猫シリーズ『本日より猫を飼います』

よつげ @Eight_os

２５ でもそれは社内の話。 「え！？ちょ、渋谷さん！？」 たまにね、こうやって資料室に連れ込まれるでしょ、 そして 「！？」 息もできないくらいのキスをされて。 舌が絡まる、やらしいキス…。 そして 「ん、充電完了」 と、資料室を出ようとする。 #猫シリーズ

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２６ だからついスーツの裾を掴んで止めてしまって… 「あ、えーと…」 言い淀んでいたら、 「続きは家でな」 と、殺傷能力の高いワードで振り払う。 …心臓がやばい… もう、渋谷猫には勝てない。 うちの猫はなかなか強敵です。 相手するならお気をつけて？ #猫シリーズ

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黒猫渋谷編END next day》》茶トラ村上 pic.twitter.com/K2liiYTqt8

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１ 私の好きな人の最大の特徴を挙げるとすると 『若くして既に課長』 そりゃあ実力もさることながら。 お偉いさん方に図らいながらどんどんその地位をのしあげてきた苦労人！ そして後輩の指導も怠らない。 彼の元からは優秀な部下が数多く輩出されている！ #猫シリーズ

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２ ふぅ。 ものは言い様とはこのこと。 え？ 実際の私の好きな人の話ですか？ 彼、村上信五と言うんですけどね。 社内の同期にはあんまり仲いい人多くないんですよ。 何でって、お偉いさんとの方が仲いいから。 そうやって媚売って地位を上げようとしているから。 #猫シリーズ

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３ そして後輩の指導も怠らないというのは、裏を返せば指導が口うるさくて厳しいということ。 後輩にも評判が悪い。 え？ じゃあなんで私はそんな人のこと好きかって？ …何でだろ。← 元々私は海外事業部を希望していて、でも配属されたのはこの企画部で。 #猫シリーズ

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４ 最初は希望してもいない課に配属されたのが悔しくて、もうサボってやるー！って何もかも適当にやっていた。 その私の頭を叩いてくれたのが村上さん。 そのシーンは今でも覚えている。 「アホかお前！どこで仕事しようと自分の出来る限りのことするんが社会人ってもんや！」 #猫シリーズ

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５ 「そしたら絶対他の奴も認めてくれるようになるからそれまで頑張り！」 その言葉でハッとなった。 「…すみません。ありがとうございます。」 すると村上さんは私の頭を今度はわしゃーっと勢いよく撫でて。 「期待してる俺に恥かかせんといてな？笑」 その笑顔に。 #猫シリーズ

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６ あ、この人はいい人なのかもしれない…と思った。 私だって最初はみんなと同じで。 村上さんをただ厳しい人だと思っていて。 でも それから村上さんを観察するようになって。 真剣に仕事に取り組む表情とか。 たまに英語が読めない天然さとか。 #猫シリーズ

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７ 知らなかった一面をひとつ知る度に 彼を意識するようになった…。 でもなー… 村上さんにとってきっと私は使えない部下の一人。 …いや、使える部下なのか？ 期待してるって言葉もきっと冗談。 …いや、意外と本気だったり？ 変な期待をしてしまう。 #猫シリーズ

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８ きっとそれは 村上さんのことを 知っているようで まだ何も知らないから。 #猫シリーズ

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９ それはもちろん、もっと村上さんと…その、深い関係になれれば一番知れるんだけど。 前に飲みの席で冗談半分、「村上さ～ん付き合って下さい♡」と言ったら「アホかお前飲み過ぎや！」と一蹴された。← それくらい相手にされてない。 もう少し仕事できるようになったら。 #猫シリーズ

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１０ 少しはちゃんと見てくれるのかな。 って、思って今まで頑張ってたけど！ 今のところ何っの進展もないし。 まあ、わりと仕事人間だから好きとか言われても困るのかな。 それか単に私がタイプじゃないのかな(泣)。 そう思っていた。 そんなある日。 #猫シリーズ

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１１ 「おーい」 村上さんがある日デスクから私を呼んだ。 「何でしょうか、課長」 「お前、４月から海外事業部な」 「…え」 「お前前から希望しとったやろ？ よかったなぁ、念願叶って …って、どうした？」 「…いえ」 何だろ。 ずっと希望してたのにな。 #猫シリーズ

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１２ あんまり…嬉しくないや。 「…い、おーい！聞いてんのかお前」 「…え、あ、すみません！頑張ります！」 「…まあええけど ほんなら今日飯行くで」 …え。 い、いきなり！？ ってまあ、いつものことですけど。← っていうか…サシですか？（焦） #猫シリーズ

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１３ …何度か二人で飲みはあるけど…。 いつまで経っても慣れない（少なからず、好きな人だからっていうのもある）。 しかも何ですか！？ 「今日は飲み無しな」 何で！？ こちとら飲まなきゃやってらんなくて堪らないんですけど！← 「それじゃ、まあお疲れさん」 #猫シリーズ

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１４ 「…お疲れ様でーす」 二人、烏龍茶で乾杯。 「…異動おめでとさん」 「…ありがとうございます」 私の寂しい気持ちを感じ取ったのかなんなのかわからないけれど。 「…やっぱ良かったやろ、頑張っといて」 「…はい」 村上さんの声のトーンは少し低め。 #猫シリーズ

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１５ やっぱ…って。 村上さん…あの時のこと、覚えてたのかな。 …いや、単にふっと思い出しただけかな。 「…あー、何やろなー」 村上さんが頭をがしがし掻いて言葉を絞り出そうとしている。 「あれや…何か、急に行ってまうってなると、寂しくなるな笑」 #猫シリーズ

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１６ …え。 村上さんも、寂しいって思ってくれてるんだ。 「…こんなん思うとか、上司失格やけど笑」 「そんなこと…」 「お前のこと応援したいけど… でも、海外事業部ってけっこう外国行ったりするやろ？ …あんまり会えへんなぁ、って思うと。」 目を見開く。 #猫シリーズ

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１７ 自惚れですかね？ それって、私が聞くと、 村上さん、私のことが …好きって言ってるみたいに聞こえますよ？ 「…なぁ、そうなってまうのはもう目に見えてるけど… 多分それ俺が、お前のこと好きで好きでしゃーないからやと思うねん、 #猫シリーズ

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１８ 「やから…俺の彼女になってくれへんか？」 ストレートな言葉で。 真っ直ぐ目を見て。 村上さんはそう言ってくれて。 でも、今まで想い続けてきた私がそう簡単に信用するはずない。 「酔ってます…？」 すると村上さんは苦笑して #猫シリーズ

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１９ 「あん時みたいに酔ってるせいに出来んように、今日飲みやなくて飯にしたんやないか。 …ちょっとは気づけや」 その言葉の心に染み渡ること染み渡ること。 自然と涙が１粒、２粒と落ちて。 「あーほら泣くな笑」 「すみません、うぅ…」 と、いうわけで。 #猫シリーズ

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２０ 本日より私は猫を飼います。 猫、といっても私よりしっかりしてるな。 柄は… うん、茶トラかな。 #猫シリーズ

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２１ 「え！？村、じゃない、し、信五さんが私のこと海外事業部に推薦したんですか！？」 「せやでー？ お前頑張ってたし」 そんな話をしたのは海外事業部異動を１ヶ月後に控えたある日。 え？信五さんの家での様子はどうかって？ うーん… #猫シリーズ

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２２ 仕事で疲れてる時とかは愚痴言ってくれたり。 あとは休みの日とかはたまーに軽いデートもするけど。 でもそれ以外は殆ど甘えたりしない。 遠慮してるのか、はたまた本当にあまり疲れてないのかはわからないけど。 …もうちょっと頼ってほしい ちょっと…寂しい。 #猫シリーズ