【なんか小説っぽいの】私とよく似た名前の彼は天使だったようです【誰得】

ついった診断で出てきたネタ「思い出して!今は記憶を無くしてしまっているけれど、本当はあなたは天使なのですよ!さあ早く元のあなたに戻るのです!」を書いてみたんだがなんじゃこりゃあ。このためだけに天使とか悪魔の名前調べたけどなんか無駄だった気がする。こんな天国で大丈夫か?大丈夫じゃない、問題だ。
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ユィリラント @Yuyrilant

とある診断の「ユィリル!ユィリル!思い出して!今は記憶を無くしてしまっているけれど、本当はあなたは天使なのですよ!さあ早く元のあなたに戻るのです!」を小説にできるか?

2011-02-06 07:39:02
ユィリラント @Yuyrilant

俺は誰もいない大学のキャンパスの廊下で、独り窓辺にもたれて陽の光に当たっていた。そうでもしなければこの寒さを次の授業までしのぐことなどできない。 #twitnovel

2011-02-06 07:52:41
ユィリラント @Yuyrilant

夏の真っ青な空や入道雲もいいが、冬のどこかぼんやりした蒼い空と薄い雲も好きだ。青と白というコントラストがぼやけて、その微妙な境界線を鳥が横切っていく。なんだか絵に描いたような風景。俺はこういうのが落ち着く。 #twitnovel

2011-02-06 07:56:52
ユィリラント @Yuyrilant

その鳥が空中で旋回するような動きを見せた。そして…え、こっちに向かってくる?おい、お前、こっちにあるのはコンクリートの壁と硝子の窓だ、怪我したくなかったらさっさと自分の巣に…そこまで思ってから、俺はそれが鳥でないことに気付いた。 #twitnovel

2011-02-06 08:00:25
ユィリラント @Yuyrilant

俺が鳥だと思っていたソレは、白い布のようなものを纏っていた。もっと近づいてきて、ソレは人の形をしているように見えた。はためく一対の純白の翼。頭の上には環のようなもの。まるで…ソレは天使のようだった。 #twitnovel

2011-02-06 08:04:25
ユィリラント @Yuyrilant

やがてソレは窓辺に降り立った。長いふわふわの金髪、空の色によく似た蒼い瞳、透き通るような白い肌に白いワンピースのような装束。男とも女とも取れぬ美貌。これが所謂天使か…と俺は暫し見とれていた。 #twitnovel

2011-02-06 08:10:56
ユィリラント @Yuyrilant

彼、いや彼女だろうか、とにかく奴は、窓のサッシを軽く叩き、何かを口パクしていた。窓を開けてくれと言いたいのだろうか。この寒いのに窓なんか開けたくないが、仕方がない。俺はサッシについた窓の鍵を動かし、窓を開けてやった。 #twitnovel

2011-02-06 08:13:06
ユィリラント @Yuyrilant

すると奴はひょいと跳んで窓から中に入り、同時に冬とは思えない暖かい風が吹き込んできた。俺は乱れる髪を押さえつけ、思わずめを瞑った。 #twitnovel

2011-02-06 08:18:16
ユィリラント @Yuyrilant

もう一度目を開けると、奴は俺に何か早口で話していた。何語を喋ってるんだ。とりあえず日本語でないことだけは確かだ。俺が自分の喋ってる言葉を理解できてないことに気付き、奴は俺の両手をぎゅっと握ってきた。 #twitnovel

2011-02-06 08:21:55
ユィリラント @Yuyrilant

奴はもう一度口を開いた。「ユィリル!ユィリル!思い出して!今は記憶を無くしてしまっているけれど、本当はあなたは天使なのですよ!さあ早く元のあなたに戻るのです!」「…は?」俺はぶったまげた。 #twitnovel

2011-02-06 08:22:50
ユィリラント @Yuyrilant

「詳しく話している時間はありません!天国が危機に陥っているのです!一刻も早く来ていただかないと!」やはり男とも女とも取れない声が、焦った語調で俺の耳に響く。 #twitnovel

2011-02-06 08:27:59
ユィリラント @Yuyrilant

奴は空を振り返り、片方の手で俺の手を握ったまま、窓から飛び出した。身体が宙に浮き、風を切る音がする。「ちょ…ええええええええええええええっ」俺のみっともない声が、空にのまれて消えていく。 #twitnovel

2011-02-06 08:33:10
ユィリラント @Yuyrilant

しばらく上空を飛んでいるうちに俺達の目の前に現れたのは、言葉では形容しがたいほど綺麗な場所だった。これが所謂「天国」っていうもんなのか…奴に尋ねようと思うが、奴の翼がはためいてものすごい風圧がかかってくるから声すらまともに出せない。 #twitnovel

2011-02-23 17:32:08
ユィリラント @Yuyrilant

そんなことを考えていると、急に足元が硬くなった。「ここが天国です。さぁ、これより神にお目にかかります。私についてきてください」奴は俺にそう言って、衛兵に門を空けさせて奥へ進む。俺も慌てて後を追う。しばらく浮いてたから足の感覚が重い。 #twitnovel

2011-02-23 17:43:08
ユィリラント @Yuyrilant

「天使グリゴール、只今帰還いたしました…」奴の名はグリゴールというらしい。そしてやっぱ天使だった。俺、人間のはずなのにどうしてこんなところに連れてこられなきゃならないんだ?でもコイツは俺が天使だって言ってたよな…クソ、ワケ分かんねぇ… #twitnovel

2011-02-23 17:56:50
ユィリラント @Yuyrilant

「ご苦労であった。して、件の者は…」神と思しき声が聞こえて、俺は身震いした。姿はまだ見えない。何なんだ。ただの人間の俺をどうするつもりなんだ、こいつらは。震えが止まらなくなった俺を無視して、グリゴールはその声に答えた。 #twitnovel

2011-02-23 18:00:22
ユィリラント @Yuyrilant

「こちらにございます。さぁ、ユィリル」「えっ?」いきなり話を振られ、俺は戸惑った。グリゴールは綺麗な顔立ちをこわばらせて「こら、神の御前ですよ」としか言わず、神と思しき声の前に跪き、頭を垂れている。どうすりゃいいんだよ、と言いたくても言えない状況だ。 #twitnovel

2011-02-23 18:06:59
ユィリラント @Yuyrilant

訳も分からずびくついていると、「そなたがユィリルか。グリゴールから話は聴いておるな?」と、その声が言った。「あ…は、はは、はい、あの、天国が危機だとか…」震えるあまり声が裏返った。 #twitnovel

2011-02-23 18:10:13
ユィリラント @Yuyrilant

「怖れずとも良い。確かに唯一神たる余もこの事態を憂慮してはおるが、救いの鍵となるそなたが来たからには安泰である。先ず、俗世の穢れに塗れた身体を清めねばならん…天使アドナキエルよ、ユィリルの身辺の世話を頼むぞ」 #twitnovel

2011-02-23 18:24:10
ユィリラント @Yuyrilant

アドナキエルは目の覚めるような青く長い髪と、エメラルドグリーンの瞳を持つ、やはり中性的な顔立ちの天使だった。いや、この調子でいくと天使はみんな中性的な顔なのか。多分そうだ。様付けで呼ばれたのなんて初めてだから、俺はどぎまぎした。 #twitnovel

2011-02-23 18:39:21
ユィリラント @Yuyrilant

「仰せのままに」どこからか静かな声が聞こえて、ふわりと風が吹きつける。アドナキエルと呼ばれた天使が俺の前に来て跪き、頭を垂れて「私めはアドナキエルと申します。神の命により御身のお世話を仰せつかっております、ユィリル様」と言った。 #twitnovel

2011-02-23 18:34:18
ユィリラント @Yuyrilant

「あ…頭、上げろよ。俺そんな偉いやつじゃないし…」「ユィリル!卑屈な真似はいい加減にしてください。アドナキエル、ユィリルを浄霊室へ」「畏まりました。ユィリル様、こちらへどうぞ」グリゴールに怒られ、俺はアドナキエルの後に続いて神の前を後にした。 #twitnovel

2011-02-23 18:48:35
ユィリラント @Yuyrilant

浄霊室というのは所謂シャワールームとかバスルームみたいな所で、身体を洗うことで魂を清めるらしい。言われるままに俺はその中に入り、普通に風呂に入るように服を脱いで…何だよ、これ見てるそこのお前。こんな所まで無遠慮に見なくたっていいだろ?…さっさと次読め次。 #twitnovel

2011-02-23 18:55:21
ユィリラント @Yuyrilant

身体を洗い終わるとすぐそこにタオルのようなものと着替えが用意してあった。何時の間に…まぁいい、とにかく服を着よう、と身体を拭きながら思ったが、その着替えの服というのが他の天使達が着ているあのワンピースのような白装束だった。俺もこれ着るのか…と思うと頭が重い。 #twitnovel

2011-02-23 18:58:14
ユィリラント @Yuyrilant

「…終わったぜ。これからどうしたらいいんだ?」と俺が言うと、アドナキエルは「ユィリル様、お召し物が乱れていますよ。直してさしあげますから、お動きにならないで下さいませ」と言って俺に服を着せなおす…ものすごく気まずい。俺、今どういう顔してんだろ… #twitnovel

2011-02-23 19:03:46