ニンジャスレイヤー:エイジ・オブ・マッポーカリプス・シーズン2 予告編

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タタミ2枚先をすら見通せぬ熾烈な砂嵐の中を、二人の旅人は平然と歩き進む。一方は異様な真鍮色の目をした男。もう一方は、極めて剣呑な目つきの、黒髪の女である。やがて二人は崖のふちで留まり、三角の建造物の影を眺める。

2017-08-27 21:27:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あった、あった」真鍮の瞳の男は手を叩いた。「見事なピラミッドだ。圧政の結晶だ!」「フン」黒髪の女は侮蔑的に鼻を鳴らした。そのバストは豊満である。「BWAHAHA!お前が文明に興味を示さぬ事ときたら!」「……」「さあ行くぞ!イヤーッ!」男はチョップを打ち下ろした。砂嵐が、割れた。

2017-08-27 21:35:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆◆◆ NINJA ENTERT@INMENT ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ BRADLEY BOND ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ PHILIP NINJ@ MORZEZ ◆◆◆◆◆

2017-08-27 21:37:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「然り!今となってはナスカ地方は見る影もなし」人気のないバーの一角、老人は丸いピザに鋭角に切れ込みを入れてみせた。「大地は惨たらしく抉れ、ナガリ・ニンジャの領土と化した。それもこれも例のアレの仕業よ」老人はニヤリと笑った。「暗い時代?さあな……力の時代、ケオスと命の沸騰の時代よ」

2017-08-27 21:42:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆◆◆◆◆ NINJA SLAYER: AOM SEASON 2 ◆◆◆◆◆

2017-08-27 21:45:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハーミットは誰とも会わぬ」少女は石段に立ちはだかり、目を閉じたまま、荘厳に両手を広げた。「ニンジャよ。下山するがよい。彼のメディテーションを乱すべからず……ア!」少女は慌てた。ニンジャスレイヤーは彼女の言葉に構わず、無雑作にその横を通過したからだ。「ちょっと待って!ダメ!」

2017-08-27 21:48:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」ニンジャスレイヤーは一度振り返ったが、少女を冷たく一瞥しただけだった。少女は憤慨した。「ちょっと!」「ゾーイ。構わない。そのまま通しなさい」声が聞こえた。「そいつは俺の客だ。多分な」「……」ニンジャスレイヤーは石段を登りきり、その先の、こじんまりとした庵を見た。

2017-08-27 21:51:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「本当に?こんな奴を……もう知らないよ!」投げかけられる少女の不満の声を尻目に、ニンジャスレイヤーは石を並べたおぼつかない道を進み、庵の段を上がった。彼はフスマ戸に手をかけた。そして言った。「入るぞ」「ああ。入れ」声は近い。ニンジャスレイヤーはフスマを引き開ける。ターン!

2017-08-27 21:55:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そこはタタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方全てがフスマであり、それぞれには雲、バンブー、灯火、フジサンの見事な墨絵が描かれていた。タタミの中央に座する男を見て、ニンジャスレイヤーの目の表情が動いた。

2017-08-27 21:58:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゾーイがシツレイした。最近いろいろと物騒でな」くだけた口調で話すのは、鈍色のニンジャ装束を着、髭を生やした、年齢のわからぬ男。その者とは初対面ではなかった。確かに、あの時。「……お前か」「ああ。俺だぜ。俺がハーミットだ」男はニヤリと笑った。「ニンジャとしての名は……」

2017-08-27 22:03:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…クダサイ…スシ‥‥ヲ……クダサイ…」揺れるジープの荷台から電子マイコ音声が聞こえる。彼女に涙を流す機能は無い。「なあ、スシを要求してやがるぜ!?」「オイランドロイドだからだろ!もっといいモンくれてやるぜ!アジトに連れて帰ってからな!」「どうすんだ?」「ファック&サヨナラさ!」

2017-08-27 22:05:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「ウワーッハッハッハ!」」二人の屈強な傭兵が笑う。笑い声が樹木のトンネルに反響する。南国鳥の声や猿の吠え声が混じる。二人のシャツの胸元には「コカイン」の文字。座席にはマシンガン。明らかに麻薬組織の一員だ。「回り道した甲斐があったな!こんな高価なお人形を拾えるなんてよォ!」

2017-08-27 22:07:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「全くだぜ!何が危険領域だ!何も出ねえじゃ」次の瞬間、左の林で何かが閃く!傭兵のサイバネアイがそれを捉えた時にはもう遅かった!「イヤーッ!」バイオブレードを肘から生やした迷彩ニンジャ装束の少年がヨーヨーめいた速度で回転しながら飛来し、運転手の首を刈り飛ばしたのだ!「アバーッ!?」

2017-08-27 22:09:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエ!?」もう一人の傭兵が銃を握る!後方を振り向く!だが次の瞬間、林に潜んでいたもう一つの人影がヨーヨーめいた速度で回転しながら飛来し、傭兵の首を刈り飛ばしたのだ!「イヤーッ!」「アバーッ!」KRAAAASH!横倒するジープ!投げ出されるオイランドロイド!「ピガーッ!」

2017-08-27 22:11:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「兄貴、どうする?」「決まってンだろ」兄者が答え、通信機を握った。「ドーモ、こちらK2。フォート・ハイドラ応答願います。ドーモ。侵入者を2人ブッ殺した。それから……変なのを」「コトブキです」「うわッ」「喋った」「私の名前は……コトブキです」「コトブキとかいうのを拾った」

2017-08-27 22:15:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その部屋のエントロピーは一ヶ月前よりも輪をかけて増大し、危険水域に突入している。パンチシートや観測レポート類、タレコミ情報のファイルが層を為し、空のケモビール瓶や12インチのヒーロー・スタチュー類の散乱も酷いものだ。そこで今、UNIXライトの照り返しを受けているのは三人。

2017-08-27 22:17:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タキの目には不健康な隈が増し、あと二人は以前とメンツが違う。一人はハンチング帽を目深にかぶった壮年の男。もう一人はセルフレームの眼鏡をかけた小柄な女だ。タキは頭を掻いた。「十中八九ここだ。あの野郎」タキはモニタの世界地図をペン先で突いた。そして二人を振り返った。「で。どうすンだ」

2017-08-27 22:21:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「直接行く」ハンチング帽の男……フジキド・ケンジが言うと、シキベ・タカコは厳かに頷いた。「そうッスね」「ポータルじゃシトカにゃ行けねえぞ」タキは睨んだ。「文句はソウカイヤか過冬に言え。それにしても畜生!」タキは思考オーバーフローを起こし、机に突っ伏した。「全くあの野郎はよォー!」

2017-08-27 22:27:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ピラミッド広間を照らす篝火の不気味な緑の明かりに照らされ、三人の禍々しきアトモスフィアは倍化していたが、酒を注ぐ奴隷オイランや巨大扇で仰ぐ奴隷オイランがニンジャ・リアリティ・ショックを起こすことはない。既に自我が無いのだ。セトは無邪気に携帯端末をいじるサツガイに視線を向ける。

2017-08-27 22:35:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サケ!」サツガイは金の盃をクンクンと嗅いだ。「水銀は?溶かして飲んでいたんだろう?」「飲むがよい」セトは取り合わず、勧めた。彼の頭はジャッカルであり、肌の色は、サツガイが連れ来たったニンジャ、ティアマトの髪よりも黒い。「BWAHAHA!」サツガイは酒を呷り、エメツ片を齧った。

2017-08-27 22:41:08