黒いドボク鎮守府 双龍横浜壊滅編 その二俣本町

※破壊殺戮描写があるよん
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まも(特殊工事版) @kojimamo198X

住民の子供が床に倒れている。直前まで海で化物を倒す勇ましい艦娘を取材したTV番組を見ていた。ある蒼い和服を羽織った弓矢を放つ艦娘が大写しになった瞬間、自分の居た居間の後ろの壁が大音響とともに崩れ意識を失った。 痛みに顔を上げると瓦礫や埃の向こうに見えたもの。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 01:43:31
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

マンションの中に巨大な谷間が切り拓かれ あちこちでご近所さんの悲鳴や助け声が聞こえる。 谷間の向こうに蒼い髪のあのカッコ良くて強い 空母の艦娘さんそっくりの顔をした化物がいた。 私の大事な家を滅茶苦茶にしたあの化物…。 「巨大な竜…」 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 01:46:52
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

BUOOOONN! DOGUWAAANNN!! 龍は後ろを振り返りもせずにその蒼い尾を左右に振った。 住民の少女は、その龍があの勇ましい空母の艦娘だと悟った数秒後に 肉片と化し、地面へ叩きつけられ その遺体の上にマンションのパネル手摺が落下した。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:01:25
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

マンションの下に走る京浜東北線の線路や架線を踏み潰し 湾岸高速の高架橋へ向かう。 あの銀色に蒼い色の帯の電車を食い潰したかったが、たまたま走ってこなかったので来るまで待つのも嫌なので足を進める。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:04:09
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

複線線路の上を走る架線が踏み下ろされた蒼龍の足でバチバチと断ち切れ ピンと張られていた架線が足によって強力な力で引かれると 架線柱の横に伸びるビームと呼ばれる柱もそれに吊られてグシャリと倒壊する。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:08:24
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

線路も言わずながなだ。飴細工のように曲がるレールが後に残った。 人の足ではない、トカゲのような爪の跡が目立つ足跡を軌道に残して。 破壊の昂ぶりから龍が垂らした様々な体液がレールや道路のアスファルトを じゅうじゅうと煙を上げて溶かしている。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:13:14
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

湾岸高速道路の四車線の高架橋。 こちらの騒ぎも知らず呑気に走り去る自動車の流れが憎い。 まるで舐められているかのようだ。 もっと私を見ろ! もっと私に怯えろ! もっと潰されろッ! 頭に血が昇った龍は、右足を高く上げて高架橋の路面に叩きつけた。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:16:15
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

高架橋がまるでブロックの玩具を崩すかのように倒壊する。 防音壁で覆われた鉄筋コンクリート式高架橋の緑色の橋桁。 普通なら巨大地震でもこない限り破壊されないはずの頑丈な高架橋。 その橋のアスファルトの路面が割れ、ジョイント部でパッキリと空に向かい折れた #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:22:23
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

大轟音。 時速70キロ程度の車の流れにいきなり踏み下ろされた巨人、いや破壊神の足は 高架橋だけでなく、乗用車、空港シャトルバス、海上コンテナを載せたトレーラー、黄色の建設機械を載せた重機搬送車…。 それらをオイルという血祭りにあげたのだ。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:28:29
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

それらが玉突き衝突し、燃え上がり、押しつぶされた車体の山。 阿鼻叫喚になる路上を見下ろし、口を痛くなるほど広げて嗤った。 ただ哂った。声も出さずに目を歪ませて。ざまあみろと。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:30:26
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

踏みつけた高架橋はVの字にへし折れ、急ブレーキも虚しく落下した自動車。 左足で一気に蹴り上げ蹴り散らす。 空を舞う緑色の鋼製橋桁の高速道路。おかしいほんとうに可笑しくて更に哂ってしまう。 さぁ、いよいよメインディッシュ。 「こんびなぁとッ♥」 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:36:30
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

ズラリと立ち並ぶ巨大タンクの手前には鬱蒼と生い茂る広葉樹の森の帯。 コンビナートなど公害発生源と市街地の間を遮断するように設けられた緑地帯だ。 蒼龍は息を大きく吸い込み HYUOOOOOONN… 火を放った。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:46:00
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

緑地帯は一気に炎暴れ狂う地獄の帯と化した。 火の海を気にもせず横切り、最初の石油タンクにゆっくりと足をつけた。 サイレンが鳴り響く構内。この蒼龍を歓迎してくれている。 タンクの浮き屋根がズズズと沈み込む。タンクの淵の細い隙間から溢れ出す重油。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 02:51:04
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

10万KL級原油タンクが何十基も並んだ構内はパニックと化した。 タンクや敷地に張り巡された泡消火システムや防油堤など防災システムが あの厄災”怪獣”に対抗できる筈などないと誰もが判っていた。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 03:02:22
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

しかし逃げようにもコンビナートと外を隔てる緑地帯は火の壁と化していた…。 コンビナート火災の初期対応に当たる自衛消防隊の基地は庁舎ごと、怪獣の尾で薙ぎ払われ、横倒しになった高所放水車の白い放水ブームが怪獣に踏みつけられ、 ひしゃげて虚しげに天空を仰いでいた。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 03:06:19
まも(特殊工事版) @kojimamo198X

燃え盛るタンク。爆風。黒煙。 その向こうに怪獣の黒い影。人の姿を纏った怪獣。少女の胸の膨らみがある怪獣。 余りにも非現実的な光景に誰もが呆然とし怯えていた。 それでも防災本部は海上から従業員を逃げ出させようと慌ただしく動いていた…。 #黒いドボク鎮守府

2017-10-06 03:16:58