【けもフレ連載小説】#けものフレンズAF
- asagihara_s
- 4578
- 41
- 0
- 0
「私じゃ重くて動かせないから、ジャガーに手伝ってほしいんだけどさー」 「いいよ。何をすればいいの?」 「なになに? たのしーこと? わたしも手伝う手伝う!」 カワウソもバスの上から身を乗り出してきて、私は「助かるよー」と笑った。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:52:40◇ トキさんに抱えられて飛んでいると、《ろーぷうぇいのりば》から伸びていたロープが、山に点々と建った大きな柱を通って、山頂へと続いているのが見えます。 ぼくとトキさんは、途中でお腹がすいたので、そんな柱の一本に腰を下ろして休憩し、じゃぱりまんを食べていました。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:53:17だいぶ山の高いところまで来たせいなのか、ジャングルの湿った暑さはとっくに失せて、ちょっと肌寒いぐらいです。そのぶん、息を吸うと冷たい空気が身体の中に流れ込んできて、さわやかな感じがします。心なしかじゃぱりまんもいつもより美味しい気がしました。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:53:50「ここで食べるとすごくおいしいわね。新発見だわ」 「ほんとですね」 トキさんも同じことを思っていたようで、満足そうな顔でじゃぱりまんを食べています。後でぼくも、アライさんとフェネックさんにおしえてあげよう。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:54:32そう思いながらじゃぱりまんを咀嚼していると、トキさんが急に立ち上がり、「じゃぱりまんの歌を作ろうかしら」と言い出しました。 「『柱とじゃぱりまん』。はしら~~で~~たべる~~~じゃぱりま~~~~んが~~~ああ~~~おいしい~~~~~♪ さぁ~~~いこお~~~♪」 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:55:38相変わらずの遠くまで響きそうな声で、トキさんは楽しそうに歌います。 「トキさんは、本当に歌が大好きなんですね」 「でも、フレンズの姿だとちょっと勝手が違うみたい。この身体ならではの歌い方が、あるんじゃないかしら」 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:56:08トキさんは自分の身体を見下ろしながらそんなことを言います。ぼくと違って動物だった頃のことを覚えているようなので、フレンズの姿に違和感があるのでしょうか。 と、トキさんがぼくの方を見やり、 「そうだ、あなた歌ってみて」 突然そんなことを言い出しました。 「ええ!?」 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:56:50「あなた、なんだか歌に詳しそうだし。私のことも詳しかったから」 「いや、あれはラッキーさんの……」 「いいからいいから」 「ええ~!」 そんなことを急に言われても、ぼくにどうしろというのでしょう。ぼくが困惑していると、トキさんは「ほら」とぼくを促して、 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:57:21「はし~~らで~~たべる~~~~じゃぱりま~~んが~~~おいし~~~い~~~♪」 と、手本でも見せるように歌ってみせます。うう……。 仕方ありません。ぼくもトキさんの歌を真似して、歌ってみるしかないようです。ええと、ええと……。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:58:00「はしらーでたべるーじゃぱりまんがー、いつもよりもーおいしいー、しんはっけん!」 こ、こんな感じでしょうか……。なんだか恥ずかしいです。歌おうと息を吸うと冷たい空気が喉を通ってちょっと苦しいし……。 縮こまるぼくに、トキさんは「おおー!」と身を乗り出しました。 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:59:22「やっぱり、あなたとっても上手い。なにか工夫ってあるの? 息の仕方、かしら」 ぼくの前に身をかがめて、トキさんはぼくの顔を覗きこみます。そ、そう言われても。 「ど、どうだろう……。おなかのあたりで呼吸すると、いいのかなあ……」 #けものフレンズAF
2018-02-14 20:59:49ちょっと喉が苦しかったので、なんとなく思いつきで言ってみたのですが、トキさんは真面目な顔で「ふんふん」と頷きます。 「でも寒いから、ちょっと喉が苦しいかもですね……」 「なるほど……歌う場所が大事なのかしら」 #けものフレンズAF
2018-02-14 21:00:17周りを見回しながら、真剣に考え込むトキさん。上手に歌う方法を探すのにすごく熱心な姿に、ぼくは感心しました。 「トキさん、勉強熱心なんですね」 「そう?」 ぼくの言葉に、トキさんは不思議そうに首を傾げました。 #けものフレンズAF
2018-02-14 21:00:53