心するんだよな」…これは共存だろ?
2011-05-08 02:43:39「あ、痕付いてる…明日ライヴあんのにお前は」胸に散る赤い花弁を確認すると彼はバスルームの鏡越しに軽くこちらを睨んだ。「絆創膏でも貼っとけば?」意に介さずシャワーの温度を確認し早く来いと促す。終わった後こうして髪を洗ってやるのがいつの間にか習慣となっていた。目を瞑る彼にキスをする。
2011-05-12 15:34:43泡の浮かぶ狭いバスタブに2人、スポンジで互いの体を洗いながら話すのは明日のライヴのこと。終わった後にぐだぐだと余韻に浸ろうとしないのがこいつの良いところでもある。隙を見て首筋に思い切り吸い付いた。「ちょ、何して…」「お返しだよばーか」その後更なる仕返しをされたのは言うまでもない。
2011-05-12 15:34:33★Tom*Steven 1976 Rolling Stone誌220号の表紙(http://twitpic.com/4y3wwh)を見てカッとなって書いたら何故か最後ギャグに… でもこれはTomが撮影したとしか思えないよ Tom視点
2011-05-18 13:52:48夜中にホテルの部屋を抜け出してどちらかの部屋に行くのは珍しいことじゃない。そして大抵は彼の方からやって来た。ライヴを終え心地良い疲労感を纏うその夜も同じだった。ドアを開けるとバスローブ一枚で満面の笑みを浮かべる彼から体当たりのようなハグを受け、やれやれと思いつつその背に腕を回す。
2011-05-16 13:31:46