猫シリーズ『本日より猫を飼います』

よつげ @Eight_os

#猫シリーズ 『本日より猫を飼います』 #エイトで妄想

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１ …どうしてもチラチラ見てしまう。 しなやかな指と白く綺麗な肌。 私の部署の横山さんは無口だけど仕事が出来ると社内でも評判の人である。 そして… 私の片思いする人でもある。 #猫シリーズ

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２ たまーに仕事を頼みに来る以外はほとんど話しかけて来ない人。 だからこそ、 せめてこれだけでもという気持ちで。 自分のデスクからチラチラと見てしまう。 真剣な表情が今日もかっこいい…。 自分から話しかける勇気もないし、見てるだけでもう素敵だし。 #猫シリーズ

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３ そうしてずっと見ていたら、 不意に横山さんが顔を上げた。 「！？」 ばちっと目が合い…そうになったので思いっきり逸らしてしまった。← 仕事してますよ感をアピール。（いや、実際してるけど） 横山さんは何を言うでもなく目を逸らしたようだったので #猫シリーズ

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４ もう１度そー…っと見てみる。 何事もなかったかのように仕事をデスクに向かっている横山さん。 かっこいいけど… 私には高嶺の花なのかな…。 …そんなことを考えていたせいだと思う。 #猫シリーズ

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５ 書類のデータがほぼ全部消えてしまうというミス(泣)。 リカバリー残業決定です…。 みんなどんどん帰っていく中、私はパソコンに向かいっぱなし。 「…お腹減った(泣)」 これ終わんなきゃ帰れないし…。 既に周りに人はなく。 疲れた…。 と、その時。 #猫シリーズ

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６ …そっと私のデスクに何かを置く白くしなやかな手。 「…！横山さん…」 「ん…お疲れ」 横山さんが私の隣に立っていました… ってえ！？ あの… いつもより…近い(照)。 恥ずかしいのを紛らわそうと横山さんが持ってきた物に目を向ける。 #猫シリーズ

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７ 置いてあったのはカフェラテと… 「ミスド！ 食べたかったんです…！ありがとうございます！」 しかもポン・デ・リングとフレンチクルーラー。大好き。 大人気なく喜ぶ私の姿がおかしかったのか、口元に手を当てて吹き出して笑う横山さん。 …こんな顔初めて見た。 #猫シリーズ

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８ 「…すみません」 「いや、ええけど笑」 そう言って横山さんは自分のデスクに向かう。 横山さんも残業するのかな、と思ったら案の定パソコンの電源をつけ、それからちゃっかり買ってあったらしい自分の分のドーナツを取り出す。 #猫シリーズ

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９ 思わずクスッと笑うと横山さんも照れ臭そうに笑って。 それから何故かドヤ顔でドーナツを見せびらかすからもっと笑ってしまった。← …静かなフロアに、二人のキーボードを叩く音だけが響く… ようやく作業も終盤になってきた所だった。 「あ、あれ？」 #猫シリーズ

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１０ パソコンが突然のフリーズ。 「…どうした？」 横山さんが顔を上げてこっちを見る。 「あ、えっと…パソコンの調子悪くて」 …何となく申し訳なくなって俯く。 横山さんだってやることあるのにな。 すると、 「ちょお、ごめん」 #猫シリーズ

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１１ いつの間にか横山さんが背後に来ていて。 「え？」 後ろから手を伸ばして来たので思わず手を引っ込める。 横山さんはキーボードに左手を、マウスに右手を置いて カタカタといじり始めた。 …ち、近い…。 その状態でいること数分。 「ん、終わったで」 #猫シリーズ

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１２ 「ありがとうございま…え！？」 そう。 横山さんは言葉通り『終わらせて』くれたのだ。 パソコンのフリーズを直すだけでなく短時間で残りの作業もやってくれた。 「…本当に、なんとお礼を申し上げていいか…」 「大袈裟やな笑」 私のデスクを離れる横山さん。 #猫シリーズ

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１３ …ん？ 気のせいかな… その横顔の耳の辺りが ほんのりと赤い気がするのは。 荷物を取った横山さんは思い切ったように切り出した。 「…じゃあ、お礼ついでに」 「はい？」 「…飯でも行かへん？」 #猫シリーズ

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１４ と、いうわけで。 私は横山さんとご飯を食べに来ました。 「…って、中華かい笑」 なんかね。 餃子食べたくなっちゃって。← とりあえず餃子、そして２人前のラーメンとビールを頼む。 「…じゃあ、お互いよう頑張ったってことで！乾杯！」 「かんぱーい！」 #猫シリーズ

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１５ それからお互いに仕事の愚痴やらなんやらを語り合い。 …お酒のせいか、横山さんの顔が真っ赤になってる、気がする。 そうこうしているうちに。 餃子、最後の１個！ 箸を伸ばすと 反対側からも伸びてくる箸を持った手。 「「あ」」 最後の１個は… #猫シリーズ

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１６ 「…食ってええよ？笑」 「やっt…あ、ありがとうございます！」 申し訳なく思いつつ餃子をパクリ。 「ん〜♪」 …ふと見ると。 横山さんが微笑んでこちらを見ていて。 何だか少し気恥ずかしくなったのでした。 #猫シリーズ

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１７ そうして店を出て。 わざわざ家まで送ってくださった横山さん（嬉しい、けど申し訳ない…）。 その頬の赤みは夜風のせいかすっかり消えている。 「あ、じゃあ私…ここなんで」 「あ、おん…また明日。」 「…今日金曜日だから明日休みですよ？」 「あ、そっか笑」 #猫シリーズ

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１８ 何となく沈黙が流れてから… 「じゃあ、また来週ってことで…」 「ん、来週…笑」 …ちょっと名残惜しい気持ちを引きずりながら踵を返す…返した時。 「あ、あの！」 横山さんが私を呼び止める。 …振り返って驚いた。 横山さんの顔は、また赤くなっていた。 #猫シリーズ

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１９ 「ごめん、嘘ついてん」 「え？」 「…ほんまは、残業なかった」 え… じゃあ、横山さんが残っていた理由って… 「…少しでも長くお前とおれたらなって、思ったから」 横山さんがそう言って、また照れたようにに笑う。 …夢？ …じゃない。 #猫シリーズ

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２０ 「ごめん…こんなんおかしいよな、俺」 横山さんが困ったように頭を掻く。 …嫌だなんて、そんな。 「嫌じゃ…ないですよ」 「え…」 「…むしろ、嬉しい、です」 その言葉を聞き届けると、また赤くなる横山さん。 本日より。 私は、白猫を飼います。 #猫シリーズ

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２１ 数ヶ月後。 …朝起きると、横山さん、もとい、裕が隣で眠っているようになった。 …いつもは照れたりするのに、寝てる時はすごくくっついてくるんだよな。 隣の私の肩に顔を埋めるように抱きついて眠る彼。 無意識にスリスリする仕草はまさに猫のよう。 #猫シリーズ

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２２ すると裕はうっすらと、ゆっくりと目を開ける。 「起きた？」 「ん…」 まだ寝ぼけているらしく目をゴシゴシ。 そして、 「あ」 距離の近さに気づいてひとしきり照れる。 「…っていうか時間！やばない？」 「今日休みだよ笑」 「え？あ、そっか」 #猫シリーズ

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２３ 仕事は出来るのに私生活ではちょっとおっちょこちょい。 そしていつもはクールなのに ちょっと照れ屋で、 そして 「今日どうする？どっか行く？」 「んー… じゃあ、もーちょっとだけこのままでいる笑」 そう言ってぎゅっとしてきたりする。 #猫シリーズ

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２４ 私の家の白猫は 普段はクールに見えて でも本当は照れ屋で人見知り。 でも、 私にだけは、 甘えん坊な一面を見せてくれる。 そんな可愛い猫ちゃんです♪ #猫シリーズ