#合作ガエジュリ夜景デート リレーSSまとめ【完結】

黒沼 @numanuma_black

ふとガエリオの脳裏に「２人きりの夜景デート」と言うシチュエーションが過ぎる。 キラキラとした夜景とイルミネーション、互いにワイングラスを鳴らして…そこまで考えてから首を横に振り、男はため息を吐いた。 「ジュリエッタ…面倒がるだろうなぁ…」 #合作ガエジュリ夜景デート

ＲＹＵ @RYU130915

実際に誘ってみれば更に難関があった。 「夜景？ってなんですか？」首を傾げるジュリエッタは真剣だ。宇宙空間とコロニーが生活圏である彼女にとって暗闇に満天の星空は特別なものではない。それをわざわざ地上で、しかも二人で眺めに行くと言われてもピンと来なかった。 #合作ガエジュリ夜景デート

黒沼 @numanuma_black

@RYU130915 「映画やドラマで見た事はないか？食事しながら夜景や料理を楽しむやつだ」 「ええっと…？」 「見た事がない？」 「そうですね、そういった娯楽とは縁が無かったので」 「うーん、それなら予行演習も兼ねて映画を見よう。そんなシーンがある恋愛ものを」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 次の勤務終了が重なる日に約束を取り付ける。 艦内のミニシアターでは、地上班が望郷の念を抱く作品は上映しない。消去法で部屋に招いて鑑賞会だ。 「恋愛もの…」 提案した手前、それっぽい映画を漁るが、余り詳しくは無い。 数本ピックアップして彼女に選ばせよう。 #合作ガエジュリ夜景デート

黒沼 @numanuma_black

@RYU130915 「ではこれを」 そう言って、彼女が選択したのは「めぐり逢えたら」。 「タイタニックは３時間だし、ローマの休日はモノクロ。だったらコレが良さそうかと」 「ふむ、なら再生しよう」 デッキに媒体を食わせて、視聴環境を整える。 #合作ガエジュリ夜景デート

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不思議な恋模様の背景に摩天楼が広がる。いいチョイスだ。 「こんな所へ二人で行ってみないか？」と、声をかけると、ジュリエッタが何やら顔をしかめている。 「...どうした？」 何かまずかっただろうか？ 「この移動時間、変ですよね？」 観てる場所が違うっ！ #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 「そこは演出の都合というやつだ。移動時間ばかり正確に描写していたら間延びするだろう！？」 「はぁ…」 「え、記憶に残ったのそこ？？？」 「ヒロインがクズ」 「おいいいいい！！」 「婚約者より衝動的に異性を選ぶとかあり得ません」 「わかるけどっ！！」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black ま、予想はしてたけどと軽い溜息。 「で、どう？」「どうとは？」 相変わらず本題になると塩梅が悪い。察しが悪いのか、はぐらかされてるのか。座るソファの距離を詰め、彼女の顔を覗きこむ。 「次の地上オフに行ってみたいんだが？」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 「そうですね、百聞は一見にしかずと言いますし、ここは現地を訪問するのも悪くないでしょう」 「で、美味しそうだったのは？」 「サムがランチ食べてた所」 「やっぱりな。ならばそこで昼食にするか。必要ならば予約しておこう」 「それと夜景」 「…えっ？」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 翌日、早速予定を確認する。近々ヴィーンゴールヴへの招集がある。そこだな。用は面倒でも、俄然、地上休暇が楽しみだ。 たまたま通りかかったヤマジンが人の顔を見るなり爆笑する。 「何があったか知らないけど、顔、壊れてるわよ？」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 こちらも浮かれている自覚はある。けど楽しみなのだから仕方ない。 ヤマジンに軽く自慢話がてら説明してやると、ふぅんと相づちを打ってから、何か考え込む仕草をした。 「どうかしたのか？」 「ちょっと気になるんだけど…」 なんだなんだ、その雰囲気は。 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 「アンタっち、何時から付き合ってるの？」「え？いや…」 勿論、意識はしているが。 「はぁっ？」「は？って？」 更に額へ指を押し当てたヤマジンが難しい顔をする。 「あのさ？普通…」そして口を一文字に結んだ。 「アンタとジュリーが良いんだったらいいけどさ」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 「相手はあのジュリーだよ？ＭＳ一筋の枯れ専美人女騎士！そんなあの子に遠回りな告白や、ムードの良し悪しが分かると思う？」 「…思わない…」 「でしょー？ならストレートに告白しなよ。どうせジュリーはただのお出かけくらいにしか思ってないだろうしさ」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 「それに部屋デートなんてさ？アタシから言わせたら夜景観に行くより、よっぽど高度だと思うンだけど？」 「…えっ？」 やっぱ気付いてないよコイツ！とでも言いたげな刃の視線が刺さる。 「とにかく！」 彼女の額を離れた指が俺を差した。 「やるなら徹底しなっ！」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 徹底とは何だ徹底とは。 心の中のマクギリスに軽く尋ねつつ、どうせアイツの事だからニヤっと笑みを浮かべつつそれっぽい事を言って誤魔化して終わるに違いない。 そもそも部屋デートという言葉が異世界過ぎてピンと来ない。 ひとまずホテルは抑えるか…？ #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black その頃、ジュリエッタもラスタルから次の地上同行予定の詳細を聞かされていた。 「あぁ、それで…」 思わず納得が口をつき、上官の興味を引く。 「何だ？」 「あ、いえ。実は…」 何気なく昨夜の事も含め報告する。 「それで次の休暇は二人で夜景を観に行く事に…」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 その話を聞いたラスタルは眉と髭とを同時に跳ね上げ、何か考え込むように視線を背ける。 「ラスタル様？」 「お前達は…いや、構わん」 「はい？」 「いや、どう転んでも構わんが、自覚が薄いのは困りものだと思ってな」 「は、はぁ」 「精々地上を楽しんで来い」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black それでラスタルは話題を区切ったが、流石のジュリエッタも語尾を濁されるのは気になった。 「一体、何の自覚でしょう？」通路を歩きながら考え、やはり解せぬと息を吐く。 と、同じ様に上の空のガエリオが歩いてきて、彼女の顔を見るなり何やら思案深げに溜息をついた。 #合作ガエジュリ夜景デート

黒沼 @numanuma_black

@RYU130915 「あの、ジュリエッタ…今度の休暇の事なんだが」 「はい」 「ホテルを取ろうかと思っている。何か要望は無いか？」 「要望？」 「スイートが良いとか、プール付きが良いとか」 「車椅子で行けるホテルなのです？」 「それは、まぁ…」 「お任せします」 「ふむ」 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black お互い、上の空という事だろう。 一連のやりとりに何の疑問も抱かず、それじゃぁと別れる。で、先に我に返ったのはガエリオだった。 「えっ！」声に出して驚き、振り返るも彼女の姿は既にない。 『え？つまり…これはアレだ』OKという事だよな？と真顔で拳を握った。 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 なんとなく足取りのフワフワしたジュリエッタを尻目に、珍しくラスタルはコホンと咳払いをする。 ジュリエッタはまだ呆けているらしく気付かない様子で、仕方なくラスタルも身体を揺すりながらコホンコホンとわざとらしく咳をした。 ハッと我に返るジュリエッタ。 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 「すいません！」 差し出されていた書類を慌てて受け取り小脇に挟む。 「上の空が過ぎるぞ」 地上に降りて三日、明日は件の休暇だ。 それを前に『似合うと思うので』そんなカードと共にガエリオから宿の部屋へ荷物が一式届いていた。 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 中に入っていたのは衣服だ。 フォーマルな場所でも使える上質な生地と、動きやすそうな靴やバッグ。 そういえば、服なんてロクに考えていなかった…ありがたい。 『いい、ジュリー？男から服なんて贈られても着たらダメだよ？スケベ心の現れなんだからね？』 #合作ガエジュリ夜景デート

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@numanuma_black 上の空の部下を待たせ、入った部屋には会議机に頭を預けるボードウィンの名代。 『……』 何故かラスタルがひっそりと溜め息をつく羽目になる。 「おい、仕事だ」 「あ？あぁ」 バッと顔を上げるなり、ジュリエッタは？と尋ねる。 #合作ガエジュリ夜景デート

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@RYU130915 「何でも荷物が届いたらしくてな。手間取るので遅れるらしい」 「……そうか。」 「仕事より先に気になるのがそれか？」 「え？」 「恋煩いも結構だがな、職務に差し支えん程度にしてくれ」 「こ、恋煩い！？」 「今更何を驚いている？自覚が無いのか？」 #合作ガエジュリ夜景デート