JAM 君との時間

ただやす @tadayasu8_1

【メロンジャム×大倉忠義】2 村［おい、たつ。そのまま帰るんか？］ 『明日またちゃんと持ってくるから！』 安［ほら、大倉、今日あれやろ？］ 『じゃあ、またっ！』 廊下を下駄で走り駐車場に向かう。 走りにくいなぁ、これ。 「忠義っ。」 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】3 車の前で一人の女性が立っていて 俺のことを呼んだ。 可愛い彼女。 「お疲れ様です。」 『ごめん、待たせて。』 「ううん、あたしもさっき来たとこだから。」 白とピンクの可愛い浴衣に 大きな赤色の鞄。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】4 その中には 緑色のうちわの柄が入っている。 「忠義…」 『ん？』 彼女を見ると背伸びをした状態で 俺の頬に手を添えて 優しく口付けをしてきた。 「よく頑張ったね。」 照れながらもにこっと笑う彼女が めちゃくちゃ可愛い。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】5 もう、ほんまずるいって。 『ありがとう。それじゃ、行こか。』 鍵を取り出して運転席に座ろうとすると 彼女に止められた。 「今日はあたしが運転する。 忠義は隣で少しでも休んでて？」 『ええの？』 「もちろん。」 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】6 「少し寝てていいよ。」 『あ、ありがとう。』 いつもとは反対側から車に乗り込む。 普段は左側にいる彼女が 今日は俺の右側におる。 不思議な感じはするけど 結局隣におってくれるから安心してしまう。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】7 「…久しぶりの運転だから、ゆっくりでもいい？」 強気な彼女が弱気になってる。 その姿も可愛い。 『ええよ、大丈夫やで。 それとも運転代わろか？』 「ううん、それは大丈夫…なはず。」 ハンドルを握る手が少し震えている。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】8 ほんまに大丈夫か？ 「よし、いきます。」 エンジンをかけると同時に始まる曲は〝Traffic〟 彼女の目の色が変わった。 そんな乱暴な運転せんといてな…？ 最初は心配やったけど 疲れのせいか 気付けば寝てしまっていた。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】9 ブレーキをかけて止まる度に 何度か自分の手に温もりを感じていた。 きっと彼女が俺の手を握ってたんやと思う。 俺の手を握ると安心するって言ってたから。 「忠義、着いたよ。」 『…ん、ありがとう。』 ふぁぁ、と伸びをする。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】10 結構本格的に寝てたみたい。 車を降りるとそこには懐かしい匂いが広がっていた。 昔、よく二人で来てた公園。 『懐かしいな、ここ。』 「何年ぶりかな？」 彼女も車から降りてきて いつもの立ち位置で景色を眺める。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】11 『最近はあんまゆっくりできんでごめんな？』 「ううん、大丈夫。 ライブ楽しもん！ 楽しそうな忠義見てるとこっちまで楽しくなるから。」 『俺に言ってくれたらもっとええ席用意すんのに。』 「自分でチケットとるからいいんだよ？」 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】12 『ほんで、今日はどこ？』 「ビスタ席！」 どや、っと勝ち誇った顔を見せる。 「一生懸命チケットの当選祈願して 発表の日には吐きそうなくらいドキドキして 当たったことが何よりも嬉しくて 外れたことが何よりも悔しくて…」 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】13 「ライブに何着ていこうかなーって ワクワクする感覚が楽しいんだよ？ 最初からいい席だなんて分かってたら 手抜いちゃうでしょ？」 彼女は付き合う前からずっと 俺のことを応援してくれていた。 売れない時からずっと。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】14 でも〝アイドル〟の俺やなくて 素の俺が一番好きやって言ってくれた。 そんな彼女と出会ったのは10年前。 『なぁ、この時期ってお祭りやってるかな？』 「さっき、ちらっと灯り見えたよ？」 『じゃ、久しぶりに行ってみるか。』 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】15 彼女の手を引いて少し明るい方へ歩く。 普段はこうやって外で 手を繋ぐこともできないけど それでも何一つ文句を 言われたことはなかった。 「…もう終わっちゃったのかな？」 彼女が指差す方にはちらほらと提灯がある。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】16 人通りはほとんど無く 屋台の解体をしているところもあった。 「ちょっと遅かったね。」 『まぁ、しゃあないやろ。』 「でも、せっかくだしちょっと見よ？」 今度は彼女が俺の手を引き 少し駆け足で提灯の下を歩く。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】17 グループとしてデビューする前は こうやってたまに遊ぶこともできたけど もう今ではほとんどできない。 人がまばらな田舎だからできる。 昔もこうやって俺の手を引いて 無邪気に俺を振り回したっけ。 彼女は食べることが好きだった。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】18 そしていつも美味しそうな屋台を見つけては 俺にねだっていた。 でも今日はもう終わってしまったし… 「ねぇ、忠義っ！」 彼女の声が少し高くなる。 向かう先にあるのは一つの屋台。 カットフルーツの屋台。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】19 ［もうすぐ店閉めるから、これくらいしか…］ そう言ってお店の人が差し出したのは メロンのカップだった。 「あ！メロン！！」 『これがええ？』 「うん！」 ほんとにメロンにメロメロやねんから…… 俺、上手いこと言った？ #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】20 彼女に渡すと いつもに増して笑顔が溢れている。 『ほんまに好きやな、メロン。』 「だって美味しいもん！」 ──── 昔からメロンが大好きな彼女。 俺が風邪で寝込んでるときに ヨーグルトとメロンジャムを持ってきたっけ。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】21 それはまだ付き合う前で 一人暮らししてた俺の看病をしにきてくれた。 食欲もなくて何も食べてなかったら 「ちょっとでも食べなきゃだよ？」 って言ってヨーグルトを持ってきてくれた。 俺はあんま食べるつもりがなかった。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】22 彼女は持ってきたヨーグルトに 目の前でメロンジャムをかけた。 その光景が珍しくて印象的だった。 『それ、なに？』 「ん？メロンジャム。 ヨーグルトと併せて食べると美味しいんだよ。」 『え、ジャム？』 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】23 ジャムってドロっとしててパンに塗るやつやろ？ そんなソースみたいなジャム初めて見たで。 「ちょっとでも食べれますように、っと。」 普通のヨーグルトに 黄緑に光る宝石が飾られたようだった。 「あーん。」 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】24 彼女の言葉に合わせて口を開く。 口の中で広がるメロンの風味に驚愕した。 『…うまっ』 「でしょ？よかった。」 付き合ってもいない俺のことを こんなにも心配してくれて 俺が元気そうにすると 自分のことのように喜んでくれる。 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】25 気付けばそんな彼女に惚れていた。 ──── 「…よし、忠義？」 彼女の呼びかけで現実に戻る。 心配そうに俺の表情を見る。 「どうかした？やっぱりしんどい？」 『ううん、ちゃうねん。 ちょっと昔のこと思い出しとって。』 #JAM君との時間

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【メロンジャム×大倉忠義】26 彼女がつまようじに刺して 食べようと持っていたメロンを 先に食べてやった。 「あー、それ、あたしのっ！！」 むー、っと口をとんがらせ ジタバタする彼女が可愛い。 ほんまはこうやって 彼氏とデートとかしたいんやろな。 #JAM君との時間