”戦後レジーム”とは何か

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

「受け入れがたい」と言おうとポツダム宣言は受諾してしまっている。戦後日本の成立はそこに書かれた条件に規定される。講和条約はこの法的責任の「終了」ではなく「固定」。 この現実を受け入れないとは、国の歴史の否定に他ならない。 そこから積み上がる論は死んだ子の歳を数えているに過ぎない。 twitter.com/whatsdemocracy…

デモクラシーな言葉 @whatsdemocracy

日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは、第二次大戦での敗戦を受け入れがたい、その前の日本に戻したい。明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したい。明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えると理解できる。（小林節）

2017-07-04 04:49:04

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)サンフランシスコ講和条約はポツダム宣言参加国の内今のロシア・中国とは結んでいない”片面講和”ではあるが、米を含む「西側連合国」には今も有効。そこには「国家主権を回復する条件」が書かれている。東京裁判の結果を承認する事も含めて。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)しかし日本は、政府レベルの一部に至るまで「日本は国そのものが無条件降伏をしたために占領されたのであり、占領が終わったのだから無条件降伏により起こった事も”水に流された”」と言う、ポツダム宣言受諾に始まる一連の”契約”への重大な勘違いをその時からしている。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)日本は国として無条件降伏したのではなくポツダム宣言の内容を受諾する「条件降伏」をしたのだ、と言う議論が”右の側から”提起されたのは、漸く昭和３０年代後半になってからだった。この時は「戦前の日本は”清算”されねばならない」と考える”左の側”は、むしろこの認識に抵抗を示した。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)確かに先立つカイロ宣言は「国の無条件降伏」を要求しており、改めて出されたポツダム宣言には「カイロ宣言は履行されねばならない」とあり、そして「"軍の"無条件降伏」条項がある。 ここから認識の混乱が生じたと言えるが、文言をよく読めば 「軍と国は別物」として扱っているのだと分かる。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)昭和４０年代前半の映画「日本のいちばん長い日」でも、 外交官が 「カイロ宣言とは大幅に内容が変わっており、平和樹立のための８項目の特定条件を示しております」 と語っている。 専門家が文言を読めばこれが「条件降伏」である事は当初から分かっていた。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)ポツダム宣言は、 日本は「軍国主義＝軍が国と政治を支配すること」によって道を誤ったのであり、軍と軍国主義者を排除すれば政府は存続できる、と言う条件を示した。 「軍と一体になっている政府」に「軍を切り離して捨てろ」と言う要求をした訳です。 確かにここには認識論的な難しさがある。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)日本は「国家総動員」を法としても定め、開戦後は「挙国一致」「軍民一体」「一億一心」(今なら”オールジャパン”)のスローガンを内に向けて連呼して来た。 政府どころか国民も、「軍」と自分は一体であると言う自己催眠の中にあった。 ”切り離して考える”事自体が難しくなっていた。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)ポツダム宣言受諾に基づく日本の戦後処理の枠組みは「軍を戦争責任者として切り捨てる」事で、日本の統治者だった「天皇」「政府」は引き続き存続する、と言うものだった。”皇軍”はドイツでのナチス党に当るものであり、これをいわばスケープゴートにする事で、日本の政府や国民は免責した。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)戦後日本では「軍国主義を復活させてはならない」とよく言われ今も言われるが、社会がその意味をどうもいつしか見失っている。これは単に”好戦的な思想”と言う抽象的な意味ではなく、戦前日本に実在しポツダム宣言受諾と講和条約において否定された特定の政治形態を示している。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)つまり講和条約に基づき今も続く日本の”戦後レジーム”では、旧日本軍とはドイツで言えばナチに相当するものであり、「旧軍の戦闘機が日の丸をつけて展示飛行する」のは「鉤十字マークを付けた旧ドイツ戦闘機の展示飛行」に極めて近い意味を持つ。講和条約の中身を実直に読めば。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)二次安倍政権は”戦後レジームからの脱却”をかかげて政権についたが、その意味は「講和条約を無効にする」事に他ならない。ところがこの政権はそう言いつつ講和条約締結を「主権回復の日」として祝った訳です。”天皇陛下万歳”のハプニングまで起こして。ここから「支離滅裂」は始まっている。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)講和条約は戦争を起こした”始末書”であり、将来への約束であり、そこから始まる”戦後レジ－ム”は、条約を結んだ先(連合国)のレジームが変わらない限り脱却など出来ない。これを理解せず「講和＝水に流した＝責任解除」だと思う極めて日本的な勘違いを、安倍政権は国レベルでやらかした。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)この勘違いの支離滅裂は、安倍総理が講和条約を「主権回復の日」として祝った同じ年に「(Ａ級戦犯を合祀する)靖国神社を参拝」したところに端的に現れた。この行為が今では東京裁判の否定＝講和条約の否定の意味を持つことへの自覚のない行為だった。そして国民多数も未だ理解していない。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)この時”講和条約を結んだ相手”であるアメリカは事前に警告をし、来日していた米政府関係者が「千鳥が淵」の方に慰霊に行くと言う外交パフォーマンスで”何をすべきか”のシグナルを送っていた。参拝後は「失望した」と言うコメントを発した。以降安倍総理は今まで、参拝をしていない。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)主権回復を祝ったその足で靖国を参拝する。”戦後レジーム”の法的枠組みが分かっていれば出来ないはずの支離滅裂。「アメリカに依存しながら戦後レジームを否定する」と言うと言う”精神の分裂”の表れ。あるいは幼児の駄々。叱られたらやめる。正しいという信念をもってした事ではないわけです。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)しかし”戦後レジームの否定”は、遡れば「左の側」がしていた事でもある。条件降伏によって存続した天皇制と政府を「戦後の欺瞞」として否定し、新たな共和国に一新したい、と言う射程があったから。だからポツダム宣言”の条件降伏”論争が起こった時は、やはり無条件降伏だ、と言う側だった。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)「ヤルタ・ポツダム体制打倒」は、左翼のスローガンだった。これ、”戦後レジームからの脱却”の事ですよ。安倍総理の同士ですｗ。 この時「保守」の側は、戦前から連続して存続した天皇制と政府は正当だ、と言うために「日本は条件降伏したのだ」言い、ヤルタ・ポツダム体制を守ろうとした。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)この「右左」「保守／革新」が、気づけば今は逆転していると言う奇妙な状況。安倍政権は疑いなく「革新政権」であり、レジームの脱却＝アンシャンレジームの打倒＝革命政権と言ってもいい言葉を口にしている事に、国民も気づかず今まで眠っている。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)この「右左」のねじれがどこから起こったのかと言えば、ほぼ「天皇が靖国参拝を取りやめた」時期が変わり目だ、と思います。 これが何を意味するのかも、「富田メモ」が公開され昭和天皇実録で公史として固定されるまで、「右」の側は自分の願望から天皇の意図と逆の解釈をしていた。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)昭和天皇は靖国の宮司が独断で行ったＡ級戦犯の合祀に”激怒”した。戦後それまで行っていた参拝を取りやめ、今の天皇も一度もしていない。 つまり今も「ポツダム宣言と講和条約を遵守している」んです。 ポツダム宣言受諾を宣したのは天皇自身。その責任を戦後一貫して守っている。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)戦前から戦後への”レジーム”の橋渡しをしたのは「ただ一人の日本の責任者」だった天皇であり、天皇こそが「戦後レジームそのもの」なわけです。そうである事を天皇は日々表明し続け、日本と言う国の歴史を一貫したものとして繋いでいる。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)詰まる所、戦前日本では国民も、そして政府でさえ「国の決定の責任者」ではなかった。政府も軍も自分がする事の責任を”天皇に投げていた”んです。 それが無責任体制の「空洞」と言われようと、天皇は間違いなく実在する人間。 だから今も、責任を取っている。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)天皇こそが「憲法を守る戦後レジームの責任者」である事に「右」の側が気づいて以降、安倍内閣を含む国粋主義者は”叛乱将校”と同じになった。以降彼らは、昭和２０年８月１４日に戻るタイムマシンを探して「叛乱ごっこ」を続けているに過ぎない。何の「歴史への責任」も自覚していないから。

田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 @kakitama

続)戦後、「左」の国民は天皇制を廃止して共和制に移行すれば、国の決定に自らが責任を持てる「国民主権」が真に実現すると考えてＹＰ体制打破”を唱えた。しかし実現しないと”文句を言うだけ”の無責任者になった。 「右」の側も天皇に依拠できないと気づくと「体制の否定者」でしかなくなった。