「アポカリプス・インサイド・テインティッド・ソイル」
「サイゴンを知っているか。お前にナムの地獄の一端を見せてやろう」フォレスト・サワタリはぶつぶつと呟きながら両手のマチェーテを振り回す。ニンジャ・ソウルが有する記憶と、フォレストの意識が混濁しているのだ。危険な状態であった。
2010-08-29 23:42:54「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」
四本腕をガクガクと痙攣させながら体を起こし深呼吸すると、いつもの自信溢れる彼に戻った。サワタリは胸をマチェーテで抉られるような苦々しい思いを味わった……そしてヨロシサンのバイオ研究員だった彼の記憶を、ナムの偽りの記憶が塗りつぶすのだった。「持ちこたえろ、もうじきイロコイが来る!」
2010-12-13 23:35:58だが、そんな生活の中でサワタリは不意に気付いた。バイオニンジャ達は、高純度のバイオ・インゴットを定期摂取せねば死んでしまうことを。すると彼らは、研究所にいたほうが幸せだったのでは? その重い事実に耐え切れなくなった時……彼は混乱をきたし、偽りのベトナム戦争の記憶に支配されるのだ。
2010-12-13 23:59:31「急ぐぞノトーリアス。ここには間違いなくインゴット製造機がある筈だ。ベトコンどもからそれを奪い取れば、ドージョーで無限にヨーカンが作れる。MOVE、MOVE、MOVE!」……だが、彼に確信は無かった。かつての彼は上級研究員などではなく、末端のサラリマン研究員に過ぎなかったからだ。
2010-12-14 00:04:49左右に生い茂るオーガニック・バンブーは、サワタリの偽りのトラウマを狂おしいほど刺激する。「気をつけろ、どこにベトコンが潜んでいるかわからんぞ。俺たちはこの過酷なバンブー・ジャングルの中で、生き延びねばならん。俺があの地獄のごときナムの日々をどうやって生き延びたか、教えてやる!」
2010-12-17 19:05:41「ネオサイタマ・イン・フレイム」#1 「ライク・ア・ブラッドアロー・ストレイト」
「アイサツも無しか!フォレスト・サワタリ=サン!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げ返した。「イヤーッ!」敵は空中で大振りのマチェーテを振り回し、スリケンを撃ち落とした。「これはアンブッシュの範疇だ、ニンジャスレイヤー=サン。ジャングルでは常に敵に囲まれている!」
2011-05-05 18:04:17「ジャングル?相変わらず様子のおかしい男だ」ニンジャスレイヤーは舌打ちした。「イヤーッ!」次の足場へ飛び移り「なぜオヌシがここに?サヴァイヴァー・ドージョーはどうした。ソウカイヤの犬になりさがったか?」「それはこっちのセリフだぞニンジャスレイヤー=サン!」フォレストが吠える。
2011-05-05 18:10:41「ニンジャスレイヤー=サン!」竹槍を構えたフォレストが呼びかける。「今はおまえの相手をしておられぬ。続きはこのソ連の新兵器を片付けてからだ。ここは戦場だぞ!」「よかろう」ニンジャスレイヤーは頷き、カラテを構えた。「ゼンメツ!ゼンメツだ!イヤーッ!」鉄球パンチが襲いかかる!
2011-05-07 19:56:11「こいつ、心臓が左右逆か」新手のニンジャは無感情に言った。「アバッ……何だと……アバッ……」フォレストは前傾姿勢で苦労してその腕から逃れた。鮮血が噴き出す。「バカな……おれがベトコンにここまで接近を許すはずが無い……バカな……アバッ……」
2011-05-07 21:39:21フォレストは必死でエレベーターにぶら下がる。ニンジャ握力は胸の傷から噴き出す血とともに失われてゆく。「ま、待っておれ……アバッ……必ずおれはおまえらにホーチミンの宝を……アバッ……アバッ……、……アバッ」……その手が離れた。
2011-05-07 22:10:25「クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド」
「ハッハーッ!」先程までの意気消沈からはまるで想像のつかぬ豪放な笑いを、彼は荒野に轟かせた。「俺のニンジャ洞察力は誤魔化せぬぞニンジャスレイヤー=サン!ではあのアンコールワットが補給基地か……よかろう!ゲリラ!ジェロニモ!」何も知らぬ輸送バスは向かう……製鉄所めいた巨大建造物へ!
2011-09-20 16:02:33「……これがサイゴン・ロアだ。24時間、360度。あらゆるところから死は忍び寄り、目覚めれば昨日の友は死体となっている。ナムは地獄。地獄に適応できぬ者には死あるのみ」編笠姿のニンジャはヴォルテージを見下ろす。「ドーモ。フォレスト・サワタリです。余力があるならば、かかって来い」
2011-09-21 22:17:05ヴォルテージのニューロンがスパークする。何が起きた?なぜ俺は死んでいる?こいつは誰だ?……サイゴン?……落ち着け!まだだ!まだ死んでいない!右手の電極がスパークし、ブレーサーが赤熱する。力を振り絞り、焼鏝めいた手首を真横に斬られた喉に押し当てる。 「グワーッ!」肉が焦げる!止血!
2011-09-21 22:21:46「ベトコンは大人しく貴様のヒサツ・ワザの披露を待っていてはくれんのだ。ジゴクでは……覚えておくがいい……!」フォレストは得物を拾っては装束で丁寧に血糊を拭い、ホルスターへ収めていった。その手が一度止まり、彼は独りごちた。「ハッキング……ここは確かに機関室……ハッキング……?」
2011-09-21 22:53:09フォレストの狂った脳にも、時折整合性のある思考インスピレーションが降り来る事はある。彼は脱兎のごとく機関室へ駆け戻り、血飛沫で汚れたUNIXデッキに屈みこんだ。人差し指で素早くキーボードを叩いてゆく。スクリーンセーバーがオフになり、それ以前に開かれていた画面がサスペンド復帰した!
2011-09-21 23:07:34これは!実際この施設のマップではないか!「モッチャム!」では、先客がいたのだ、そしてハッキングで施設の情報を……フォレストは「バイオインゴット」と入力する。機関室の近くの一室が点滅する!「モッチャム!」さらにタイピング!「金庫とか機密情報」だいぶ離れた別階が点滅!「モッチャム!」
2011-09-21 23:17:54やはりアンコールワットの財宝!フォレストは歓喜した。バイオインゴットはこの手の施設には必ずある。これでキョートのどこかで心細くしているであろう仲間達を助けられる!そしていかにも戦略的なこの建造物に司令室が無いわけがない。司令室あるいは倉庫には接収されたナムの宝や救援物資がある!
2011-09-21 23:21:59やっと運が回ってきた!ダークニンジャに致命打を受け重油のプールに落下したフォレストは持ち前のグエン・ニンジャのニンジャ生命力で見事にサバイブした。ダストシュートからトコロザワ・ピラーを脱出してみると、そこは炎上するネオサイタマ……実際ナパーム弾で地獄と化したジャングルそのもの!
2011-09-21 23:36:56ナムの悪夢が蘇った彼は仲間を連れて必死に炎上するネオサイタマを駆け回り、貨物列車に忍び込んだ。列車は新幹線であり、彼らは異国キョートに降り立っていた。
2011-09-21 23:43:21サヴァイヴァー・ドージョーのニンジャ達は戦闘能力や野生サヴァイヴァルには長けるが、複雑な法治国家のシステムには不適合。キョートのタテマエ社会であっという間に落ちぶれ、バラバラにはぐれ……生活のレベルは落ちて行き……だが!今のフォレストの精神は再びナムのジャングルを生きていた!
2011-09-21 23:46:00「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」