魔人@異聞連邪
@alflylamp
#おーぷんせさみ 『二一夜 虹彩る灰の空』 村の小さな酒場で席を取り、安酒の満ちた杯を傾けておりました。 その精霊の耳に、意を決した人々の声が滑り込みます。 村を脅威から守るのだと、魔境に潜る人々を募り、煽る声に。 いつか。いつの事か。 目を伏せれば、遠い日の出来事が重なり。
2017-05-19 02:57:33
魔人@異聞連邪
@alflylamp
音を立て、机に杯を。 「やめときんしゃい。村からひとの数が減りようだけよ」 それで済むのなら良いとすら、精霊は思います。 ざわめき始める人々が、それでも納得しない事に、 それもそうかと思えど溜息をつき。 胸元深くに眠っている三日月に聲を与え、 肌に刻んだ刺青を、邪紋を晒します。
2017-05-19 02:58:38
魔人@異聞連邪
@alflylamp
「近くに魔境のありゃあなら、丁度良か。 いつぞや黒夜の獅子殿に持ってかれちょお分を取り返さにゃいけんし。 そん獲物、われが貰う。……じゃけなれらは、いつも通り 畑仕事でもなんでもしちょりゃあせ」 ふっとまた刺青を隠し、机の上に金貨を置いて、酒場を去りました。
2017-05-19 02:59:30
魔人@異聞連邪
@alflylamp
去ってから、村を出てから、盛大に溜息をつく頃。 虹薔薇の姫との再会に胸を撫で下ろし、 空の果てに暗雲を見る頃、 獣の娘と話せば気も紛れ。 いつぞやの物語とは分岐した結末を、迎えられたのかもしれないと。 束の間、思いを馳せ。 この出来事にも、仮初のピリオドを。
2017-05-19 03:00:36