錦戸先生!

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まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

△176 --- 『先輩。 今日、図書館で勉強していこうと思うので、先に帰っててください。』 “あ、俺も部活休みやから付き合うわ。” 『そうなんですか? じゃあ勉強教えてください!(笑)』 “分かるとこならな(笑)” 『やったぁ!』 こうやって、

2017-07-10 21:55:28
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

△177 何気ない日常を一緒に過ごして、 笑い合って、 そんな毎日が続けばええのに。 もう少し、このまま… ---

2017-07-10 21:55:40
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178 --- 私は、自分の気持ちを封印したように錦戸先生の事を見なくなった。 これでいいの。 先生と生徒。 それが普通の関係だから。 スマホを何気なく開くと、日付が浮かび上がる。 そっか。 そう言えば、先生と賭けをした頃から、今日でちょうど一カ月。

2017-07-10 23:25:56
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

179 - 「なぁ、賭けしよや。 一カ月以内に、お前が俺に惚れるかどうか。」 - あの賭けがまだ有効なのだとしたら、 私の負けだ。 『っふふ。』 何だか分からないけど、自分の単純さが笑えた。 情けないな… “どしたん?急に笑って。”

2017-07-10 23:26:23
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180 お昼休み、サンドイッチの包みを開けながら、横山先輩が聞いた。 『いや、何でも。』 “あ、卵焼きうまそ。 自分で作ったん?” 『はい。 良かったら食べますか?』 “ええの!?いただきます。 …んっ、んまぁ。” 『良かった。』 もういいんだ。

2017-07-10 23:26:44
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

181 これからは、この笑顔を大切にしていけば。 大丈夫大丈夫。 大丈夫だから…。 --- 先輩と話しながらお弁当を食べていると、急に周りがざわざわし始めた。 『…?』 “何やろな。” [ねぇ!錦戸先生、階段から落ちて怪我したんだって!] [え!まじで?]

2017-07-10 23:27:12
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

182 女子生徒が話している声が聞こえてきた。 えっ…? 先生が… ズキンッ 心が痛むのが分かった。 [今、保健室で休んでるって] [え〜!超心配なんだけど。] そわそわして、食事が手につかない。 考えないようにしても、心臓がドクドクと鳴って…

2017-07-10 23:27:38
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183 先生、どうか無事でいて… 何かあったら私… “…。” 下を向いていると、手に温もりを感じた。 先輩の体温が伝わる。 『っ…』 先輩の顔を見たら、想いが溢れてきた。 一粒の涙が頬をつたう。 “ごめんな。 もう無理せんでええよ。” 彼が優しく呟く。

2017-07-10 23:29:16
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184 そして、その温かい手で、私の頬に流れた涙を拭った。 “こんな顔見たかったんやない。 俺、 君に甘えてた。” そして、私を真っ直ぐ見たまま先輩が言った。 “好きな人に振られて、誰かに隣にいて欲しくて。 君のこと利用した。 最低やんな、俺。”

2017-07-10 23:30:14
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

185 “でも、君とやったらずっと楽しくおれると思った。 それはほんまやで?” すると、先輩は手を離して、前を向いた。 “もうちょっと一緒におりたかったけど。 今、君がそばにいて欲しいのは俺やないやろ?” そう言って少し笑った。 『…でも、』 “俺は大丈夫や。”

2017-07-10 23:30:56
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186 “自分の気持ち、 大切にせなあかんで。” 真剣な顔で言ってはいても、 どこか切ない表情で。 だけど、私… 『先輩… ごめんなさいっ。』 頭を下げて、駆け出した。 先生、先生… 先生…。 やっぱり先生が好き。 --- “… いってらっしゃい。”

2017-07-10 23:31:11
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187 --- 『…はぁ…はぁ…』 ガラッ 保健室は静かだった。 ベッドのあるところには、カーテンが閉められている。 『…先生?』 カーテンを開けると、そこには先生が眠っていた。 私は、 この人が好きだ。 横に座って、先生の寝顔を見つめながら、小さく呟く。

2017-07-10 23:32:16
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

188 『先生、あのね… 私、 先生が好きになっちゃいました。』 こんな事言っても無駄なのに。 『先生が私に興味無くても、 ただの遊びだったとしても、 私は好きになっちゃったから。 その想いは変えられないから…』 次々に言葉が溢れ出る。 『好き…です。』

2017-07-10 23:32:37
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189 そう最後に言った時、 唇に熱いものを感じた。 『んっ…』 先生の唇が重なる。 そして、優しく離された。 「…寝てると思った?」 『…なんで。』 また涙で目が滲む。 その向こうで、先生は笑ってた。 「賭け… お前の負けやな。」

2017-07-10 23:34:00
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190 そうだよ。 『ほんと単純ですね。私…』 涙を拭きながら答えた。 「俺、教師と生徒やからとか色々考えて自分の気持ちに嘘ついてたけど、 もう何でもええ。 この賭け… 引き分けかも。」 そして、そっと私の頭を撫で、頬に触れ、 また唇を重ねた。

2017-07-10 23:34:47
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

191 意地悪で憎い、 だけど愛しい、 私だけの先生。 何度も唇を重ね合う私たちを、 柔らかな光が照らしていた。 END

2017-07-10 23:34:57
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