New Scientist誌掲載『山下俊一氏の回顧録「恐怖心が殺す:核専門家が放射線の真の危険を明かす」』(2017.7.18作成)

引用『長崎、チェルノブイリと福島の経験から、山下俊一は、放射線そのものより不安と混乱の方がはるかに人々を傷つけることを学んだ。』
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Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)ほとんどの場所で、まもなくあ、放射線量は政府の安全レベル未満に下がったが、避難住民の帰還計画は長い間実行されなかった。私は政府に(事故から)1ヶ月後には帰還できると話してあった。この遅延が恐怖心を煽った。

2017-07-18 06:12:15
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)人々の大きな懸念のひとつは、チェルノブイリでのように、子どもたちが甲状腺がんになるということだった。しかしここでは、牛乳や他の食品がすぐに禁じられたため、チェルノブイリでは頻繁に何百mSvとまでなった子どもたちの甲状腺被ばく線量が、最大で2〜3mSvでしかなかった。

2017-07-18 06:14:49
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)それにもかかわらず、私たちは、超音波を用いた大規模な甲状腺スクリーニングを2年ごとに繰り返すことにした。チェルノブイリの経験から、最初の4年間に甲状腺がんが起こらないことがわかっていたので、最初の調査をベースライン調査とし、その後の発症率と比較することにした。

2017-07-18 06:15:13
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)2011〜2015年の間に30万人以上の子どもの超音波検査を行った。 これが人々を安心させるだろうと願っていた。しかし問題は、大規模スクリーニングを行うと、スクリーニングを行わなければ診断されないがんが診断されてしまうのである。

2017-07-18 06:15:44
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)放射線とはまったく関係ないがんであるが、公衆とメディアはこれが理解しなかった。なので、私たちが最初のベースライン結果を公表して113例の甲状腺がんが見つかったと発表した時、ヘッドラインは、甲状腺がんが30倍に「急上昇」したことで埋め尽くされた。

2017-07-18 06:15:59
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)しかし、大規模甲状腺スクリーニングを行うたびに、同様の「急上昇」は見られるのである。そして、私たちが発見した発生率は、放射線量が高い地域と低い地域で変わりがなかった。

2017-07-18 06:16:42
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)起こったのは、がんの異常発生でななく、恐怖心の異常発生なのである。避難のトラウマや放射線恐怖症による心理的影響が、現在の福島での最大の健康影響である。

2017-07-18 06:17:01
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)多くの人たちは、不確定な状況に置かれたまま、自分や子どもたちが病気になるのではないかと恐れ、普通の生活に戻れないままである。大人はうつ病、睡眠不足や不安を経験している。子どもたちもまた不安がっており、学校の成績が落ちている。

2017-07-18 06:17:29
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

(続)事故と避難に関連した自死が80件以上ある。しかし、放射線への直接の被ばくによる死や病気は起こっていない。 聞き手:Fred Pearce

2017-07-18 06:18:04