「第2回Twitter小説大賞」応募作品まとめ

Kakinoki Masa, PhD @kakinokimasa

母と喧嘩した。「死んじまえクソババア！」そう言ってドアを叩き閉め、ベッドに寝っ転がった。閉まるドアの向こうに見えた母の顔が頭から離れなかった。急に力が抜けたような顔だった。ごめん、とメールを送った。夕日が落ちて、返事がきた。「直接言え、バカ息子」ドアの隙間からカレーの匂いがした。

Kakinoki Masa, PhD @kakinokimasa

雨が降り始めました。「良い雨だね、かえるさん」「本当ね、かたつむりくん」「かえるさん、ちょっと聞いてくれるかい」「なーに？」かたつむりくんは大きく深呼吸をし、言いました。「きみがすきだ」「…私もよ」「本当？嬉し…ア」パクリ、もぐもぐ。じゃりじゃりじゃり。「殻がなければもっと好き」

Kakinoki Masa, PhD @kakinokimasa

遂に就職を決め、長かったニート生活が終わった。社会人初日は撮影禁止のイベント警備だ。はりきって担当位置につくと、早速カメラ小僧を発見した。注意しようと近づく。すると逃げずに、こちらにカメラを向けてきた。「ほらっ、びしっと立って！晴れ姿なんだから。そうそうそんな感じよ！」母だった。