- amagi_skhs
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燭台切が本丸へやって来たその日、自室に行くと自分と同じ顔の男が窓の外を眺めていた。自分以外には見えないらしい彼は「僕は一振り目の幽霊だよ」と名乗り…!?っていう燭へしが欲しい
2017-03-11 10:28:33@amagi_skhs どうしたら成仏できるのかと問うと、「庭の藤が咲くのをどうしても見たいんだ」と返され、部屋から出られないという一振り目の代わりに不本意ながら藤の世話をしようとすると、同じく藤の世話をする長谷部とばったり会う。長谷部は燭台切を見ると唇を引き結んで去って行く
2017-03-11 10:32:33@amagi_skhs 一振り目のアドバイスのおかげで順調に本丸に馴染んでいく二振り目の燭台切だったが、長谷部とはどうしてもぎくしゃくしてしまう。一振り目いわく、「彼と僕は仲が良かったから、なかなか折り合いがつかないんだろう」とのことで、そういうものかと思う燭台切
2017-03-11 10:35:20@amagi_skhs そんなある日、本丸を季節外れの暴風雨が襲う。藤が心配で庭に出た燭台切は先に来ていた長谷部と共に藤の世話をし、次の日体の調子を崩した長谷部を見舞いに行くと、初めて長谷部の笑顔を見る。燭台切はその日以来少しずつ長谷部と話せるようになる。
2017-03-11 10:40:38@amagi_skhs 段々と笑顔を見せるようになる長谷部と、そんな長谷部に惹かれていく燭台切。一振り目はそんな燭台切の様子を見聞きして、「やっぱり僕と長谷部くんは気が合うね」とどこか寂しげに笑う。その笑顔にひっかかりを覚える燭台切。
2017-03-11 10:44:16@amagi_skhs そうして一振り目のことを調べだした燭台切は、一振り目と長谷部が恋仲だったことを知る。一振り目がよく眺めている窓の向こうは、藤と、さらに奥の長谷部の部屋が見えたのだった。複雑な思いを抱く燭台切。
2017-03-11 10:46:24@amagi_skhs 実は藤の木も一振り目が長谷部に花を見せたいと植えたもので、全てを飲み込んでただ見守る一振り目のことがじれったく思った燭台切は一振り目に突っかかる。 「本当は長谷部くんと話したいくせに、何故そう言わないんだ」その言葉に、今まで穏やかだった一振り目が声を荒げる
2017-03-11 10:52:04@amagi_skhs 「ああそうとも。僕は叶うことなら長谷部くんと話したい。彼と一緒に藤の世話をしたい。笑う彼を抱きしめて口づけたい。だけど、こんな亡霊にできるわけないだろう!僕だって折れたくなかった。長谷部くんともっと一緒にいたかった。それが君にわかるのか!!」
2017-03-11 10:54:46@amagi_skhs 「わかるよ」燭台切が返す。「僕も、長谷部くんが好きだから」その言葉を聞いてはらはらと涙を流す一振り目。「…君が、羨ましい。長谷部くんと触れ合える君が」「うん。…ごめん」「謝らないでくれ。所詮亡霊の戯言だ」
2017-03-11 10:57:46@amagi_skhs 「長谷部くんのことを、頼んでもいいかい」「ああ」「彼はすごく寂しがりやだから、誰か側にいてあげないと駄目なんだ」「わかったよ」「それから藤のことも」そう言って一振り目はすうっと煙のように消えてしまう
2017-03-11 10:59:57@amagi_skhs 燭台切は一振り目がずっと見ていた窓の景色を眺める。外にはもうすぐ蕾が開く頃の藤と、その向こうの長谷部の部屋が見える。複雑な思いを抱きながらそれを見ていると、長谷部が部屋を出てこちらに向かってくるのが見えた。きっと藤の蕾が緩んだことを知らせに来るのだろう。
2017-03-11 11:02:42@amagi_skhs 燭台切、と呼ぶ声がする。花が開くまであとすこし。いつか長谷部に伝えられるだろうか。一振り目がずっと最後まで君のことを想っていたということを。 「燭台切、聞け。藤がな、」 燭台切は目元の涙をぐいと拭うと、「なんだい長谷部くん」と部屋を出た
2017-03-11 11:05:32