- mish_stille
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#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 書物と云う書物が侵蝕されていく中、失いたくないもの。それは活字越しの恋──否、恋ではなく。時を越え、差し伸べられた手を握っていたい、唯、それだけの思いが特務司書の携えた一冊の本に込められている。 twitter.com/sputnik_bnal/s…
2017-08-04 00:56:356. 「で、そのポケットに入れてる詩集……」 「私物です」 「随分ぼろぼろだけど」 「私物だからです」 「それ、僕の詩集だね」 「……そうですね、笑わないで下さいよ」 「いや、笑ってはいないよ」 「これだけは絶対に浸蝕させる訳にはいかないんで、こうして手元から離さないんです」
2017-06-03 00:16:18女というのは大抵嫉妬や虚飾に塗れているものである だが彼女はいずれとも縁がなかった 彼女はあまりにも強く、全てを平等に愛する人なのだ ___故に山高帽の男はこう評した、『彼女は紛れもない聖女だ』と #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 01:03:58殺されるならば、本望か。抵抗を止めた。はっとした様に、此方を見る瞳が、見開かれる。そんなにショックだったのだろうか。死んで欲しいのではないのだろうか。憎いのだろうに。嫌悪して、厭うて、いる筈だろうに。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 01:30:42その顔は言葉より情報を語る。ほんの些細な瞬きも、見開いた時に出来るおでこの皺具合も、判断するにあたり充分な資料になる。静かに伝う汗の流れからの指名は、口実なのか心配からのものなのかは、両方ではあるが。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 01:56:34決して直視させないようにとかけた、レンズ越しの目が悲痛を語ってしまう。居なくなってしまった彼の無念を、救えなかった自身の無力感を渦巻いて封じるには酷く頼りないのだ。似た者同士が背中合わせでおちぬように #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 02:57:33彼は傘の下にいる。僕のいる喫茶店の入り口の屋根の下に彼は入らない。僕は屋根の下にいる。彼の持っている傘の下に僕は入らない。彼の靴底の下で泥が擦れて雨音を遮る。「帰りましょう」彼が傘を傾けた。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 04:37:16夜中、彼は金平糖を珈琲のお供にするらしい。彼の部屋で夜微睡んでいると、金平糖をこりこり噛む音がする。珈琲の匂いがする。彼は眠る前の僕に気を遣ってか控えめに砂糖を齧る。僕はその甘やかな音が好きなのだ。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 04:41:54#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい ――たとひ魂が砕けても、想いは砕けない。 転生した先生の、妻に対する想いは消えてはいないのだろう。たとえもし仮に先生が記憶を失っていようとも、詩に綴られたあれほどの想いは砕けることはないのだろう。
2017-08-04 07:12:28#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 花に蝶、月に叢雲と言うけれど彼の前ではどんな言葉も霞んでしまう。 彼に恋をしてから私は全てが変わった 「月が見えませんね」 貴方が遠い、こんなに近くにいるのに遠くいじらしいそう感じるのはきっと私だけ
2017-08-04 07:33:31#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 桜の中に私は貴方を探してしまう。綺麗な薄紅色は人を魅了する神秘的なものだが、美しさ故に禍々しい何かを抱えている。それが病気を患う健気な貴方に見えるのだ。「梶、いつまでそこで寝ているつもりなんッスか」
2017-08-04 09:58:29私が贈った着物を纏う彼は、今日も見えない瞳で窓をみやり、すんと鼻をならした。 「金木犀やね」 雨が運ぶ微かな甘さを堪能する姿に金木犀が好きかと問うてみた。 「好きですよ。ほら、最後の文字が一緒」 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 13:44:35#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 「御機嫌よう。あたしはアルケミスト。グレートヒェンの皮を被ったメフィストに御座います。御批判は結構。ars magnaの探求者たれと育ちきった好奇心の猫などお殺せなさいますの? ようこそ、地獄へ」
2017-08-04 14:49:23#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 彼は中立だった。彼は仲間が絶筆していくのをただ見ていた。彼女に侍ることを公に拒否した者達の絶筆。けれど、彼は中立ゆえ干渉はしない。自分に噛み付く愛しき紅のその声が途切れると知るまでは。彼は走り出した。
2017-08-04 15:56:12赤混じりの金髪に同じ色の瞳。口を開けば金の事しか言わぬ癖に、ふとした瞬間に愁いを浮かべるその瞳がいっそ憎らしい。彼が言葉通りの傲慢を携えていたなら、こうも心臓が脈打つことも無かったのに。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 18:22:15#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 廊下で倒れ伏したアイツを運ぼうとして、あまりの軽さに一驚を喫したのは記憶に新しい。部屋で介抱してやっていたら「だざいクンとあんごには言わんとって」と縋られたのが、図書館で出会って初めての会話だった
2017-08-04 18:23:17真白い柔肌を浅ましく汚す様だ。筆先の墨がじわりと紙上を侵食し、乱雑とした言葉たちが羅列していく。嗚呼、と此処で幾度目かの嘆息。ただ伝えたい想いも表現しきれない、文豪と謳われるこの身の口惜しさよ。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 18:25:14#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい ふくよかな白い手をついて対面に座った子どもが顔を上げる。突然現れた24も年の離れた許嫁等嫌だろうに。 「断ってくれて構わん」 先導してやるべきかとこちらから言えば幼子は泣きそうな顔をして目を瞬かせた。
2017-08-04 18:41:13その痛みは劇薬だった。僕は毒を呑まされた。縋るような声、しとりと髪を濡らした汗も、幻覚を見せる毒薬だった。舐め取った滴は麻酔のように苦く、舌を焼く、焼き尽くす、そうして甘い花蜜に変わった。(春荷) #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 19:13:45#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 放った弾は敵を穿ち、鈍い音が響いた。 「洒落になんねえ」 敵はあと一体、こっちは手負い三人抱えて退路もない。 「なんだ、勝てると思ったか?」 笑って見せた。俺様みたいな奴でも退けない理由があるんだよ。
2017-08-04 19:20:16#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 後衛の銃撃と入れ違いで飛んできた矢が頬を掠める。しかし、敵に向かって踏み込んでしまえばこちらのモノである 「僕の万年筆、知らない?」 深々と突き刺さる刃、歪な侵食者の声 うっそりと微笑む龍は力強く舞う
2017-08-04 19:29:08#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 来るときは来る、来ないときは来ない。籤には当たり外れがある。それと一緒なんだろう。なので、今回は失敗だった。そういうことだ。深追いはいけない。次があるから、彼の魂を現世に引き戻すための機会は、まだ。
2017-08-04 20:57:10「——心中相手を、探していたんだ」 司書の首に片手を添えて言う。半分だけ開けられた目が俺を見る。 「やっぱり、一人は寂しいですか?」 「……寂しいよ、君が思っているより遥かに」 ※創作司書有り #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 21:20:03仲間の制止を振り切り外へ飛び出した彼は、日の落ち始めた町を駆ける。壁を足場に変え、屋根を渡り、縦横無尽に。男の姿を見咎める者はいない。人々が察するのはせいぜい彼が通った後ろで逆巻く、疾風の残滓のみだ。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 21:38:25会派筆頭など荷が重すぎます、泣きそうに顔を歪める少年に、司書は答える。仲間をこき使って、威張っておやり、失敗しても平気な顔して笑っておやり。これは戦争、背中を預ける相手の本気を、おなめでないよ、少年。 #文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい
2017-08-04 21:48:53#文アルクラスタのみなさん繋がらなくていいから私の文章を100文字読んでほしい 俺は傍に居たのだ。お前が見なかっただけ。崩れ落ちたお前の体を背負って、ここまで運んで息絶えた。お前は俺を逃げたと罵る。ああ、そうだ。逃げてしまえばよかった。そうすればお前は追ってきたかもしれないのに
2017-08-04 22:07:12