稲川淳二の『つぶやき怪談』(2017.08.31)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すっきりしない天候が続きましたが、お変りないですか？ 雨の中で泣いている蝉が、何ともかわいそうですね。 こんばんは、稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

先日（８月２１日に）７０歳の誕生日（古希）を迎えました。 ついこの間、赤いちゃんちゃんこを着たと思ったら、 もう１０年経っちゃったんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

うっかりしてると、時間ばかりが、どんどん先へ行ってしまいます。 明日は９月なんですから。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お蔭様で今年のミステリーナイトツアー２０１７、 稲川淳二の怪談ナイト、四半世紀連続公演も、順調に回を重ねてます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どの怪場でも、みなさんの大きな声援と拍手で、 パワーをいただいてます。心より感謝申し上げます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

高校球児の夏の甲子園は、数々の名場面を記憶に残して終りましたが、 稲川怪談の夏は今、真っ盛り。 まだ折り返し手前です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうやら２５年目の夏は永―くなりそうです。 宜しくお付合い下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で、ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。 怖ーい噺で楽しんで下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

真実ってそうなんですよね。オチなんかないんですよね、きっと。 ドラマじゃないんだから・・・・・・。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

怖いんだけど、なつかしいような話です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

添野さんという、今は福祉関係の仕事をしている、 ご年配の人からうかがいました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この方が小学生の頃の出来事で・・・・・・、 ずいぶん昔のことになるんですが・・・・・・。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

添野さんの故郷は、瀬戸内海を臨む穏やかな、田舎の村。 この村の子どもたちのあいだには、 代々受け継がれた“夏の遊び”があったそうです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

暑気ばらいっていうのかな、 夕暮れどきに、涼しい風を浴びて冷たい水に飛び込む。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

村はずれの川に架かった鉄橋の真ん中あたりまで行って、 七、八メートルある高さから下の川へどぼーんと飛び込むというのが、 そのならわしだった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その夏休み、名古屋の親類のところへ遊びに行ってた添野くんは、 一週間くらい遊んで帰ってきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

添野君、仲間に会いたくて、いつもの鉄橋にいるだろうと、でかけた。 生い茂った葦のあいだから、 夕日に照らされて川面がキラキラ輝いてる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、 「あれ？変だな」 みんなの騒ぐ声がしない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

いつもなら四、五人くらいは必ず友達がいるのに、 川岸に行っても、珍しく誰もいない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なんでいないのかな？これから来るのかな？と思って、 何気なく、ひょいと見上げると、 沈みかけた夕日を浴びて、鉄橋の上に人影がひとつ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ああ、誰かいる。 そう思ったんだけど、すぐ。 あ、大人の人だ。と、わかった。